高山本線の歴史

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このページでは、鉄道省によって建設され、日本国有鉄道によって運営された高山本線の建設、改良、運転の歴史について記載する。

概要[編集]

江戸時代は、現在の国道41号にあたる「飛騨街道」と「越中西街道」が通じ、分水嶺より北は宮川(神通川)、南は飛騨川の水運が通じていた。しかし高山と深い谷底によって交通は不便で「陸の孤島」となっているところも多かった。

高山本線は、こうした街道や水運を代替すべく、大正時代に着工し、昭和初期に全通した。

昭和戦前の開通時、北陸本線は複線区間が少なく、柳ケ瀬や杉津や倶利伽羅の難所を抱えたため、短絡効果を発揮した。電化計画も全通前から既に存在していた。

全通に至るまでの経緯[編集]

1892年(明治25年)制定の鉄道敷設法に「中央線及北陸線ノ連絡線岐阜県下岐阜若ハ長野県下松本ヨリ岐阜県下高山ヲ経テ富山県下富山ニ至ル鉄道」と記された予定線である。
1918年(大正7年)3月に鉄道敷設法が改正され、「岐阜県下岐阜ヨリ太田、高山ヲ経テ富山県下富山ニ至ル鉄道」と区間がより具体化した。これに基づき1919年5月に岐阜駅 - 各務ケ原駅間が着工している。

高山本線路線開業等の推移
年月日 項目 記事
1920年11月1日 【高山線】岐阜駅-各務ケ原駅13.2km開業 高山線初開業
1921年11月12日 【高山線】各務ケ原駅-美濃太田駅14.1km開業
1922年11月25日 【高山線】美濃太田駅-下麻生駅10.6km開業
1923年10月5日 〈越美南線〉美濃太田駅-美濃町駅17.7km開業
1924年3月20日 【高山線】下麻生駅-上麻生駅5.3km開業
1926年3月15日 【高山線】上麻生駅-白川口駅9.9km開業
1927年9月1日 【飛越線】富山駅-越中八尾駅17.1km開業 飛越線初開業
1928年3月21日 【高山線】白川口駅-飛騨金山駅13.6km開業
1929年4月14日 【高山線】飛騨金山駅-焼石駅9.0km開業
1929年10月1日 【飛越線】越中八尾駅-笹津駅8.2km開業
1930年11月2日 【高山線】焼石駅-下呂駅12.6km開業
1930年11月27日 【飛越線】笹津駅-猪谷駅11.3km開業
1931年5月9日 【高山線】下呂駅-飛騨萩原駅8.4km開業
1932年8月20日 【飛越線】猪谷駅-杉原駅8.7km開業
1933年8月25日 【高山線】飛騨萩原駅-飛騨小坂駅12.1km開業
1933年11月12日 【飛越線】杉原駅-坂上駅13.9km開業
1934年10月25日 飛騨小坂駅-坂上駅57.8km開業 高山本線全通[1]
1942年6月1日 那加駅-各務ケ原駅に蘇原駅開業 岐阜駅起点10.4km
1952年8月5日 焼石駅-下呂駅に少ケ野信号所が開業(昇格) 岐阜駅起点86.6km
1953年4月1日 少ケ野信号所を貨物駅に変更 [2]
1955年10月1日 上呂駅-飛騨小坂駅間に飛騨宮田駅が開業 岐阜駅起点105.4km
1955年10月15日 飛騨古川駅-飛騨細江駅間に杉崎駅が開業 岐阜駅起点153.6km
1956年6月1日 笹津駅-越中八尾駅間に東八尾駅が開業 岐阜駅起点205.0km
1956年11月19日 田刈屋信号所を廃止 岐阜駅起点224.4km
1966年10月1日 禅昌寺駅を列車交換可能に改良
1966年10月6日 〈神岡線〉猪谷駅-神岡駅20.3km開業
1967年3月19日 白川口駅-下油井駅間に鷲原信号所が開業 岐阜駅起点56.5km
1968年9月25日 上麻生駅-白川口駅間に飛水峡信号所が開業 岐阜駅起点45.9km
1968年9月28日 飛騨金山駅-焼石駅間に福来信号所が開業 岐阜駅起点69.4km
1973年4月20日 少ケ野駅を信号所に変更
1984年10月1日 (神岡線猪谷駅-神岡駅20.3kmを神岡鉄道に転換)
1986年12月11日 (越美南線美濃太田駅-北濃駅72.1kmを長良川鉄道に転換)
1987年4月1日 国鉄分割民営化により東海旅客鉄道・西日本旅客鉄道に分割される。 猪谷駅が境界

沿革[編集]

1960年代 - 1980年代[編集]

東海道新幹線開業に当たって、1964年東京オリンピックに間に合わせるために米原駅経由で建設されることになって、北陸本線は接続路線として充実されることになった。
この関連で1960年代前半に北陸本線は深坂トンネルや北陸トンネル掘削、倶利伽羅トンネルの移設による勾配緩和や泊駅以西の複線電化で近代化がなされ、名古屋〜富山間で高山経由よりも時間短縮がされた。

一方、高山本線は1958年(昭和33年)に国鉄キハ55系気動車使用の名古屋発着の準急列車が運行を開始する[注 1]等、無煙化は早かったが、東海道新幹線が当初計画どおり三重県経由で京都まで短絡する構想が潰えたために、後年の伯備線のように、複線化を進行させて南北縦貫路線として充実されることはなく、東海道新幹線開業時も優等列車の態様はほぼ従前のままだった。

ヨン・サン・トオ改正前、急行・準急列車は充実し、1965年に名鉄直通の準急(翌年急行化)「たかやま」が新設され、1966年には越美南線直通の急行「おくみの」が新設され、同時に現在の大阪発着ひだの前身の急行「のりくら」が臨時列車として新設された。

ヨン・サン・トオ改正でようやく優等列車の充実が図られ、当時信越本線経由だった「はくたか」との共通運用で、速達急行だった「加越」を特急「ひだ」に格上げ。名古屋発着急行は「のりくら」に統合。大阪発着急行は臨時列車のまま「くろゆり」の愛称となった。

1972年3月改正で大阪直通急行は急行「たかやま」としてようやく定期化された一方、1960年から高山・北陸本線経由の中部循環急行として運行された「こがね」、「しろがね」は北陸本線区間が廃止された。

1976年まで特急は「ひだ」1往復のみだったが、特急「おき」に使用されていたキハ82系を転用して増発された。

1980年代 - 国鉄分割民営化前[編集]

1980年に電化着工されたものの、国鉄財政悪化で、高山以北がまず無期限延期となり、その後全区間工事凍結となって[注 2]、気動車の延命も迫られた。
また、同じく1980年代前半に、併結の定期急行「おくみの」、臨時急行の「うなづき」、「むろどう」が廃止された。
1984年2月改正では急行「のりくら」の夜行列車廃止、貨物、荷物縮小、1985年3月改正では特急・急行の金沢駅・高岡駅への乗り入れ廃止や特急「ひだ」の飛騨古川以北が廃止された。一方、キハ82系の車両キロ抑制も兼ね、「北アルプス」は過去に季節運行だった富山駅乗り入れが通年化された。

沿線概況[編集]

渓谷地帯に施設されたために豪雪や集中豪雨といった自然災害による土木構造物の破壊による不通も多く、1968年(昭和43年)8月の飛騨川沿いの土砂崩落は間一髪で大事故を未然に回避した格好だった。
しかし、災害回避や有効な高速化のための鉄建公団工事線の中呂線(中津川 - 下呂)やトンネルの多い神岡鉄道線の活用はされずに終わり、1987年(昭和62年)の国鉄分割民営化を迎えた。
その後、1996年(平成8年)6月25日には高山本線落石脱線事故が発生し、北陸新幹線開通まで、名古屋〜富山間では短絡効果を発揮できないままだった。

道路は飛騨細江駅までは国道41号が並行しているが、ここから猪谷駅にかけては並行する国道360号が国道昇格後も未整備が続いたため貴重な交通機関であった。
なお、東海北陸自動車道は高山本線沿線を回避し、一部区間が、越美南線や城端線に沿う、各務原 - 高岡間を短絡する格好で基本計画が策定された。

1968年10月1日ダイヤ改正[編集]

凡例[編集]

昭和43年10月1日日本国有鉄道ダイヤ改正での時刻表
キロ数 駅名 駅設備/列車番号 827D 721D 723D 709D
0.0 名古屋駅発 洗弁電赤+ … … … 2350
4.0 枇杷島駅発 ↓
7.8 清洲駅発 ↓
11.1 稲沢駅発 ↓
17.1 尾張一宮駅発 洗電 0004
22.6 木曽川駅発 ↓
30.3 岐阜駅発 洗弁電赤 0523 0728 0922 0020
4.2 長森駅発 0529 0733 0931 急行
7.2 那加駅 0534 0740 0935 ①
10.4 蘇原駅 0539 0745 0940 指
13.2 各務ケ原駅発 0544 0750 0945 ↓
17.3 鵜沼駅発 0550 0757 0950 ↓
22.5 坂祝駅発 0557 0804 0957 ↓
27.3 美濃太田駅着 洗弁電 0603 0810 1003 0048
- 美濃太田駅発 - 0608 0811 1011 0050
30.3 古井駅発 0613 0815 1018 のりくら6号
34.1 中川辺駅発 0619 0820 1023 ↓
37.9 下麻生駅発 0624 0826 1034 ↓
43.2 上麻生駅発 0632 0832 1045 ↓
53.1 白川口駅発 0643 0849 1056 ↓
61.7 下油井駅発 0653 0859 1107 ↓
66.7 飛騨金山駅発 洗弁 0702 0907 1114 0132
75.7 焼石駅発 0715 0923 1130 ↓
88.3 下呂駅着 洗 0730 0943 1146 0154
- 下呂駅発 - 0731 0945 0155
93.5 禅昌寺駅発 0739 0956 ↓
96.7 飛騨萩原駅発 0747 1002 0205
100.8 上呂駅発 0753 1016 ↓
105.4 飛騨宮田駅発 0800 1023 ↓
108.8 飛騨小坂駅発 0805 1031 0219
115.9 渚駅発 0822 1043 ↓
123.2 久々野駅発 0837 1053 ↓
129.5 飛騨一ノ宮駅発 0850 1102 ↓
136.4 高山駅着 洗弁電 0858 1110 0252
駅設備/列車番号 845 829D
- 高山駅発 - 0909 … 1310 0257
141.0 上枝駅発 0915 … 1319 ↓
147.6 飛騨国府駅発 0922 … 1327 ↓
151.3 飛騨古川駅発 0932 … 1331 0313
153.6 杉崎駅発 0936 … 1335 ↓
156.0 飛騨細江駅発 0941 … 1339 ↓
161.7 角川駅発 0953 … 1346 ↓
166.6 坂上駅発 0959 … 1352 ↓
176.5 打保駅発 1012 … 1403 ↓
180.5 杉原駅発 1024 1409 ↓
189.2 猪谷駅発 1042 1150 1420 0353
196.2 楡原駅発 1053 1200 1428 ↓
200.5 笹津駅発 1102 1206 1433 ↓
205.0 東八尾駅発 1108 1213 1438 ↓
208.7 越中八尾駅発 1113 1220 1444 0411
213.6 千里駅発 1119 1227 1449 ↓
217.9 速星駅発 1124 1234 1454 ↓
222.2 西富山駅発 1130 1245 1500 ↓
225.8 富山駅着 洗弁電 1135 1253 1505 0429
- 富山駅発 - … … 0433
4.8 呉羽駅発 … … ↓
11.4 小杉駅発 … … ↓
15.2 越中大門駅発 … … ↓
18.8 高岡駅着 洗弁電 0449
- 高岡駅発 - 0449
24.3 西高岡駅発 ↓
27.6 福岡駅発 ↓
34.9 石動駅発 ↓
41.8 俱利伽羅駅発 ↓
48.1 津幡駅発 0513
54.2 森本駅発 ↓
57.1 東金沢駅発 ↓
59.7 金沢駅着 洗電赤+ 0523

関連項目[編集]

注[編集]

  1. ↑ キハ55系による準急は「日光」に次いだ。
  2. ↑ 今思うと、岐阜 - 美濃太田間だけ、関西本線亀山以北(1982年5月電化)と同様に名古屋都市圏路線の位置づけで電化工事を継続して、一般形電車の東海道線との共用化と運用柔軟化を図ればよかったと感じる。

参考文献[編集]

  • 石井一郎ほか『防災工学』森北出版1999年8月30日第1版第3刷発行。
  • 椹木亨、柴田徹、中川博次『土木へのアプローチ』技報堂出版1999年1月25日3版1刷発行
  • 渡嘉敷哲ほか『新ひとりで学べる11地学ⅠB』清水書院2003年8月20日第16刷発行
  • 平沼義之『廃道踏破山さいがねが伝説の道編』実業之日本社
  • 室田明『河川工学』技報堂出版2001年1月31日1版10刷発行
  • 山村調査グループ『村の記憶』桂書房2004年11月3日増補改訂
  • 矢野隆、大石隼人『発変電工学入門』森北出版株式会社2000年9月13日第1版第4刷発行

参考文献[編集]

外部サイト[編集]

やまさいがねが:国道360号旧道

脚注[編集]

  1. ↑ 飛越線富山駅-坂上駅59.2kmを編入、岐阜駅-高山駅-富山駅225.8kmを高山本線とする。
  2. ↑ 1953年5月1日に下呂駅の貨物営業廃止。