9世紀

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9世紀(きゅうせいき)は、西暦801年から西暦900年までの100年間を指す世紀

架空のできごと[編集]

  • 800年 - 814年 - カール大帝(シャルルマーニュ)の軍勢に、サラセン軍との戦さで数々の武勲を立てた騎士アジルールフォがいた。戦場にあっては勇猛果敢、謹厳極まる務めぶりで騎士の鑑ともいうべき存在である。しかしその白銀に輝く甲冑の中はからっぽの「不在の騎士」だった(イタロ・カルヴィーノ『不在の騎士』)。
  • 804年 - 遣唐留学僧として唐に渡った稀代の天才空海は予言をする猫の話から唐の皇帝の相次ぐ怪死事件が起きていることを知る。詩人白楽天らの協力を得て事件の経緯を探ると50年以上前に死んだ楊貴妃の存在が浮かび上がってくる(夢枕獏『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』。チェン・カイコー(陳 凱歌)監督の映画「空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎」も有名)。
  • 807年 - 塩鉄使李遜の甥李黄が長安の東市で牛車に乗った白衣の美女と知り合った。その屋敷に招かれ歓待されて三日間の後に、自宅に戻ると気分の悪さを覚え、身を横たえたが、うわごとを口にしながらやがて静かになった。家人が恐る恐るその様子を窺うと、李黄は頭を残して全身が溶けていた。女の家と思われた廃園にはとぐろを巻いた白い蛇がいるばかりであった(初出は中唐の谷神子(鄭還古)撰の『李黄』。後世の「白蛇伝」に発展する)。
  • 809年 - 825年 - 嵯峨天皇の御世、とある公卿の娘が深い妬みにとらわれ、貴船神社に7日間籠って「貴船大明神よ、私を生きながら鬼神に変えて下さい。妬ましい女を取り殺したいのです」と祈った。明神は哀れに思い「本当に鬼になりたければ、姿を変えて宇治川に21日間浸れ」と告げた。そのようにして宇治川に21日間浸ると、明神の言ったとおり女は生きながら鬼になった。これが「宇治の橋姫」である。(『平家物語』剣巻ほか「宇治の橋姫」伝説。「丑の刻参り」にも影響する)。
  • 844年 - クラビホの戦いで「ムーア人殺し」聖ヤコブ(サンティアゴ)が出現しキリスト教徒に勝利を導く(「聖ヤコブ出現伝説」)。
  • 846年以前 - 唐の詩人白楽天が日本の知恵を試しに筑紫松浦潟に来訪。漁夫に扮した住吉明神が白楽天と対決して漢詩と和歌の競作を行い、最後には正体を顕わにして白楽天の乗った船を日本から押し戻す(謡曲「白楽天」)。
  • 847年以前 - ハールーン・アッ=ラシードの孫で、ムウタスィムの息子であるアッバース朝第9代カリフのヴァテック(ワーシィク)はこの世の快楽を極めんとして、放埓と残虐の限りを尽くした挙句、魔神の誘いに乗ってソロモン以前の宝物を手に入れるため、地の底の火の王国を訪れる(ウィリアム・ベックフォードゴシック小説『ヴァテック』)。
  • 850年頃 - エチオピアで、ヤギ飼いの少年カルディが、ヤギが興奮して飛び跳ねることに気づいて修道僧に相談したところ、山腹の木に実る赤いコーヒーの実が原因と判り、その後修道院の夜業で眠気覚ましに利用されるようになった(この話の原典とされるのは、レバノンマロン派キリスト教徒ファウスト・ナイロニ (Faustus Nairon) の著書『コーヒー論:その特質と効用』(1671年)に記載されたコーヒー飲用の起源の伝説)。
  • 853年以前 - 病を得て死んだ藤原良相(西三条大臣)が地獄の閻魔大王のもとに引き出されるが、地獄で裁判に携わっていた小野篁の取りなしにより蘇生した(『今昔物語集』「小野篁、情に依り西三条の大臣を助くる語」)。
  • 855-858年 - ローマ教皇レオ4世の後継者としてヨハン・アングリクスが教皇となった。しかしその正体は男装した女性で、急な出産がきっかけで正体が明らかとなり、それがもとで死んだ(オパヴァのマルティンほか「女教皇ヨハンナ」伝説)。
  • 860年 - 文徳天皇女御清和天皇の母である藤原明子 (染殿后)に一目惚れした神護寺僧正真済が、死後、紺青色をした鬼あるいは天狗と化して彼女のもとに現れ悩ませる。そして比叡山無動寺の相応和尚に退治される(『天台南山無動寺建立和尚伝』ほか)。
  • 865年 - 平城天皇の皇子高丘親王が唐の広州の港を出て仏道修行のため天竺を目指すも各地を放浪し、人の言葉を話す儒良、夢を食う獏、下半身が鳥の女、ミイラ化した蜜人など不思議な一群に遭遇する(澁澤龍彥『高丘親王航海記』)。
  • 895年 - 旅から戻った北欧の王オーヴァンディルは、異母弟フィヨルニルの裏切りにより、まだ幼い息子アムレートの見ている前で殺害される。辛うじて生き残ったアムレートは叔父フィヨルニルへの復讐と、叔父にとらわれた母グートルンを奪い返すことを胸に誓って、見知らぬ大海へと舟を漕ぎ出していく(ロバート・エガース監督の映画「ノースマン 導かれし復讐者」。その元の話はデンマークの歴史家サクソ・グラマティクスデンマーク人の事績』の「アムレート伝説」。後にシェークスピアの悲劇『ハムレット』のもととなる)。
  • 9世紀末 - 中央アジアのハザール王国の王はキリスト教・イスラム教・ユダヤ教いずれの宗教に改宗するべき悩んでいた。この謎の国がいずれの宗教に改宗したのか不明のまま、キリスト教に改宗したとする『赤の書』、イスラム教に改宗したとする『緑の書』、ユダヤ教に改宗したという『黄色の書』が残された。一体この国はどんな国だったのか謎は深まるばかり(ミロラド・パヴィチの幻想小説『ハザール事典』)。

脚注[編集]

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注釈[編集]

出典[編集]

参考文献[編集]

関連項目[編集]

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