JR西日本223系電車
JR西日本223系電車(JRにしにほん223けいでんしゃ)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)の直流近郊形電車、および主力車両である。
概要[編集]
関西国際空港の開業により、1993年に関空快速用新型車両として223系0番台が製造された。その後、新快速、快速用、近郊型車両等に使われる鉄道車両となった。
車体はステンレス製で、室内は転換クロスシートである。制御装置は製造当時実用化しつつあったVVVF制御を採用しており、221系との大きな相違点である。
最高速度は1000・2000・5000番台が130 km/hで、それ以外は120 km/hである。0・2500番台はディスクブレーキが1枚しかなく、アンチローリング装置を持たないためそのままでは130 km/hまで出すことができない。
新快速用に投入された1000・2000番台には性能選択スイッチが存在し、通常の性能(最高130km/h)、223系0番台性能、221系性能(起動加速度が2.1km/h/s程度まで落ちる)を選択することができる。6000番台と5500番台はこのスイッチを221系性能に固定した車両である。他の番台にも性能選択スイッチがあるが詳細は不明。ただし2500番台で統一された編成は後に221系性能に固定された。
5000番台のみ転落防止幌の設置や運番の撤去は行われておらず、製造当初の雰囲気を色濃く残している。
前照灯はヘッドライトの他にフォグライトもあり、フォグライトだけ消すこともできる。なお、前照灯がHIDになった225系以降はフォグライトだけ消すことができなくなった。
先代の221系には「アメニティライナー」という公式の愛称があったが、本形式からは特に愛称は設定されなくなった。都市伝説として「コンドルライナー」という愛称があったという噂がまことしやかに囁かれている。初出はChakuwikiだったりアンサイクロペディアだったりと言われる。
番台別[編集]
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| 番台 | 製造(改造)両数 | 現有両数 | 投入線区 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 0番台 | 68 | 68 | 阪和線・関西空港線 | 系列内で唯一、更新によりVVVFの素子をGTOからIGBTに変更された部類。それ以外は当初からIGBT。 |
| 1000番台 | 92 | 92 | 東海道・山陽線 | 1000番代のうち4連2本はAシート車である。 |
| 2000番台 | 648 | 528 | 東海道・山陽線 | 同番台の電動車の一部が3個モーターの3000番台となっている。 1000番台と異なり、先頭車化改造・中間車化改造を考慮した設計となっている。 2025年3月から播但線にも拡大。 |
| 2500番台 | 72 | 72 | 阪和線・関西空港線 | 2000番台の阪和線バージョン。2000番台よりも性能が低い台車を履いている。2023年3月から草津線・湖西線・嵯峨野線へ。 |
| 5000番台 | 14 | 14 | 瀬戸大橋線 | マリンライナー専用の車両。 |
| 5500番台 | 32 | 32 | 山陰本線・福知山線・舞鶴線 | 最後に作られた車両。当初から221系性能である。 |
| 6000番台 | (178) | 120 | 福知山線・東海道線 | 2000番台を221系性能に落とした 2021年2月頃から嵯峨野線・湖西線・草津線にも拡大。 |
| 9000番台 | 1 | 0 | U@tech | もとは2000番台の車体工法確認用試験車として登場。2019年に廃車。 |
0・2500番台は3列シート、それ以外は4列シートとなった。2000番台以降は窓は一部の客用窓が上段下降、下段固定窓となった。この窓は当初は非常時以外開閉禁止となっていた。便所は車椅子対応の洋式便器を採用した。
改造[編集]
先頭車転落防止幌の設置[編集]
2010年に舞子駅で乗客が転落死した事故を受け、分割併合の多い本系列の大半の先頭車にも2015年より転落防止幌が設置された。5000番台は設置対象外である。
体質改善工事[編集]
- 2018年5月、HE401編成を皮切りに0番台の体質改善工事が開始。ライトの交換(LED化。フォグ消しには対応しない)、車内改装、VVVFのIGBT化、行先表示機の換装が施工された。2024年出場のHE414編成をもって全車完了。
- うちHE415編成のみ体質改善工事より遅れてVVVFをIGBT化された。
- 0番台組み込みの2500番台でも2019年出場のHE429編成から体質改善工事が行われており、2025年出場のHE418編成をもって全編成に施行が完了した。こちらは体質改善の対象が編成内に組み込まれている0番台であるため、2500番台には行先表示器の換装や運番の閉塞のような簡易的な工事だけ行われ、後述2000番台のような前照灯LED化は未施工である。
- 1000番台では、2019年7月にV5編成より更新工事がスタート。2022年には基本編成でも体質改善車が登場している。
- 前照灯のLED化も行われたためフォグ消しはできなくなった。
- Aシート化とは別メニューで実施された。
- 付属編成の体質改善工事は2023年11月に完了した。
- 2025年3月からは2000番台においても体質改善工事が始まった。第一陣となったのはホシV8編成。
- 更新内容は以下の通り
- VVVFインバーターが海側だけ273系・521系4次車と同等の物に交換[注 1]。3000番台が3個モータのままであるかどうかは不明。
- コンプレッサーを225系3次車と同等品に交換。
- 行先表示器がフルカラーLED化。
- ヘッドライトがLED化。前面の印象はHID試験を行っていた頃のW38編成のクハ222-2081を彷彿とさせる。フォグ消しはできなくなった。
- 京都方先頭車の後方部に車椅子スペースを設置。
- 更新内容は以下の通り
WESTビジョン設置[編集]
網干車の223系にはWESTビジョンと呼ばれるLCDが設置されることとなった。225系などと異なり2画面ではなく、案内用と広告用のLCDが千鳥配置されている。225系や323系のLCDとは異なり、Windowsで動作している。
2000番台復帰[編集]
網干車の223系6000番台は221系の配置がなくなるのに合わせて2000番台への復帰工事が行われ、130km/h運転が再度可能となった。
運用[編集]
日根野に所属する0番台と2500番台は阪和線・関西空港線・大阪環状線などで運用されている。
網干に所属する1000・2000番台は神戸線・京都線・琵琶湖線、湖西線などで運用されている。また、2025年3月より従来221系が担っていた播但線への乗り入れも開始した。
宮原に所属する6000番台は宝塚線などで運用されており、225系と共通運用である。
京都に所属する2500・6000番台は嵯峨野線および湖西線などで運用されており、221系と共通運用である。2023年改正をもって園部以北は所定において完全に出禁となった。
福知山に所属する5500番台は嵯峨野線および福知山線などで運用されている。嵯峨野線区間では京都所属の編成と連結する。
岡山に所属する5000番台は瀬戸大橋線で快速マリンライナーとして運用されている。全区間でJR四国の5000系と連結する。
関空特快ウィング[編集]
関西国際空港開港直後、223系を使用した姫路から関西空港まで行く列車が設定されていたが、旅客が少なかったため引退した。指定席車が連結されていたことでも有名。
車両番号[編集]
- クハ222
- 1-9:0番台6両編成のうち1号車。後に編成組み替えあり。
- 101-107:0番台2両編成のうち1号車。後に編成組み替えあり。
- 1001-1014:1000番台のうち1号車。併結時は異なる場合あり。
- 2001-2041:2000番台1次車のうち1号車。併結時は異なる場合あり。221系性能は+4000。
- 2042-2125:2000番台2-7次車のうち1号車。併結時は異なる場合あり。221系性能は+4000。
- 2501-2504:2500番台1・2次車のうち1号車。後に編成組み替えあり。
- 2505-2519:2500番台3次車のうち1号車。
- 5001-5007:5000番台のうち1号車。
- 5501-5516:5500番台のうち1号車。
- モハ222
- 2001-2018:2000番台1次車8両編成のうち5号車。併結時は異なる場合あり。
- 3019-3041:2000番台1次車4両編成のうち2号車。併結時は異なる場合あり。221系性能は+4000。
- クモハ223
- 1-9:0番台6両編成のうち6号車。後に編成組み替えあり。
- 101-107:0番台2両編成のうち6号車。後に編成組み替えあり。
- 1001-1014:1000番台のうち8両編成の8号車、4両編成の4号車。併結時は異なる場合あり。
- 3001-3041:2000番台1次車のうち8両編成の8号車、4両編成の4号車。併結時は異なる場合あり。221系性能は+4000。
- 2042-2125:2000番台2-7次車のうち4両編成の4号車、6両編成の6号車、8両編成の8号車。併結時は異なる場合あり。221系性能は+4000。
- 2501-2504:2500番台1・2次車のうち5両編成の5号車、3両編成の3号車。後に編成組み替えあり。
- 2505-2519:2500番台3次車4両編成のうち4号車。
- 5001-5007:5000番台のうち2号車。
- 5501-5516:5500番台のうち2号車。
- サハ223
- 1-18:0番台6両編成のうち2,5号車。後に編成組み替えあり。
- 101-109:0番台6両編成のうち4号車。後に編成組み替えあり。
- 1001-1041:1000番台のうち8両編成の3,4,6,7号車、4両編成の3号車。併結時は異なる場合あり。
- 2001-2095:2000番台1次車のうち8両編成の3,4,6,7号車、4両編成の3号車。併結時は異なる場合あり。221系性能は+4000。
- 2096-2243:2000番台2-7次車のうち8両編成の3,4,6,7号車、6両編成の2,4,5号車、4両編成の3号車。併結時は異なる場合あり。221系性能は+4000。
- 2501-2503:2500番台2次車のうち5両編成の2,4号車、3両編成の2号車。後に編成組み替えあり。
- 2504-2508:2500番台3次車4両編成のうち3号車。
- モハ223
- 1-9:0番台6両編成のうち3号車。後に編成組み替えあり。
- 1001-1023:1000番台のうち8両編成の2,5号車と4両編成の2号車。併結時は異なる場合あり。
- 2001-2018:2000番台1次車のうち8両編成の2号車。併結時は異なる場合あり。
- 2019-2085:2000番台2次車のうち8両編成の2号車、6両編成の3号車。併結時は異なる場合あり。221系性能は+4000。
- 2140-2200,2301-2314:2000番台2-7次車のうち8両編成の5号車、4両編成の2号車。併結時は異なる場合あり。221系性能は+4000。
- 2501:2500番台2次車5両編成のうち3号車。後に編成組み替えあり。
- 2502-2526:2500番台3次車4両編成のうち2号車。
編成表[編集]
223系の編成一覧を参照。
今後[編集]
今後の方針を鑑みると、試験車という特性から早期にお役御免となった9000番台を除き少なくとも数年以内の廃車は考えられないが、2000・2500・6000番台で統一された一部編成を中心に先頭車化改造やワンマン化工事がなされ、加古川線や福知山地区、山口地区に転属する流れがあっても不思議ではない。
また、5500番台についても福知山地区の後継車次第では京都向け車両との併結を廃止したり、221系との併結を完全に取りやめ223系以降に限定したり、後者の煽りで6000番台6両が網干より京都に追加転入したりの流れも想像に難くない。
脚注[編集]
注釈[編集]
- ↑ なおVVVF更新については体質改善を実施していない編成についても検査を受けた順に実施されている。
他の車両との関係[編集]
前後世代で同用途[編集]
- JR西日本221系電車 - 一世代前
- JR西日本225系電車 - 一世代後
近い世代の他用途[編集]
- JR西日本207系電車 - 通勤用
- JR西日本281系電車 - 特急用
- JR東日本E217系電車 - 東日本の近郊用