国鉄205系電車
国鉄205系電車(こくてつ205けいでんしゃ)とは、日本国有鉄道が開発、製造した通勤型直流電車。国鉄分割民営化後はJR東日本及びJR西日本に引き継がれた。
概要[編集]
1979年に登場した国鉄201系電車は電機子チョッパ制御で省エネを実現したが、チョッパ制御に用いる半導体等でコストが高く付いた。そのため界磁添加励磁制御やステンレス車体[注釈 1]を採用してコストダウンした。それがこの205系である。前述の通り車体は軽量ステンレス製で、塗装する必要もないためメンテナンスも楽である。また電力回生ブレーキによって制動の運動エネルギーを有効活用できる装備も搭載された。
改造車[編集]
先頭車化改造車[編集]
山手線から他路線に転属する際、編成を短くする必要があるので、中間付随車やMM'ユニットなどを改造し、生まれてきたのが205系1000[注釈 2]・1100・1200・3000・3100番台である。この車両の運転台は当時最新鋭だったE231系をベースにしており、前面行き先表示機も従来の幕式ではなくLEDを使用したものとなっている。
体質改善工事[編集]
JR西日本の205系は車内にLED表示機とドアチャイムが設けられ、車外の行き先表示機も幕式からLEDに交換し、車両の寿命延長のため、車体の修繕や交換などがなされた。 尚、将来編成から離脱することが見込まれていたサハ205では簡素的な工事内容となった。
VVVFインバータ化改造[編集]
武蔵野線に転用する際、界磁添加励磁制御では勾配に対応できないため、VVVFインバータに改造して対応することになった。そうして登場したのが5000番台である。
路線[編集]
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現在の使用路線[編集]
- 南武支線
- 2両編成で、ワンマン運転に対応。
- 西日本にも1000番台が存在するが、こちらは全車クモハのため重複していない。
- 2023年9月にE127系0番台転用により2本が引退したが、残る1本が残留中。ただし、一時期はE127系が不調となると引退した2本のうちいずれかが再登板することもあった。
- 他線区の205系とは比にならない様な脅威の加速力の持ち主で、八丁畷でお乗り換えの京急をもぶち抜く。現在W4編成のみ残存する。
- 仙石線
- 4両編成。保安装置ATACSを搭載している。
- 編成表記に一時期ハイフンが入ったことがある。[注釈 3]。
- 南武線1200番台からの改造車が存在し、唯一方向幕閉鎖部まで帯が伸びている[注釈 4]。
- 2021年10月1日、E131系への置き換えが労組より示唆され、2025年12月からの投入が確定した[注釈 5]。
- 石ノ森章太郎の作品群のラッピング車両「マンガッタンライナー」が2本在籍していた[注釈 6]。
- ほか、一部の編成は先頭車が2wayシートとなっている。[注釈 7]
- 奈良線
- 関西本線
- 阪和線での運用を終了した1000番台は、吹田総合車両所奈良支所に転属され、2018年3月17日のダイヤ改正より4扉車運用の一部を置き換える形で奈良線及び大和路線木津駅 - 奈良駅間での営業運転を開始した[1]。また、阪和線時代とは異なり、2022年3月に103系が運用を終えるまで共通運用となっていた[注釈 8]。そして2018年7月に同じく阪和線から転属してきた0番台が4両編成に減車の上、吹田総合車両所奈良支所に転属され、7月26日より奈良線・大和路線での営業運転を開始した。
- 奈良線の103系引退により、同線では唯一の4扉車となったが、221系の転用で引退を危惧する声も存在する。
- 富士急行
詳細は「富士急行6000系電車」を参照
過去の使用路線[編集]
205系が最初に導入された路線。10両編成54本と後に6扉車53両が導入された。国鉄時代に製造されたため、ドア窓は小窓。6扉車を組み込む際に京浜東北線から205系を借用し、ドア窓が大窓の編成が短期間ながら走った。(ヤテ35編成) デジタルATC導入に伴うE231系の導入により、2002年~2005年にかけて順次置き換えられ、各地に残っていた103系に置換に使用された。
103系の置き換えようとして1989~1990年にかけて10両編成6本が導入。209系導入に伴い、1996年までに全編成が撤退し、横浜線・埼京線・中央総武緩行線に転用された。
東中野事故に伴う車両不足のため、1989年に本来埼京線に導入する予定であった10両編成2本を急遽転用した。その後、1本は埼京線に戻ったものの、1本は残存し、1993年のダイヤ改正による車両増により、京浜東北線から2本転用され、10両編成3本構成で103系・209系に混ざって運用されていたが、2001年に運用終了。埼京線・武蔵野線・南武支線に転用された。
横浜線のイメージアップを図るために、1988年から1989年にかけて7両編成25本が導入された。1993年のダイヤ改正時に京浜東北線から1本転用された。1994年より大半の編成に台車などが209系ベースのサハ204形100番台が組み込まれた。2003年頃に山手線からの1本転属してきた編成には0番台組み込まれていた。しかし、2009年に転用された武蔵野線からの転属車のH28編成では種者の都合上6扉車は組み込まれていなかった[3]。
E233系の導入に伴い、H26編成は最末期に南武線へ転属した。そのほかの車両は大半がインドネシアに譲渡された。量産先行車が一時期在籍したことや土休日に横須賀線に乗り入れたこともある。
騒音問題に解決を図るべく、1989年に10両編成25本が導入された。その後も延伸開業や編成数の増加、6扉車の連結などの改変がくわえられ、最終的には10両編成32本が在籍していた。埼京線のみならず、川越線・りんかい線内でも使用されていた。
E233系の導入により、2014年2月末で撤退するはずであったが、埼京線内のATACS導入工事に伴う予備編成確保のため、1編成(ハエ28)のみ残存することになった。当初は土休日限定運用であったものの、E233系と共通運用となり、埼京線の輸送を支えた。ATACS導入工事が完了した2016年10月に運用終了。
2003年から2005年にかけて、山手線からの転用車が4両編成5本導入された。転用に当たり、先頭車化改造や半自動押しボタンの新設が行われた。
2018年2月にハエ82編成、5月にハエ84が廃車、同月にハエ85編成が富士急へ譲渡され、さらに7月にハエ81編成が運用を離脱した。残る編成はハエ83編成1本のみとなっていたが、同編成についても同月に運用を終了し、同月23日にハエ81(富士急譲渡)+ハエ83とともに長野総合車両センターへ廃車回送された。これをもって、八高・川越線の205系3000番台は廃区分番台となり、また同番台の消滅により川越車両センターから205系の配置がなくなった。
1990年の東京延伸時にメルヘン顔と称されたデザインを一新した編成が10両編成12本導入。その後、山手線から転用された原型顔編成も5本転用され、京葉線の中で最多勢力を誇った。2010年よりE233系の導入により、大半は日光・宇都宮線・富士急に転用された。
山手線などからの転属車でVVVF化された5000番台と、武蔵野線オリジナルでメルヘン顔の0番台などが在籍。その他メルヘン顔の5000番台車であるM35編成などの異端児も存在したが、209系500番台や、E231系によって置き換えが進み、2019年10月にM65編成をもって、メルヘン顔は全て運用離脱。その後も数を減らしていき、2020年10月、多くの鉄道マニアに見送られながらM20編成が運用を離脱し、武蔵野線の205系は消滅すると同時にサハ205形も形式消滅した。なお、それらの編成は全て、KRLジャボタベックへ譲渡されている。 実は武蔵野線の205系はM66編成のモハユニットの2両は武蔵野線の205系で唯一廃車になっている。これは、横浜線へ転属する際に元々編成に組み込まれていたサハ2両と入れ替えたことで余剰になったため廃車された。
- 相模線
詳細は「JR東日本205系電車500番台」を参照
- 東北本線
- 宇都宮線小金井〜黒磯間
- 日光線と同一タイミングで投入。日光線の節も参照。
- 日光線
- E233系5000番台投入により余剰になった京葉車両センター所属車を中心にリニューアルを施工し転用された。施工内容は黒磯方先頭車(4号車)の後位4位側へのトイレ設置、同3位側への車椅子スペース設置、側扉の半自動対応化、前面及び側面帯の貼り換えなどである[4][5]。
- 勾配対策の装備が設けられているにもかかわらず、営業開始後初の落葉シーズンを迎えた2013年10月には日光線の勾配区間において空転による故障や登坂不能に陥り、長時間にわたる運転見合わせとなる事態が複数回生じている[6][7][8]。
- 2021年6月17日、両線ともにE131系への置き換えが正式発表となり、2022年3月のダイヤ改正をもってすべての運用を終えた。
- 鶴見線
- 3両編成であり、T11編成のみ鎌倉で改造された。
- 2021年頃にJR東日本のポスターにより置き換えが示唆され、2024年2月までに、新型車両E131系1000番台の投入により全編成が営業線上から退いた。9本中7本は解体され、T15・T17の2本は富士急に譲渡された。
編成一覧[編集]
詳細は「205系の編成一覧」を参照
その他[編集]
- 名古屋地区は首都圏から転出の103系が中央本線に投入されていたが、後継車は3扉車の211系5000・6000番代に統一され、本系列は導入されなかった。
- 本系列は常磐緩行線・営団千代田線にも投入されていないが、国鉄におけるVVVFインバータ制御の試行を踏まえ、本系列同様のステンレス車体を導入した207系900番台が1986年に1編成投入された。なお、国鉄分割民営化後にJR西日本で新造のJR西日本207系電車とは車両番号の重複はない。
- 他に大阪環状線専用車や筑肥線向けも現れなかったが、前者はドア数統一の際に3扉車323系が導入され転属の余地がなくなり、後者は303系と305系の製造により賄われた。
近い世代の車両[編集]
関連項目[編集]
脚注[編集]
注釈[編集]
- ↑ 本系列導入前は東急車輛製造が軽量ステンレス車輌製造をほぼ独占し、1社随意契約が認められない国鉄への軽量ステンレス車量産投入は困難だった。
- ↑ JR西日本車両とは異なる。
- ↑ M-1、M-2、…。のような表記。現在はハイフンは入っておらず、代わりにATACSの番号が振られている(M1〔ID-01〕、M2〔ID-02〕、…。のような表記。〔〕内はATACSの番号)
- ↑ 該当編成はM19編成(元南武線ナハ48編成)。
- ↑ 番台区分は800番台で編成はN編成。ATACSのIDはID-150番台となる予定。
- ↑ 該当車両はM2編成とM8編成。このうちM8編成は2025年3月23日に運転終了し、26日に廃車回送された。
- ↑ 該当車両はM2~M5、M8編成。このうちM4編成は2024年4月18日に、M8編成は2025年3月26日に廃車回送されている。
- ↑ 奈良線時刻表自体は改正毎に作成されているが、備考の部分に運用される車両形式が書かれており、2017年改正以前に配布されたものでは両数部分の記述が数字のみの場合は「103系車両で運転」(4扉車運用)、三角囲み数字の場合は「221系車両で運転」(3扉車運用)とあったが、2018年3月17日改正時刻表ではその記述が一部修正され、後者の部分は変更がないものの、前者の部分については「103系または205系車両で運転」に変更されている。なお、その時刻表に記述されている4扉車運用はすべて4両編成となっているため、103系又は205系1000番台の運用であることが検証可能であった。なお、18年改正時点で103系と205系は共通運用が組まれていた[2]。
出典[編集]
- ↑ 205系1000番台,奈良線で営業運転を開始 『鉄道ファン』交友社 railf.jp 鉄道ニュース 2018年3月18日
- ↑ JR西日本奈良線各駅で配布の「奈良線時刻表 2018年3月17日改正」(無料)
- ↑ 交友社「鉄道ファン」2013年1月号 15頁。
- ↑ 日光線、宇都宮線に205系リニューアル車投入 - 鉄道ホビダス 最新鉄道情報 2012年9月27日
- ↑ 日光線、宇都宮線に205系リニューアル車。 - 鉄道ホビダス 編集長敬白 2012年10月2日
- ↑ JR日光線、故障原因は落ち葉か - 47NEWS 2013年10月17日
- ↑ JR日光線で車輪が空転 運転見合わせ - 47NEWS 2013年10月18日
- ↑ JR日光線、車輪空転で運転見合わせ - 47NEWS 2013年10月19日
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