JR東日本209系電車
209系電車(209けいでんしゃ)とは、東日本旅客鉄道(JR東日本)が設計・開発し運用中の直流通勤型電車である。
概要[編集]
国鉄から大量の高齢車両を継承したJR東日本は、それまでの常識を根本から覆す新系列車両の開発を決定。重量半分・寿命半分・コスト半分のコンセプトの下で誕生したのが209系である。
209系は短寿命・低コストの設計思想から鉄道ファンの間では当時多く使用された使い捨てカメラ写ルンですをもじった走ルンですの愛称で呼ばれることがある。実際、2010年代は後継車両への置き換えにより短命で廃車となった車両もある一方、搭乗から30年を過ぎた現在も活躍を続ける車両も多い。
主要機器[編集]
JR東日本としては初めて本格的にVVVFインバーターを採用した形式である。台車にはTR246、DT61を履き、この台車はE231系までのJR東日本の新系列電車に幅広く採用された。
主電動機はMT68で、JR東日本では初めて本格的にかご形三相誘導電動機を搭載した。ただし、500番台は初期車についてはMT68A、後期車についてはMT73が採用された。500番台では後期車はE231系と同一でMT73しか搭載できないとされてきた。
しかし、現在ではMT68がE231系やE217系などの予備品と思われるMT73に換装されたり、逆にMT73を搭載していた編成が検査明けにMT68になるということが数多く発生している。近年ではMT68化が特に500番台で顕著である。逆に2000番台ではMT73化が進んでいる。そのため、500番台では前述のMT73しか搭載できないとされた、後期車に当たるグループであるケヨM71~ケヨM74のMT68に換装されており、この説は間違いということが判明している。
VVVFインバータには901系C編成の三菱電機製のGTO素子のものを採用した。独特な磁界音でファンを魅了したが、2010年ごろから後述する通り残存している編成で機器更新が始まり、順次E233系と同一の三菱IGBTへ更新された。2021年までに1000番台を除く全ての車両の機器更新が完了し、1000番台についても2024年秋を以て引退したため、当形式の未更新車は消滅となった。
車両[編集]
- 車体には大きな一枚の窓が付けられた。
- 前面デザインはミラノ地下鉄8000系電車ものをベースとした。
- 台車はボルスタレス台車で軽量の物が新たに開発された。
- モーターは交流モーターで定格は95kWと従来の電車より低いが、これは短時間の過負荷使用を前提としている。
- 制御装置は試験的に使われてきたGTOサイリスタ素子駆動のVVVFインバータを本格採用した。
- 大きな一枚窓は後に換気のため開閉可能な窓に改装された。
- 500番台・950番台および500番台からの改造車である3500番台は幅広車体を採用しているが、それ以外はストレート車体を採用。
番台別概説[編集]
試作車(901系)[編集]
1992年に登場した試作車。全車が4ドアの10両編成である。落成当初は車体側面上部の帯は黒色であったが、後にスカイブルーへ改められた。
A編成(富士電機製PTr-VVVF搭載)・B編成(東芝製GTO-VVVF搭載)・C編成(三菱製GTO-VVVF搭載)の3本が製造され、1992年5月より京浜東北線及び根岸線で営業運転を開始した。1994年より量産化改造が実施され、A編成は900番台・B編成は910番台・C編成は920番台にそれぞれ改番の上で209系に編入された。
0番台と共通運用が組まれたが、中央・総武線から転属してきた500番台に置き換えられる形で2006年までに全車が引退。現在はクハ209-901が東京総合車両ベースにて整体保存されている。
0番台[編集]
京浜東北線[編集]

上記901系の試験結果を踏まえ、1993年2月に登場した量産車。1997年までに10両編成78本が投入され、103系及び205系を置き換えた。ウラ1編成からウラ35編成までは全車4ドアで製造されたが、1995年度増備分のウラ36編成以降は6号車が6ドアのサハ208形に変更されたため、初期車と後期車の組み替えが行われた。
2007年より後継のE233系1000番台への置き換えがスタートし、2010年1月24日を以て営業運転を終了した。運用離脱車両は田端・大崎経由で東大宮操車場へ一旦回送されたのち、疎開または廃車のため東日本各地へ配給輸送された。
ウラ1・3・4・5編成は全車が廃車解体となったものの、大半は房総地区向け(2000・2100番台)に改造された。また、ウラ22・24・46編成が南武線向け(2200番台)に転用されたほか、ウラ2編成が多目的試験車「MUE-Train」となった。
南武線[編集]

横浜線へ転属した205系の代替として6両編成1本(ナハ1編成)が製造され、1993年4月より営業運転を開始した。さらに1997年にはダイヤ改正での所要数増加に伴い、追加で1本(ナハ32編成)が増備された。
ナハ1編成は2009年に2200番台に置き換えられて廃車となったが、ナハ32編成は2015年のE233系8000番台登場まで活躍を続けた。
500番台[編集]
3500番台は500番台を転用改造を施した番台である。
前面は他の209系と異なり、E231系や209系950番台と同一の前面となっている。
なお、209系950番台は後に改番され、現在はE231系900番台となっている。
17本170両が総武緩行線に導入、習志野電車区に配置された。
- 京浜東北・京葉線転属編成
- まず京浜東北線に5編成が転属。直後に京葉線に全5編成が転属する予定であったが4編成のみにとどまりマト80→C516が総武緩行線に戻る。その後京葉線の全4編成が武蔵野線へ転属される予定であったが、E331系を残存させE233系の製造本数を一本削減していたがE331系が廃車。必要編成が不足したため現在でもケヨ34を名乗る1編成が京葉線にて運用されている。
- 武蔵野線転用編成
- いずれも既存の205系の置き換えや増発用としての転属である。旧6号車と旧7号車の付随車を脱車・解体したうえで旧2号車の付随車を旧5号車と旧8号車の間、つまり新たな5号車に連結されていて、2018年以降に総武緩行線から追加された8編成も2010年から2011年にかけて京葉線から武蔵野線に転属した3編成と同様の改造が施されている。
- 総武緩行線残存編成
- 山手線にE235系が導入、E231系500番台が置き換えられ総武緩行線に転属。同路線に配置されていた209系500番台が置き換え対象となり、八高・川越線、武蔵野線に転属することになった。
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中央総武線時代の500番台
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武蔵野線時代の500番台
950番台[編集]
詳細は「JR東日本E231系電車#900番台」を参照
1000番台[編集]

1999年の常磐緩行線のダイヤ改正により2本導入された。運行区間は取手駅から千代田線・代々木上原駅までで、小田急線には乗り入れなかった。
2019年から中央快速線へ転属。運行番号97T・99Tが所定の東京~高尾間の運用である。青梅線・五日市線や高尾以西での定期運用はない。
2024年9月6日までに2編成とも運用を離脱、9月15日には拝島電留線で撮影会が行われた。
2025年1月27日~28日にはトタ82編成、同2月3日〜4日にはトタ81編成がそれぞれ長野総合車両センターへ廃車回送された。電車では初のE493系牽引での配給になったほか、配線や不正車軸の都合により東大宮始発で回送された。その後、4月7日付で全車が廃車され、廃区分番台となった。
2000番台・2100番台[編集]

京浜東北線にE233系電車が導入されたことにより、これによって置き換えられた209系に改造を施し、2009年以降幕張車両センターに導入された。
房総の海沿いを走るため車体が茶色に変色しており、鉄道ファンから「暴走⑨」というあだ名をつけられている。2021年3月のダイヤ改正では一部がE131系に置き換えられ廃車されたほか、4+6両の10両での運転が無くなった。2025年度以降、E233系余剰車の転属やE131系の追加投入によりさらなる廃車の発生が見込まれる。
運用離脱車のうち2021年7月6日には6両が、11月23日から24日にかけて4両が伊豆急行へと甲種輸送された。なお、今後運用離脱が進んだ際の、西武のサステナ車両としての候補ともなっていた。
なお、先頭車のモケットはE233系と同レベルのフカフカな物に換装されているほか、ボックスシートも装備しているため車内は209系ファミリーの中で最も快適と思われる。
2200番台[編集]

上述の2000番台とともに機器更新の上で京浜東北線から南武線に転属したグループだが、2100番台と異なりトイレは持たない。こちらもE233系の新造で置き換え廃車が進み、最後に残った元ナハ53、1本のみB.B.BASEに転用されて残っている。この時にトイレが増設されている。
3000番台[編集]
八高線一部区間電化による増発のため、投入された。4両編成で半自動ドアボタンがついており、0番台とは相違点も多い。
E231系3000番台や209系3500番台の登場により、全車両置き換えられ、廃車・解体された。ただし1編成の中間モハユニットのみ訓練車に改造され、現在でも東大宮で見ることができる。
3100番台[編集]
東京臨海高速鉄道りんかい線の全列車10両固定化に関連して6両分の70-000系をJR東日本が購入し、2両を新造のうえ、上記3000番台と同記の理由で八高・川越線に投入された。設備は3000番台とほぼほぼ共通であるが、LED幕と言うことと70-000系からの改造跡が残る。機器更新もされず、また八高・川越線ワンマン化に伴う車両改造工事の対象外となっており、2022年春の八高・川越線ワンマン化開始を前に運用終了。2022年1月上旬には盛大なお別れイベントが開催され、2022年3月に引退した。現在は全車両が郡山総合車両センターにて解体済み。
3500番台[編集]

500番台の改造車である。
既存の205系3000番台、209系3000番台、209系3100番台を置き換えるために、2017年から2019年にかけて5編成が4両化されて八高線に転属している。
2~7号車を脱車したうえで、機器更新工事、半自動ドアボタンと半自動ドア回路を追加する工事を行った。
またこの改造により、209系500番台は3500番台に改番された。編成番号はハエ50番台。脱車されて余剰になった車両は廃車解体された。
改造[編集]
量産化改造[編集]
901系を209系900番台・910番台・920番台に改造したものである。
機器更新[編集]
900番台の機器更新とそれ以外の機器更新が存在する。
900番台は元々富士電機製のPTr-VVVFを採用したが、様々な問題があり量産車と同じ三菱製GTO-VVVFに交換された。
それ以外の車両では、三菱製GTO-VVVFが老朽化したことからIGBT-VVVFに交換した。その多くが他線区への転用改造と同時に施工された。500・2000・2100・2200・3500番台に施工。
ドアエンジン更新[編集]
ナハ52編成のクハ209-2202とクハ208-2202において、ラック式ドアエンジンの試験を行うため、ドアエンジンが更新された。廃車までドアエンジンは戻されることなく活躍した。
他会社の形式[編集]
東京臨海高速鉄道70-000形[編集]
詳細は「東京臨海高速鉄道70-000形電車」を参照
東京臨海高速鉄道りんかい線の開通にともない導入。実は設計が209系と共通しており、209系扱いされることが多い。実際、70-000形の6両が209系に編入されている。
ちなみに、現在は小規模リニューアルを行い、表示器を横長LCDとしている。そのせいか(209ファミリーでは)珍しくドアチャイムの劣化はあまり見られない。2025年以降の71-000形による置き換えが決定しているが、JR九州への譲渡車が出ており、今後が特に注目される。一時期は西武送りという意見もあったが置き換えペースの関係で流れたようである。
譲渡[編集]
伊豆急行3000系[編集]
詳細は「伊豆急行3000系電車」を参照
伊豆急行が2022年に導入した車両。JR東日本から2100番台の4両編成2本を譲り受けている。愛称は「アロハ電車」。
保存車[編集]
東京総合車両センターにクハ209-901が保存されている。車番はクハ901-1になっているものの、上帯は901系時代の黒色ではなく水色のままである。
今後[編集]
武蔵野線500番台は構造にE231系の要素がある一方、検査周期延長対象から外されていること、TASCに対応できない疑惑[注 1]があるため、今後のE235系・E233系余剰車及びE131系導入の動向次第では取り替えられる可能性もある。更にM80編成については主電動機がE231系の世代と異なるMT68である点もやや引っかかる。
ケヨ34編成は現状安泰であるものの、労組が数年前から車外スピーカーを設置するよう求めているにも関わらず本社側が拒否し続けていることなどから、武蔵野線用、特に同じ主電動機を持つM70編成と同じタイミングでの引退が見込まれる。
関連項目[編集]
- 205系 - 一世代前
- E231系 - 後継車両
- E501系 - 209系の交直流対応版
- E217系 - 同世代近郊型車両
- E257系 - 同世代特急型車両
- 300系 - 同世代新幹線型車両
- JR西日本207系電車 - JR西日本の同世代通勤型車両
脚注[編集]
- ↑ 正確に言うと、209系のMONに対応するTASCが開発されていない疑惑。
外部リンク[編集]
- JR東日本:車両図鑑>在来線 209系 - 東日本旅客鉄道
- グッドデザイン賞受賞概要
JR JR東日本の鉄道車両 |