新幹線E4系電車

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新幹線E4系電車とは、1997年から2021年まで東日本旅客鉄道が保有していた新幹線車両。

日本の新幹線車両における最後のオール2階建て新幹線である。

概要[編集]

時は平成初期。いわゆるバブル経済によって、通勤や旅行を目的とした新幹線の需要が高まったこと、東北新幹線開業初期に製造された200系の老朽化により、新幹線の車両不足が発生した。
これを補うため、輸送力に全振りしたオール2階建て車両E1系が導入された。が、E1系は12両編成であり、東北新幹線で導入されつつあった増解結を前提としていなかったことから、6編成72両しか製造されなかった[注 1]
E1系の改善点を取り入れ、1997年12月20日に運転を開始したのが、当形式である。E1系と同じく「Max」の愛称がつけられた。

製造[編集]

川崎重工業(車両カンパニー)と日立製作所(笠戸事業所)にて26編成208両が製造された。

編成番台区分[編集]

P0番台
言わずもがな基本区分。P1編成~P22編成が該当し、1997年~2001年の間に落成。
1次車(P1~P3編成)、2次車(P4~P10編成)、3次車(P11~P22編成[注 2])に分けられる。
P50番台
Maxあさま号での運用において、ブレーキをP0番台より比較的強くした区分。P51、P52編成が該当し、2001年に落成[注 3]
Maxあさま号では軽井沢駅始発の上り列車の運用に就いた[注 4]
PN編成とも呼ばれる[注 5]
P80番台
Maxあさま号での運用において、P50番台の仕様に加えて50Hz/60Hz周波数切替装置を搭載している区分[注 6]。4次車に分類され、2003年に落成。
Maxあさま号としての運用を前提に製造されたが、Maxあさま号の運用が2003年9月に終了したため、少なくともP82編成はMaxあさま号としての運用実績を持ってない[注 7][注 8]
PD編成とも呼ばれる[注 9]

沿革[編集]

1997年10月
P1~P3編成が落成[注 10]。運転開始までの2ヶ月間試運転される。
1997年12月20日
東北新幹線での運行を開始。デビュー当初の運転区間は東京駅盛岡駅間。
1999年4月28日
山形新幹線つばさ号との併結運転を開始。これと平行してP4~P10編成が落成。
2001年5月7日
上越新幹線での運行を開始。これと平行して2000年7月よりP11~P22編成が落成。 
2001年7月22日

あさま (列車)」も参照

長野新幹線(現・北陸新幹線)高崎駅軽井沢駅間にて臨時列車Maxあさま」の運転を開始[注 11]。これに伴い、同年1月・2月にP51、P52編成が落成。
2003年9月15日
Maxあさまの運行を終了[注 12]
2005年12月10日
東北新幹線での運行区間が東京駅~仙台駅間に短縮[注 13]
2012年3月17日
ダイヤ改正に伴い、運用本数の過半数E2系に置き換わり(主につばさ号との併結運転で置き換えられた)、東北新幹線大宮駅以北での16両編成の定期運行を終了。入れ替わる形で上越新幹線越後湯沢駅以北での16両編成の定期運行を開始。
2012年9月29日
ダイヤ改正に伴い、大宮駅以北から撤退。以降上越新幹線にて運用されることになる[注 14]
2013年7月
P2編成及びP3編成が廃車。当形式における廃車体があらわれることに。
2014年4月7日
同年4月1日~6月30日に行われた新潟ディスティネーションキャンペーンに伴い、塗装及びロゴマークを変更[注 15]
2016年
秋に残存する全ての編成の塗装変更が完了[注 16][注 17][注 18]
2017年
E7系を上越新幹線に投入及びそれに伴うE4系の置き換えにより、2020年度末に引退する方針が発表。
2019年

新幹線E7系電車#令和元年東日本台風による影響」も参照

令和元年東日本台風によるE7系・W7系の大規模な水没・廃車に伴い、引退時期が延期された[注 19]
2020年12月
引退時期が2021年秋頃になる方針が発表される。
2021年3月12日
残存していた7編成[注 20]ラストランラッピングが施される[注 21]
2021年10月1日
定期運行を終了。最後を飾った運用はMaxたにがわ416号[注 22]
2021年10月9・10・16・17日[注 23]
P82編成による団体列車が運転。これにより、当形式の運行が完全終了する。
2022年3月30日
P82編成が廃車となり、新幹線総合車両センターにて解体される。これにより、「E4系」が廃形式となる。

脚注[編集]

  1. ほぼ同世代の400系(12編成84両)よりも少数である。
  2. P16、P17編成の間に後述するP50番台が落成している
  3. 落成した順番としてはP16編成の後、P17編成の前となっている。そのため、3次車に入るが、異彩を放つ編成となっている。
  4. 尚、下り列車は存在しない。その理由として、自重と乗員・乗客の重量で急勾配区間である碓氷峠を登ることが厳しい(というかそもそも重いので、自重だけで峠越えするのもギリギリだった)といった懸念があったから。このため、Maxあさま号の運用は、一旦軽井沢駅まで回送列車として運転し、そこから上りのMaxあさま号に充当されるといったいかにも効率の悪い運行であった。
  5. N=長野(Nagano)。
  6. 一見長野駅にも容易に乗り入れができそうだが、あくまで50Hz区間をメインにしている簡易的な造りのため、長い時間60Hz区間にいると壊れてしまうため、メインの運用はP50番台と同区間に留まっている。
  7. P81編成は2003年7月30日に、P82編成は2003年11月20日。
  8. もっとも、兄貴分のP81編成も試運転だけで打ち切りになってそうだが…。
  9. D=デッドセクション(Dead section)
  10. 初めから量産車として落成しているため、量産先行車(いわゆるS○編成)は存在しない。
  11. ただし、碓氷峠の急勾配区間での懸念から、「Maxあさま」は上り列車しか存在しない。
  12. 尚、この年の7月及び11月にP81、P82編成が落成している。
  13. これと入れ替わる形で東京駅~盛岡駅間を運転するはやて号が設定された。余談だが、盛岡駅以北には試運転の形で乗り入れている。
  14. これに伴い、全編成が新幹線総合車両センターから新潟新幹線車両センターへと転属した。
  15. デビュー当初は飛雲ホワイト(車体上部)と紫苑ブルー(車体下部)のツートンカラー(いわゆる平成初期の東北新幹線の基本カラー)に山吹イエローのラインが入った配色だったが、E1系に準じた色(山吹イエローを鴇色に変更)に変更された。ロゴマークもデビュー当初E1系に準じたデザインだったが、トキが3話飛ぶといったデザインに変更された(一応申し訳程度にMaxと書かれているのだが)。尚、塗装変更第一号はP5編成。
  16. 因みに、P1編成はこの年の4月に廃車となっている。一応塗装変更は施行されていたのだが…。
  17. 先述したとおり、P2、P3編成は2013年7月に廃車となっている。この2編成は当形式において塗装変更が行われなかった編成である。
  18. 尚、塗装変更期間である2年間は山吹イエローと鴇色の混結16両編成の姿も見られた。ラインだけ見たらあたかもハムエッグのようである。
  19. このどさくさに事実上廃車となっていた編成もいたが、ピンチヒッターとして運用復帰している。
  20. P11~P14、P52、P17、P82編成が該当。
  21. テーマは「Thank you!Max!
  22. 新潟始発はMaxとき348号
  23. 9・10日はサンキューMaxとき&やまびことして上越新幹線(新潟駅~盛岡駅間、大宮駅経由)、16・17日はサンキューMaxとき(新潟駅~東京駅間)として運行。

関連項目[編集]

新幹線の車両
現役車両
JR北海道
北海道新幹線 H5系
JR東日本
東北新幹線 E2系(1000番台) / E5系
北陸・上越新幹線 E7系
山形新幹線 E3系(2000番台) / E8系
秋田新幹線 E6系
JR東海
東海道新幹線 N700系(2000番台X編成) / N700A(1000番台G編成) / N700S(0番台J編成)
JR西日本
山陽新幹線 500系(7000番台V編成) / 700系(7000番台E編成) / N700系(5000・7000番台K・S編成) / N700A(4000番台F編成) / N700S(3000番台H編成)
北陸新幹線 W7系
JR九州
九州新幹線 800系 / N700系(8000番台R編成)
西九州新幹線 N700S(8000番台Y編成)
事業用車両
JR東日本 E926形(East-i) / E956形(ALFA-X)
JR東海 N700S(確認試験車J0編成)
JR西日本 923形(3000番台T5編成)
運用終了車両
国鉄→JR東日本
東北・上越新幹線 200系 / E1系 / E2系(0番台J編成) / E3系(700番台R19編成) / E4系
北陸新幹線(長野新幹線) 200系(F80編成) / E2系(0番台N編成) / E4系(P51、52編成)
山形新幹線 400系 / E3系(1000番台700番台R18編成)
秋田新幹線 E3系(0番台)
国鉄→JR東海・JR西日本
東海道・山陽新幹線 0系 / 100系 / 300系 / 500系(0番台W編成) / 700系(0・3000番台C・B編成) / N700系(0・3000番台Z・N編成)
事業用車両
国鉄 1000形 / 921形 / 941形 / 922形(0・10・20番台T1・T2・T3編成) / 951形 / 961形 / 962形 / 925形(0・10番台S1・S2編成)
JR東日本 952形・953形(STAR21) / E954形(FASTECH 360 S) / E955形(FASTECH 360 Z)
JR東海・JR西日本 500系(900番台W0編成、WIN350) / 955形(300X) / 923形(0番台T4編成) / 300系(J1編成) / N700系(9000番台Z0・X0編成)
JR JR東日本の鉄道車両
客車
特急型(寝台含む) 14系(14形・15形)* - 24系(24形・25形)* - E26系
急行型 12系*
一般型客車 50系* - 旧型客車*
気動車
特急型 なし
急行型 キハ58・キハ28*
一般型 キハ40・キハ47・キハ48*(・2代目*) - キハ52* - キハ30・35・36* - キハ37* - キハ38* - キハ45* - キハ100・キハ110 - キハE120・キハE130 - キハ141*
電車
直流
特急型 183系・189系* - 185系* - 251系 - 253系(1000番台)0番台は引退済み - 255系 - E257系 - E259系 - E261系 - E351系 - E353系 - 651系(クハ651-1001)
急行型 165系・167系・169系* - 157系*
近郊型 111系・113系* - 115系* - 123系* - E129系 - E131系 - 211系* - E217系 - E231系1000番台 - E233系3000番台
通勤型 旧型国電 - 101系*103系* - 105系* - 107系 - E127系 - E131系 - 201系*クハ201-1) - 203系* - 205系*(・500番台) - 207系900番台* - 209系 - 215系 - E231系(1000番台除く) - E233系(3000番台除く) - E235系 - 301系*
交直流
特急型
一般用 485系・489系* - 583系* - 651系(0番台) - E653系 - E657系
貴賓・団体用 E655系
急行型 455系・457系*
近郊型 401系*403系*415系* - 417系*
通勤型 E501系 - E531系
交流
特急型 E751系
急行型 なし
近郊型 715系* - 717系* - 719系
通勤型 701系 - E721系
ハイブリット車
気動車 キハE200形
ハイブリッド車(蓄電含む) HB-E300系 - HB-E210系 - HB-E220系 - EV-E301系 - GV-E400系 - EV-E801系
その他車両
旅客 E001形四季島専用) - HB-E300系
事業用車
機関車
電気機関車
直流 EF55形* - EF58* - EF60形* - EF62形* - EF63形* - EF64形* - EF65形*
交直流 EF81形* - EF510形
交流 ED75形*
ディーゼル機関車 DE10形 - DD51形*
蒸気機関車 D51形 (498号機)* - C57形 (180号機)* - C58形 (239号機)* - C61形 (20号機)*
電車
直流 143系* - 145系*
交直流 E491系 - E493系
交流 なし
気動車 キヤE193系 - キヤE195系 - GV-E197系
除雪モーターカー ENR-1000形
研修用機械 E991系(偽)
新幹線
旅客 200系* - E1系 - E2系 - E3系 - E4系 - E5系 - E6系 - E7系 - E8系
検測車 E926形(East i)
「*」がある形式は国鉄から継承。右上に「廃」と書かれた形式はJR東日本には書類上存在しない。
データは2023年1月19日現在のもの。