微分方程式

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微分方程式 (びぶんほうていしき)とは、関数y=y(x)とその導関数等と独立変数を含む方程式をいう。微分方程式が与えられたとき、それに満足する関数を求めることを微分方程式を解くという。

入門編[編集]

例[編集]

dydx+3y+x=0


d2ydx2−3(dydx)2+2y=x

などはその例である。 y=y(x)を未知関数、xを独立変数という。

高等学校の数学の応用[編集]

平面上の半径cの曲線の集まり、つまり曲線群と微分方程式の関係について考える。平面上の直交座標(x、y)について、次の方程式で表せられる。

x2+y2=c2

は原点を中心とする半径cの円を表す。定数cに種々の値を与えると、原点Oを中心とする同心円の集まりが得られる。今、円群に属する全ての円が共通に持っている性質を求めよう。そのためには上の方程式から出発して定数cを含まない式を導けば良い。そこでyをxの関数とみなして上の両辺xで微分する。


2x+ddxy2=0

すると合成関数(数学Ⅲp76、p77参照)より次の式となる。

2x+dydxddyy2=0

これは定数cを含まない。これを整理して次の式となる。

x+dydxy=0

または、

dydxyx=−1

となる。これは円群(1)に属する全ての円が共通に持っている性質であり[1]、1階微分方程式である。

応用、人間生活との関わり・利用[編集]

次に示すように、物理学、生物学、構造工学、電気工学、都市工学、天文、経済等と幅広い分野で、微分方程式で表現可能な現象が多い。そのため、微分方程式を数学的あるいは数値解析的に解くことで、現象を調べることがよく行われている。

微分方程式の応用例[編集]

問題例[編集]

(1) 質量mの物体が空中を鉛直に落下する。この時、物体が受ける抵抗力を無視すれば、この物体の運動方程式は、gを重力の加速度として


mdvdt=mg

である。最初の速さが0で落下し始めるとき、速さvを時間tの関数で表せ。

(2) 長さl、曲げ剛性EIの桁橋(単純梁AB(Aは回転支点、Bは可動支点))について、等分布荷重ωのとき、たわみ角及びたわみを微分方程式を用いて求めよう。ただし、EIは一定とする。

(考え方)

弾性荷重 MEI

Aからの距離xのところに荷重がかかるとする。


① 梁の弾曲線方程式 d2ydx2=−MxEI

② たわみ角θ θ≒tanθ=dydx=−∫MxEIdx

③ たわみy y=−∬MxEIdxdx

④ たわみ、たわみ角は不定積分を行うので、積分定数が出てくる。この積分定数は梁の支持条件から求める。

(解き方)

① 曲げモーメント Mx=ωl2x−ω2x2

② たわみ角θ θ=−∫MxEIdx=−ωl4x2+ω6x3+C1EI

③ たわみy  y=−∬MxEIdxdx=−ωl12x3+ω24x4+C1x+C2EI

④ 積分定数を梁の支持条件から求める。

x=0のときy=0であるから、 C2EI=0

以上より C2=0

x=lのとき、y=0であるから、−ωl12l3+ω24l4+C1l+C2EI=0

以上より C1=ωl324

⑤ ②~④より、たわみ角、たわみの一般式は次式で表される。

(1) 最大たわみ角は、支点(x=0、l)で生じる。

x=0のとき、②に代入してθA=ωl324EI

x=lのとき、②に代入してθB=−ωl324EI

(2) 最大たわみは梁中央部が最も大きいのでx=l/2だからこれを③に代入すると

ymax=5ωl4384EI

難解編[編集]

数学の解析学諸分野に於ける〝微分方程式〟とは独立変数、従属変数(関数)及びその導関数(ないし偏導関数)を含む方程式の事をいう。

正確には微分方程式は1変数関数を扱う「常微分方程式」と2変数以上の所謂多変数関数を扱う「偏微分方程式」に大別されるのだが単に微分方程式と言った場合常微分方程式を指す事が多い。
方程式と言うからには解を求める事が目標となる訳であるが[2] 数多ある微分方程式の解法を網羅するのは容易な事ではない。 本頁では幾つか簡単な解法を紹介してゆくだけにとどめて詳細については割愛させてもらう事にする。

また、一見複雑に見える微分方程式でも変数変換などの組み合わせにより、簡単な形に帰着させることができる場合もある。例えば、n次導関数などの高次の微分を含んでいても、変数変換や連立微分方程式を用いて解を出せることがある。連立微分方程式を用いるときは、各変数をベクトルに格納して、ベクトルの微分を導入すると一括で計算できる。
他には、斉次方程式の解が分かれば、非斉次方程式の解を勘で当てることでその和を解とすることができる。ただし、単なる勘で当てることは現実的ではない。
さらに、ラプラス変換表が手元にあれば(あるいは覚えていれば)、ラプラス変換と逆ラプラス変換の性質を利用して解けるものもある。このとき物理的には、ラプラス変換して得た、(周波数領域を意味する)sドメインの代数方程式を解いて、それを逆ラプラス変換で、(時間領域を意味する)tドメインの解に戻すことになる。sドメインでは微分・積分がかけ算の形で書けるので、tドメインの微分方程式を解くことはsドメインの代数方程式を解くことに相当し簡単である。一方でsドメインとtドメインを相互に変換するのが難しく、一応原理的には複素積分を知っていればラプラス変換表がなくてもできるが、およそ人間のやることではないような計算にもなりうる。

微分方程式が連続的な値を引数とする関数に対する関係式であることに対して、漸化式(差分方程式)は離散的な値を引数とする数列に対する関係式である。コンピューターでは離散的な値を扱うので、微分方程式をコンピューターで解くときは漸化式による数値解析の場合が多い。よって、コンピューターを用いて得た結果は解析解とのズレが生じる。取り扱う値の間隔しだいで精度が決まり、計算時間と精度がトレードオフになる。そのため、適切な精度になるような間隔にする必要があるが、初期値鋭敏性があるものなどは僅かな差が大きな問題になることもあるので注意が必要(バタフライ効果?)。また、ラプラス変換の離散バージョンであるZ変換も利用できる。一応、関数をシンボリックにあつかうプログラムもあるにはある。

常微分方程式の代表的なものに、2階線形微分方程式がある。変数分離形とは限らないが、線形なので解析的に解ける。いわゆる初等関数(指数関数、対数関数、三角関数)などは複素空間上ではその解になる。非線形の微分方程式は大体において解析的には解けないので、コンピューターを使って数値計算で追いかけまわしてようやく尻尾が掴めるかどうか?という奴である。「抽象」というのは「象をひっぱる」ということなので、むやみに抽象化すると死ぬような目に遭う。

初等関数はだいたい関数電卓でそれなりに追い回せるが、「尻尾をつかんだ!」「掴んだら死んでも話さないぞ!」とか考えていると命に係わる。まぁ、「群盲象を撫でる」程度の話なので、飼い馴らされた奴を撫でるくらいでやめといたほうがいい。

1階微分方程式[編集]

微分方程式に含まれてる導関数の最高階数をその微分方程式の階数と言う。ここでは1階の微分方程式の解法を紹介してゆく事にする。

変数分離形[編集]

以下のような幾分単純な形状の1階微分方程式の事を変数分離形の微分方程式と呼ぶ。;

dydx=f(x)g(y)

この微分方程式は「両辺÷g(y)」を計算したのちに(※ただしg(y)≠0。)置換積分を用いる事により以下のように解く事ができる。;

∫1g(y)dy=∫f(x)dx+C

g(y)=0の時は、y=Cとなる。

ちなみに左辺の積分定数は移項して1つにまとめた。微分方程式の世界では積分定数の事を任意定数と呼ぶ事が多い。

例題  最も簡単な微分方程式

dydx=ay、(a=Const)

の解(任意定数を含む解は一般解と呼ばれる)は以下のように求められる。;

∫1ydy=a∫dx+C、log⁡|y|=ax+C、
y=±eax+C (y≠0の時)
y=C (y=0の時)

  ∴y=Ceax

(ただし任意定数を±eC→Cと書き換えた。以下このような書き換えは適宜かつ暗黙裡に行うので何卒御了承願いたい。)

初期条件と初期値問題[編集]

微分方程式の一般解に対して任意定数に何らかの値を与え一意的に表した解の事を特殊解と呼ぶ。

微分方程式の問題の中にはこの特殊解を求めるために独立変数と関数及びその導関数の間にとある条件が課されている場合があり、初期条件と呼ばれている。初期条件が課された問題を初期値問題という。

1階微分方程式の初期値問題の場合初期条件は

y(x0)=y0

のような形で課されていて

「独立変数がこの値をとった時関数値はこーゆー値になる。」

という事を表わしている。微分方程式から求めた一般解にこの初期条件を当て嵌めれば任意定数を消去する事ができて、晴れて特殊解を求める事ができる。

2階以上の高階微分方程式の場合初期条件に導関数の関数値も加わって数多くの任意定数を(あたかも連立方程式を解くが如く)消去しなきゃならんので面倒臭い事この上無い。

ちなみに微分方程式の中には上述の初期値問題の他に境界条件と呼ばれる条件が課された問題所謂境界値問題とゆーのがある。初期値問題は領域上(定義域上)の一点に於ける条件を課した問題であったが境界値問題は領域の端っこ即ち「境界」(定義域の端っこ)に於ける条件を課した問題である。 常微分方程式の場合x軸の閉区間の端点(2個)での条件となるので消去すべき任意定数が2つ以上あるびぶほ即ち2階(以上の)微分方程式でなければ境界値問題は成立しない…と思う(知らんけど)


例題 次の微分方程式の特殊解を求めよう。;

dydx=−2xy2,y(2)=2

これは上記びぶほと同様変数分離形だから

∫y−2dy=−∫2xdx+C

より一般解y=1x2+Cが得られる。これに初期条件を代入すれば 2=14+CだからC=−72となる。これを一般解に代入する事により特殊解

y=22x2−7

が求まる。

尚、数学的には初期条件の独立変数の値はその値で未知関数やその導関数が∞にならなきゃ何でもいいんだけど応用的ないし物理学的には零が採用される場合が多い。またその場合独立変数は大概時間tで表す事が多いので初期条件は時刻t=0に於ける物理量(初速度や初期位相など)を表してる事になる。

また後述のラプラス変換による線形微分方程式の解法に於いてはそもそも独立変数(大体時間t)が零のときでないと専用の公式(微分法則)が使えないからそれが零でない初期条件など微分方程式の専門書ぐらいでしかお目にかかれない。

物理寄りの例題 質量mの物体が空中を鉛直に落下する。この時、物体はその速度vの2乗に比例する抵抗力

kv2

(k>0)を受けるとすれば、この物体の運動方程式は、gを重力の加速度として

mdvdt=mg−kv2

である。最初の速さが0で落下し始めるとき、速さvを時間tの関数で表せ。

解答 簡略化のためφ^2=k/mgとおけば上式は

dvdt=g(1−ϕ2v2)

と書ける。この等式を

1(1+ϕv)(1−ϕv)dvdt=g

と変形し、左辺の大きい分数を部分分数分解したのちに両辺を

12∫(11+ϕv+11−ϕv)dv=∫gdt+c

と時間tで積分すれば

12ϕlog⁡|1+ϕv1−ϕv|=gt+c

が成り立つ。これを更に変形すれば

1+ϕv1−ϕv=ce2ϕgt

が得られる(途中でこっそり任意定数を書き換えたので注意)。で、この式を分子にφv足したり引いたり分数に逆数とったり移項したり通分したり…と面倒臭い変形しまくってvに関して解いた等式がこちら☆

∴v=1ϕce2ϕgt−1ce2ϕgt+1

※検算してみて正しかったんで一応これが一般解やと思います。間違ってたらごめんなさい💦

あっ、いけね!特殊解求めなきゃいけないんだった!えーっと初期条件はv(0)=v0=0(初速度が零)だから上記一般解よりc=1が求まりやす。従って

v=1ϕe2ϕgt−1e2ϕgt+1

が上述の微分方程式の特殊解になります。ちなみにこれは双曲線正接関数を用いれば

v=1ϕtanh⁡(ϕgt)

と綺麗に表す事ができます☆

またこの微分方程式は以下の如き積分公式

  • ∫11−x2dx=tanh−1x

を使えばもっとエレガントに解く事ができるそーです。興味のある方は是非お試しあれ♪

1階線形微分方程式[編集]

以下の形の微分方程式

y′+P(x)y=Q(x)

を1階線形微分方程式という。(ちなみに方程式内に含まれる未知関数及びすべての導関数が一次式で表されている微分方程式を線形微分方程式という。)この微分方程式は上述の方法だけでは解けない。そこで以下のような工夫をする。

右辺を零とおいてy′+P(x)y=0という方程式(これを上記微分方程式に付随する同次方程式または斉次方程式という)を作ると、これは変数分離形だから以下のように解ける。

∫1ydy=−∫P(x)dx+C

  ∴y=Ce−∫P(x)dx

ここで任意定数Cを関数u=u(x)に置き換えて(この手法を定数変化法という) y=ue−∫P(x)dx を微分すれば y′=u′e−∫P(x)dx+ue−∫P(x)dx⋅(−P(x))

y′+P(x)y=u′e−∫P(x)dx

と変形できる。これがQ(x)と等しいとすれば

u′=e∫P(x)dxQ(x)
u=∫e∫P(x)dxQ(x)dx+C

が成り立つ。

従って上式から1階線形微分方程式の解は次のように表せる事が分かる。;

  • y=e−∫P(x)dx{∫e∫P(x)dxQ(x)dx+C}

例題  以下の微分方程式

y′+2y=8e2x

に上述の解の公式を適用すると∫P(x)dx=2xより

y=e−2x{∫8e4xdx+C}=e−2x(2e4x+C)=2e2x+Ce−2x

とゆー風に解が求まる。

ベルヌーイの微分方程式[編集]

 1階微分方程式

y′=P(x)y+Q(x)ym、(m≠0,1)

をベルヌーイの微分方程式という。このびぶほはu=y1−mなる変数変換を施すと

u′=(1−m)y−m⋅y′=(1−m)y−m(Py+Qym)=(1−m)(Pu+Q)

となって1階線形微分方程式に帰着する。

クレローの微分方程式[編集]

以下のような微分方程式をクレローの微分方程式という。; y=xy′+f(y′)。

y′=pとおくとy=xp+f(p)となるが、この両辺を微分すると y′=1⋅p+xp′+f′(p)⋅p′(=p)となってp′{x+f′(p)}=0が得られる。 p′=0の時、p=C(任意定数)であるからこれを元の方程式に代入する事により一般解

y=Cx+f(C)

が導かれる。

他方x+f′(p)=0の場合これと元の方程式とを連立させてpを消去すれば一風変わった解が得られる。この解は上記一般解の任意定数にいかなる値を代入しても求まらない解であり特異解と呼ばれている。

全微分方程式[編集]

2変数関数に関する1次微分形式

ω=P(x,y)dx+Q(x,y)dy

に対し等式ω=0を全微分方程式という。 上記の微分形式が或る2変数関数F=F(x,y)の全微分である時(即ちω=dFである時)完全微分であるという。全微分方程式は形式的に変形すれば

dydx=−P(x,y)Q(x,y)

と書けるので1階微分方程式の一種と言える。

以下上記微分形式が完全微分であるための条件を述べよう(議論が御世辞にも厳密とは言えない点については御容赦願いたい)。

上記2変数関数Fの全微分は

dF=∂F∂xdx+∂F∂ydy=Fxdx+Fydy

で表されるがωがFの全微分ならば

P=Fx,Q=Fy

が成り立たねばならない。ここで関数Fが2回連続偏微分可能であると仮定すれば2階偏導関数の性質よりFxy=Fyxが成り立つが、これと上記関係式を組み合わせる事により

Py=Qx

が得られる。即ち必要条件

ω=dF⇒Py=Qx

が導かれた事になる。

次に、逆にPy=Qxが成り立っていたとしよう。ここでやや天下り的であるが以下の様な2変数関数G=G(x,y)が存在していたとする。;

G=∫Pdx

この関数を偏微分すると

Gx=P,Gxy=Py=Qx

が成り立つが、移項する事により

Gxy−Qx=(Gy−Q)x=0

となる。そしてこの式の両辺をxで積分(偏積分?)すれば Gy−Q=q′(y)が得られる。

(※上式の右辺の任意定数ならぬ「任意関数」には微分を表すプライムをわざと付けている。理由は後述の関数F=F(x,y)を簡潔に表示せんがためである。)

上式からQ=Gy−q′(y)が得られるが、ここで

F=G−q(y)

とおけばこれを偏微分する事により

Fx=Gx=P,Fy=Gy−q′(y)=Q

となって微分形式ω=Pdx+Qdyがω=dFを満たす事が分かる。従って

Py=Qx⇒ω=dF

が導かれた。そして q′(y)=Gy−Qより次式が成り立つ。

F=G−∫(Gy−Q)dy

従って以下の公式が得られた事になる。;

  • F=∫Pdx+∫{Q−∂∂y∫Pdx}dy

完全微分の全微分方程式はω=dF=0という形になるのでこの全微分方程式の一般解はF=C、即ち

  • ∫Pdx+∫{Q−∂∂y∫Pdx}dy=C

なる形で与えられる事になる。

例題  以下の全微分方程式を考える。;

2x3y2dx+x4ydy=0。

これはPy=Qx=4x3yであるから完全微分形である。解の公式に当て嵌めると、まず

G=∫Pdx=12x4y2

であり、Q−Gy=0であるからこれより直ちに一般解

x4y2=C

が得られる。

次に、全微分方程式

Pdx+Qdy=0

が完全微分形でない、即ち Py≠Qx である場合を考えよう。非完全微分形の全微分方程式に対して当該方程式の両辺に掛ければ完全微分形に変換できるような関数を積分因子と呼ぶ。一般的にはこの積分因子を求めるのは難しいのだが、都合の良い条件が揃えばこれを導くのは全く不可能な話ではない。以下ではごく簡単に得られる積分因子を考察してゆく。

さて、或る1変数関数M=M(x)が存在していたとしよう。この関数を上記全微分方程式の両辺に掛けると

MPdx+MQdy=0

となるが、ここでP*=MP,Q*=MQ とおいたときPy*=Qx*が成り立つとすれば

Py*=(MP)y=0⋅P+MPy
Qx*=(MQ)x=M′Q+MQx

より以下の変数分離形微分方程式が得られる。;

dMdx=Py−QxQM

この変数分離形びぶほの右辺の分数がxだけの関数ϕ=ϕ(x)で表されるなら次式が成り立つ。;

  • M(x)=e∫ϕ(x)dx

上式のような関数がそう都合良く求まるケースはあんまり無いが一応これが積分因子の公式の一つである。

(※任意定数Cはこの解を全びぶほに代入した時にどうせ両辺÷Cで消えるから書かなかった。)

以下同様の議論により或る1変数関数N=N(y)が存在し ψ(y)=Py−QxP を満たすようなyの関数ψ=ψ(y)があれば

  • N(y)=e−∫ψ(y)dy

が上記非完全微分形全びぶほの積分因子となる。

例題 全微分方程式

(6x4+8x3+y)dx−xdy=0

の一般解を求めよう。これはPy=1,Qx=−1だから完全微分形ではない。しかし

ϕ(x)=Py−QxQ=−2x

が成り立つから

∫ϕ(x)dx=−2log⁡x=log⁡x−2

より積分因子が M=e∫ϕ(x)dx=x−2とゆー風に求められる。これを題意の微分方程式の両辺に掛ければ

(6x2+8x+yx−2)dx−x−1dy=0

が得られるがこれが完全微分形である事は直ちに分かる。 従って上述の公式が適用できて

2x3+4x2−x−1y=C

ってな感じで一般解が得られる。(※陽関数で表示すれば y=2x4+4x3+Cxとなる。)

ちなみにこの例題は1階線形微分方程式の解の公式でも解けるのでお暇な方はお試し下さいませ♪

2階微分方程式[編集]

ここでは簡単な2階微分方程式の解法について述べる事にする。

容易に変数分離形にできる場合[編集]

微分方程式

y″=ϕ(y)

の解法を考えよう。 この両辺に導関数y'をかけて積分すると

∫y′⋅y″dx=∫ϕ(y)⋅y′dx+C

となるが、ここでy′=uという変数変換を施すとy″=dudxであるから上記積分は置換積分法より

∫udu=12u2=∫ϕ(y)dy+C

と書ける。そしてこれは

y′=±2∫ϕ(y)dy+C

となって変数分離形の1階微分方程式に帰着する事ができる。 (尤も上式の変数yに関する積分を実行するのは結構大変そうだが…)

 例  時刻tを変数とする関数x=x(t)に関する微分方程式(ニュートンの運動方程式(一次元版))

md2xdt2=F

に於いて右辺の外力Fが位置xの関数で表されている、即ちF=F(x)が成立しているとする。

この両辺に位置xの時間微分(即ち速度)x˙=dxdtをかけて先程と同様に置換積分すれば

12mx˙2=∫F(x)dx+C

が得られる。(※ドット“・”は時間微分を表わす。) ちなみに上式の左辺は運動エネルギーを、右辺第1項は位置エネルギーを表している。従って上述の微分方程式から力学的エネルギー保存則が導ける事が分かった。

2階線形微分方程式[編集]

2階線形微分方程式とは一般に

d2ydx2+p(x)dydx+q(x)y=r(x)

(※p(x),q(x),r(x)はxの関数)
の形で表される微分方程式である。
(ちなみに微分方程式界隈では物理屋は独立変数に時間tを、数学屋は未知数と同じ文字xを使う事が多い。)
物理的にはこの程度の単純な微分方程式で十分な場合が多い。何故なら近似などによりこれやもっと簡単な方程式で間に合う事が少なくないからである(解法も良く研究されている)。

物理的解釈[編集]

力学の問題では、変位yと時間tの関係を解くことがある。
このとき、二次の項の係数は質量 m だと、一次の項の係数は速度に比例するの力(例えば、空気抵抗)の比例係数だと、yの項は変位に比例する力(例えば、弾性力)とと考えられる。粘性抵抗は速度の二乗に比例するなどの理由で解析的には解けない問題もある。
電気回路の問題では、電圧vあるいは電流iと時間tの関係を解くことがある。
このとき、各係数はR(抵抗・レジスタンス),L(誘導係数・インダクタンス),C(静電容量・キャパシタンス)などである。
G(コンダクタンス)なども考えられる。
他にも、電磁波の伝搬や熱伝導も似たような式で記述できる。
ただし、空間の変数がx,y,zと多変数であるものを、一変数に変形して解く場合が多い。

解にしばしば三角関数が出て来る。振動・波動を含む物理現象の多くが二階線形微分方程式で表される。

解法[編集]

ここでは簡単な2階線形微分方程式の解法を論ずる事にする。二階なので解は、二つの基本解に対応した二つの任意変数を含む。よって、初期条件や境界条件で2つの条件があればy(x)を決定できるので、物理ではそのような問題が多い。任意の関数を係数とするような一般的な2階線形びぶほは解くのがなか²難しいんだが、各係数が定数のものなら簡単に解ける。さらに、以下のような定数係数かつ同次のそれ、すなわち斉次方程式(つまりr(x)=0)は割と簡単に解く事ができる。;

y″+ay′+by=0

解は

y(x)=Ceax+Debx(C,Dはxに関して定数)

の形になることが多い。a,bは複素数の範囲であり、実質的に三角関数のときもある。以降は各係数が定数かつ斉次方程式を想定する。

上記の形を想像して解を仮定し解くことが出来る。

ここでやや天下り的であるが指数関数y=eλxを考えて、これを微分して上記方程式に代入すれば

(λ2+aλ+b)eλx=0

が成り立つ。

この式より未知数λに関する二次方程式(特性方程式と呼ばれる)

λ2+aλ+b=0

を解けばその解をλ=λ1,λ2(ここでは相違なる二実数解とする)とおいた時上述の線形微分方程式の一般解が

  • y=C1eλ1x+C2eλ2x

で与えられる事が分かる。すなわち、特性方程式の解が実数解なら微分方程式の解は指数関数になる。

※ちなみに言い忘れてたが線形微分方程式は特性方程式から求められた幾つかの解(基本解という)の線形結合も解になるので注意! (随分といい加減な編集者だなぁ…💧)

次に特性方程式が重解を持つ場合を考えよう。重解だと面倒なことに、上記の形のならない(上記の形だと、基本解の関数が一次独立でない)。

この時上記線形微分方程式はy=eλxとは異なる形の基本解を持つのだがそれが或る関数u=u(x)を用いてy=ueλxという形で表されたと仮定しよう。このyを微分して上記線形びぶほに代入したら y″+ay′+by=eλx{u″+(2λ+a)u′+(λ2+aλ+b)u}=0が成り立つが、この式の{ }内の第2項は二次方程式の解と係数の関係により、第3項はλが特性方程式の解である事により零になる事が分かる。従って上式からu″=0が得られるからこれを積分する事により上記線形びぶほの解(特性方程式重解ver)は

  • y=eλx(C1+C2x)

で与えられる事が分かった。

んじゃ次、特性方程式が虚数解(複素数解)持つ場合を考えよう。2つの複素数解をそれぞれ

λ1=α+iβ,λ2=α−iβ

とおくと以下のように基本解が得られる。

y1=eλ1x=e(α+iβ)x
y2=eλ2x=e(α−iβ)x

これらにみんな大好きオイラーの公式

eiθ=cos⁡θ+isin⁡θ

を用いれば

y1=eαx(cos⁡βx+isin⁡βx)
y2=eαx(cos⁡βx−isin⁡βx)

とゆー風に変形できる。これらの線形結合を上記線形びぶほの一般解としても良いのだが、上式に

「両辺の辺々を足して(※上+下)2で割る or 引いて(※上−下)2iで割る」

という変形を施せば上記基本解は実数関数で表す事ができる。よって、特性方程式の解が虚数解なら微分方程式の解は(実質的な)三角関数になる。

 斯くして特性方程式が複素数解を持つ時の上記線形微分方程式の一般解は以下の如く表される事になる。;

  • y=eαx(C1cos⁡βx+C2sin⁡βx)

上式が本当に上記線形微分方程式を満たすかどうかを検証するのは少々面倒なのだが重解verの時と同様に実際に微分してみて二次方程式の解と係数の関係を使えば証明できるのでお暇な方はお試しあれ♪

ちなみに上記一般解に於いて

C1=Asin⁡θ0,C2=Acos⁡θ0

とおけば三角関数の加法定理より

  • y=Aeαxsin⁡(βx+θ0)

とゆー形に書ける。

ちなみに、三階以上の微分方程式でも似たようなことが発生する。

非斉次方程式なら以上の計算で得た対応する斉次方程式の解に、r(x)を調整するような特殊解を一つ加えればよい。

まぁ、特殊解を見つけるのが大変だったりするが、定数変化法みたいなことをして、ゴリ押し計算で解決することも可能。偶然見つかってくれたら、どれだけ楽なことか...。

非同次方程式[編集]

ここでは定数係数の2階非同次線形微分方程式

y″+ay′+by=R(x)

について考えよう。2つの関数y1,y2が同次方程式の基本解になっているとする。するとこれらの線形結合

y=C1y1+C2y2

も同次方程式の解となるが、ここで1階線形の時と同様に任意定数を或る関数u=u(x),v=v(x)に変えて(即ち定数変化法)以下のような式を考えてみる。;

y=uy1+vy2

これを微分すると

y′=u′y1+uy'1+v′y2+vy'2

となる。ここで天下り的であるが

u′y1+v′y2=0

と仮定すると上記の微分は

y′=uy'1+vy'2

と書ける。これを更に微分したら

y″=u′y'1+uy′'1+v′y'2+vy′'2

となる。これらを上記非同次方程式に代入すれば (y′'1+ay'1+by1)u+(y′'2+ay'2+by2)v+u′y'1+v′y'2=R(x) が成り立つのだが、y1,y2は同次方程式の基本解であるから上式左辺の括弧内は零である。従って上述の仮定と合わせたら連立方程式

{u′y1+v′y2=0u′y'1+v′y'2=R(x)

が得られる。これをu'、v'について解けば u′=−y2R(x)W、v′=y1R(x)W が求まるが、これらを積分し関数yに代入すれば

y=−y1∫y2R(x)Wdx+y2∫y1R(x)Wdx

とゆー感じで解が得られる。 ここで

W=W(y1,y2)=y1y'2−y'1y2

なる関数を置いたが、このWはロンスキー行列式またはロンスキアンと呼ばれる関数である。(詳細は専門書を参照されたし。[3])

上記の解と基本解系C1y1+C2y2の和が非同次方程式の一般解という事になるのだが、この公式を用いて上記非同次びぶほを解くのはかなり面倒である。

上記の解をypとでも置いて一般解を公式として多少丁寧に書く事にしたら

  • y=C1y1+C2y2+yp
yp=−y1∫y2R(x)Wdx+y2∫y1R(x)Wdx

とでもなろうか。(これ暗記するんは大変や…)

(※蛇足であるが上述の解ypは任意定数を含まないので「特殊解」などと呼ばれる事が多いのだが一般解の任意定数に特定の値を入れて定めた解とは異なるのでこれを特殊解と言うのはやや語弊がある気がする。紛らわしさを回避するために文献によっては特解や個別解など特殊解とは異なる名称を与えている場合もある。)

しかし以下の例で述べるように上記公式を使わずとも簡単に一般解を求める事ができる場合もある。

 例題  微分方程式y″−8y′+15y=8e7xの一般解を求める事にする。特性方程式

λ2−8λ+15=(λ−3)(λ−5)=0

より基本解系は次式で与えられる。

C1e3x+C2e5x

次にy=Ae7xとおいて微分し題意の方程式に代入すればA=1が得られる。従って上記の微分方程式の一般解は次式で与えられる事が分かる;

∴y=C1e3x+C2e5x+e7x

このように非同次項と同様の形の関数を用意して係数を比較し値を決定する事によって「特殊解」を求める方法を未定係数法という。残念ながらこの方法が使えるのは非同次項が(eを底とする)指数関数や冪関数、正弦・余弦関数及びそれらの和である時ぐらいである。

オイラーの微分方程式[編集]

以下のような形の2階冪関数係数線形微分方程式を(2階の)オイラーの微分方程式という。;

x2y″+axy′+by=R(x)

この線形びぶほはx=etと変数変換する事により定数係数のそれに変化させる事ができる。これを微分したら

1=et⋅dtdx,dtdx=e−t

となるが、これを用いてyを微分すると

y′=dydtdtdx=y˙⋅e−t

が得られる。(※yのtに関する微分を“•”で表した) 更にyを微分すれば

y″=dy′dtdtdx=ddt(y˙⋅e−t)dtdx={y¨⋅e−t+y˙⋅e−t⋅(−1)}⋅e−t=(y¨−y˙)⋅e−2t

を得る。(点が2つ付いてるyはtに関する2階導関数である) ゆえに以下の式が成り立つ。;

  • xy′=y˙ 、 x2y″=y¨−y˙

これらをオイラーの微分方程式に代入したら

y¨+(a−1)y˙+by=R(et)

となり確かに定数係数の線形びぶほに変換できている事が分かる。

例題  微分方程式

x2y″+8xy′−18y=0

の一般解を求めよう。

これはオイラーの微分方程式だから上述の通り

y¨+7y˙−18y=0

と書ける。これの特性方程式λ2+7λ−18=0の解はλ=2,−9であり、これより

y=C1e2t+C2e−9t

が得られる。変数を元の形に戻せば一般解

y=C1x2+C2x−9

が導かれる。

さて、このオイラーの微分方程式を定数係数線形微分方程式に変換する公式

xy′=y˙,x2y″=y¨−y˙

であるが、これに対し線形微分作用素

D=d/dt

を適用すると

xy′=Dy、
x2y″=D2y−Dy=D(D−1)y

と書ける。これを一般化したら以下のようになる。;

xny(n)=D(D−1)(D−2)⋯(D−n+1)y

乗積記号を用いれば

  • xny(n)=∏r=1n(D−r+1)y

と表わせる。これを数学的帰納法で証明しよう。

証明 上記等式が番号がnであるときに成り立つと仮定してn+1のとき、合成関数の微分法より

y(n+1)=dy(n)dtdtdx=ddt(∏r=1n(D−r+1)y⋅x−n)⋅x−1

が言える。またx−1=e−tだから

y(n+1)=ddt(∏r=1n(D−r+1)y⋅e−nt)⋅e−t

が成り立つ。ここで積の微分法より

y(n+1)={D∏r=1n(D−r+1)y⋅e−nt+(−n)∏r=1n(D−r+1)y⋅e−nt}e−t=∏r=1n(D−r+1)(D−n)y⋅e−nt−t=∏r=1n+1(D−r+1)y⋅e−(n+1)t

であるから

∴xn+1y(n+1)=∏r=1n+1(D−r+1)y

が導かれる。ゆえに任意の自然数nに対して上述の等式が成り立つ事が分かった。(証明終)

この公式より任意階数のオイラーの微分方程式は定数係数線形微分方程式に変換する事ができる。

連立微分方程式[編集]

微分方程式にも所謂連立方程式と同様の概念即ち連立微分方程式という概念が存在する。

簡単な連立微分方程式[編集]

最も単純な連立微分方程式は以下のような1階定数係数同次線形連立微分方程式である。;

{y'1=a11y1+a12y2y'2=a21y1+a22y2

これは行列と列ベクトルを用いる事により

(y'1y'2)=(a11a12a21a22)(y1y2)

と表す事ができる。更に上式は行列とベクトルの記号を使えば

dydx=Ay

と簡潔に書く事ができる。本節ではこの形の連立びぶほの解法について考察してゆく事にする。

さて、ここで唐突であるが

P=(p11p12p21p22)

という定数を成分とする行列と

z=(z1z2)

なる関数ベクトルが存在していたとしよう。で、上述の未知関数ベクトルがy=Pzなる関係を満たしていたとする。これを上記連立微分方程式に代入すると

ddx(Pz)=A(Pz)

となるがこの両辺に左からPの逆行列を掛ける事により

dzdx=(P−1AP)z

とゆー風に変形できる。

線形代数の知識によればこの等式の右辺の括弧内は或る2つの実数λ1,λ2が固有方程式(二次方程式)の相違なる固有値(ニ実数解)である時

P−1AP=(λ100λ2)

とゆー感じで固有値を対角成分とする対角行列を表わす公式であるからこれにより

(z'1z'2)=(λ100λ2)(z1z2)=(λ1z1λ2z2)

が得られるが、この2つの変数分離形びぶほを解けば

(z1z2)=(c1eλ1xc2eλ2x)

が求まる。そしてこれを上記関係式に代入する事により

(y1y2)=(p11p12p21p22)(c1eλ1xc2eλ2x)

が導かれる。で、簡単な行列の計算により

(y1y2)=c1eλ1x(p11p21)+c2eλ2x(p12p22)

とゆー風に一般解が得られる。上記一般解右辺の列ベクトルは固有ベクトルであり記号を用いれば

  • y=c1eλ1xϕ1+c2eλ2xϕ2

と綺麗に表せる。斯くして上述の連立微分方程式の解の公式が導かれた。

例題 次の連立微分方程式の一般解を求めよう。;

{y'1=4y1+y2y'2=8y1+6y2

これは行列&ベクトルで表すと

(y'1y'2)=(4186)(y1y2)

となる。右辺の行列

A=(4186)

の固有方程式は次式で表される。 ΨA(λ)=det⁡(λE−A)=|(λ00λ)−(4186)|=0 これより |λ−4−1−8λ−6|=(λ−4)(λ−6)−8=0とゆー風にλの二次方程式 λ2−10λ+16=0が得られる。そしてこれから相違なるニ固有値λ1=2,λ2=8が出て来る。

次にこれら固有値に属する2つの固有ベクトルを求めよう。λ1=2のとき固有ベクトルを ϕ1=(αβ) とでも置いて固有値・固有ベクトルの定義式(☆線形変換を表す数式)Aϕ1=λ1ϕ1 に当て嵌めれば等式2α+β=0が得られるので、これから

(αβ)=(α−2α)=α(1−2)

が出る。ここでαは何の値でも良いので1とおく事により固有ベクトル ϕ1=(1−2) が求まる。 以下同様にλ2=8のとき、 ϕ2=(γδ) とでも書いて線形変換の公式Aϕ2=λ2ϕ2に適用すれば ϕ2=(14) が得られる。これら固有値・固有ベクトルを上述の解の公式に代入する事によって

∴(y1y2)=c1e2x(1−2)+c2e8x(14)

とゆー風に一般解が導かれる。 これをベクトルを使わずに表記すれば

∴{y1=c1e2x+c2e8xy2=−2c1e2x+4c2e8x

となる。

ちなみに2階定数係数同次線形微分方程式

y″+ay′+by=0

は関数の書き換え

y=y1,y′=y'1=y2,y″=y'2=−by1−ay2

によって連立微分方程式

{y'1=y2y'2=−by1−ay2

で表わす事ができる。行列とベクトルで書けば

(y'1y'2)=(01−b−a)(y1y2)

となるがこれの固有方程式は ΨA(λ)=det⁡(λE−A)=|(λ00λ)−(01−b−a)|=0 であり、特性方程式λ2+aλ+b=0に等しい。従って上記2階線形びぶほは上述の連立微分方程式の特別な場合に過ぎない事が分かる。

その他の連立微分方程式[編集]

以下に記す等式はコーシー・リーマンの関係式と呼ばれる線形連立偏微分方程式である。;

  • {∂u∂x=∂v∂y∂u∂y=−∂v∂x

この連立偏びぶほは複素解析に於いて複素関数w=f(z)が微分可能即ち正則になるための条件を表わす重要な公式である。ここでは上記関係式を機械的に導いてゆく事にする。
(※数学的に厳密な導出ではないので悪しからず) 上記複素関数が2つの2変数関数

u=u(x,y),v=v(x,y)

を用いて以下の如く表わせたとする。; w=f(z)=f(x+iy)=u(x,y)+iv(x,y) この等式と導関数の定義式 Δf=f(z+Δz)−f(z)=γ⋅Δz+O(Δz) (※γ=α+iβ、O(Δz)はΔzより高位の無限小) により Δf=f(z+Δz)−f(z)=u(x+Δx,y+Δy)+iv(x+Δx,y+Δy)−{u(x,y)+iv(x,y)}=u(x+Δx,y+Δy)−u(x,y)+i{v(x+Δx,y+Δy)−v(x,y)}=Δu+iΔv が成り立つ。(※ただしΔz=Δx+iΔy。)

一方で次式が求まる。; Δf=γ⋅Δz+O(Δz)=(α+iβ)(Δx+iΔy)+O(Δz)=αΔx−βΔy+i(βΔx+αΔy)+O(Δz) ここで増分Δx,Δyを無限小dx,dyに近づけたら全微分の公式より

Δu→du=∂u∂xdx+∂u∂ydy
Δv→dv=∂v∂xdx+∂v∂ydy

となり、du=αdx−βdy、dv=βdx+αdyが成り立つから係数を比較する事により α=∂u∂x=∂v∂y、β=−∂u∂y=∂v∂x

が得られる。(略証終)

例 以下の複素関数が上述のコーシー・リーマンの関係式を満たす事を示そう。;

f(z)=4z2+5z+6。

題意より f(z)=4(x+iy)2+5(x+iy)+6=4(x2−y2)+5x+6+i(8xy+5y) となる。実部をu=u(x,y)、虚部をv=v(x,y)とおけば

∂u∂x=8x+5=∂v∂y
∂u∂y=−8y=−∂v∂x

となって上述のf(z)=4z2+5z+6が複素微分可能である事が示された。

ちなみにこのコーシー・リーマンの関係式を更に

∂2u∂x2=∂2v∂x∂y、∂2u∂y2=−∂2v∂y∂x

と偏微分したら2階偏導関数の性質より以下の等式が成り立つ事が分かる。;

  • ∂2u∂x2+∂2u∂y2=0

これは所謂ラプラス方程式Δu=0の二次元版に等しい。

n回微分して元に戻る関数[編集]

微分方程式y(n)=yは線形微分方程式であり、解は指数関数や三角関数、双曲線関数などの有名な関数で記述できる。
もちろん、基本解の線形結合は解になるので、解は無数にある。以下には基本解の例などについて述べる。

一般[編集]

指数関数

y=eax

という解を仮定して与えられた微分方程式に代入すると、

any=y

なので、aはyが非零では、

an=1

の解であり、そのような互いに異なるaは複素数の範囲でちょうどn個あるので、n階の微分方程式の基本解を構成する。

よって、基本解は、

  • y=e(e2πkn)x(kは0からn-1までの整数)

である。

n=1[編集]

基本解は、

  • y=ex

で指数関数である。

n=2[編集]

基本解は、

  • y=ex
  • y=e−x

で、指数関数である。
双曲線関数でも表せて、

  • y=cosh⁡(x)
  • y=sinh⁡(x)

である。

n=3[編集]

基本解は、

  • y=ex
  • y=eωx
  • y=eω2x

となる。(ただし、ωは1の立方根)
実部を取ることで指数関数と三角関数の積でも表せて、

  • y=ex
  • y=e−12xcos⁡(32x)
  • y=e−12xsin⁡(32x)

である。

n=4[編集]

基本解は、

  • y=ex
  • y=eix
  • y=e−x
  • y=e−ix

である。(ただし、iは虚数単位)
実部を取ることで指数関数および三角関数でも表せて、

  • y=ex
  • y=e−x
  • y=cos⁡(x)
  • y=sin⁡(x)

である。

ラプラス変換[編集]

詳しくはラプラス変換を参照。ここでは、例題とその解法を示す。

  • 手順1:初期値に注意して、ラプラス変換する。これにより、代数方程式になる。
  • 手順2:代数方程式を整理して、部分分数分解する。これにより、逆ラプラス変換しやすくなる。
  • 手順3:逆ラプラス変換する。これにより、微分方程式の解になる。

2階微分方程式の例[編集]

通常ラプラス変換を用いるようなときは、tを変数とするがここでは他の例に合わせてxとした。

y″+4y′+3y=e−2x,y(0)=0,y′(0)=3

初期値に注意して、ラプラス変換する

(s2Y−3)+4sY+3Y=1s+2

Yを計算しやすい様に移項する

(s2+4s+3)Y=3+1s+2

整理して、部分分数分解する。

Y=2s+1−1s+2−1s+3

逆ラプラス変換する。

y(x)=2e−x−e−2x−e−3x

となる。第一項と第三項は一般解に対応し、第二項は特殊解である。一般解は特性方程式を解けば予想される形であり、部分分数分解するときの指針になる。この例では、特殊解も(指数関数なので)予想できるので部分分数分解するときの指針になる。

高等学校での扱い[編集]

21世紀では普通科では扱っていないが、工業科では構造力学で使うために工業数理で扱う。
また普通科でも、発展的な内容として問題集に書かれているのでたとえ習わなくても存在ぐらいは知らされる事もある。

文科省の学習指導要領により現行の高校物理では微積分を露骨に導入する事が禁じられているため高校生は苦労しながら微積無しで物理法則を学習しているが、学習意欲が旺盛な生徒のために限定的にでも良いから微積分及び微分方程式を物理の授業に導入すべきではないかという意見も少なからず存在するらしい。

関連項目[編集]

基本単語
微積分
線形代数
複素数
離散的
その他

参考文献[編集]

脚注[編集]

  1. ↑ ただしこの式は、yがxで微分できる点でのみ成り立つ。例えばy=0では成り立たない。
  2. ↑ 尤も解が存在しない場合や存在したとしても(5次以上の代数方程式の解の公式のように)数学的に表せない場合もあるのだが。
  3. ↑ 線形代数に詳しくないと理論的でちょっと難しいかも。