新幹線955形電車

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

955形電車(955がたでんしゃ)とは、東海旅客鉄道(JR東海)が開発した新幹線高速試験電車である。愛称は300X

概要[編集]

営業運転に供することをハナから考えていない純然たる試験車で、JR東海では唯一の存在。6両1編成が1994年(平成6年)に製造された。

アルミ合金製ボディマウント構造の車体を採用し、次世代車両製造に必要なデータ収集のため車両ごとに製造方法が変更されている他、前後の先頭車の形状が異なっている。1号車(博多方)はカスプ型、6号車はラウンドウエッジ型と呼ばれる。

制御方式はPWMコンバータ+GTOサイリスタのVVVFインバータで、連続定格出力405kWの三相かご形誘導電動機を制御する。

編成[編集]

6両編成で、編成記号はA

955-1(1号車)
博多方の制御電動車で、カスプ型の先頭形状を採用。車体は超ジュラルミンをリベット結合したセミモノコック構造。
955-2(2号車)
パンタグラフを搭載する中間電動車で、アルミ中空大型押出形材を使用したダブルスキン構造。この構造は後に700系に採用されている。この車両のみ車内に座席が設置されており、博多方は通路を挟んで横4列、東京方は通路を挟んで2+1列の配置。
955-3(3号車)
中間電動車。300系と同じアルミ中空大型押出形材をスポット溶接したシングルスキン構造。車内にはトイレがある。この車両の台車には油圧式車体傾斜装置が搭載されている。
955-4(4号車)
中間電動車で、車体工法は2号車と同じ。後年、パンタグラフが追加設置された。
955-5(5号車)
パンタグラフを搭載する中間電動車で、500系と同じろう付けアルミハニカムパネルを使用した構造。
955-6(6号車)
東京方の制御電動車で、ラウンドウエッジ型の形状を採用。車体工法は5号車と同じ。3号車と同じく、油圧式車体傾斜装置を台車に搭載。

運用[編集]

1995年(平成7年)1月より試験走行を開始。徐々に最高速度を向上させ、1996年(平成8年)7月26日に鉄輪式鉄道車両による日本最速レコードである443.0km/hを記録。6号車にチャンピオンエンブレムが設置された。落成当初はワイングラス型の大型パンタグラフカバーが設置され、試験の過程では様々なパンタカバー・パンタグラフが試されている。

レコード記録樹立後は後継車両開発に必要なデータ収集や新型保安装置の試験などに用いられ、2002年(平成14年)1月で全ての試験を終了。同年2月に廃車となった。両先頭車は解体を免れ、955-1は滋賀県米原市鉄道総合技術研究所風洞技術実験センター敷地内へ、955-6はJR浜松工場リニア・鉄道館シンボル展示エリアにてそれぞれ保存されている。中間車は全て解体処分された。

関連項目[編集]

同時期の他社の新幹線高速試験電車