17世紀
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17世紀(じゅうしちせいき、じゅうななせいき)は、西暦1601年から西暦1700年までの100年間を指す世紀。
伝説・架空のできごと[編集]
- 17世紀 - スペインの名家の息子ドン・ファン・テノーリオは好色漢で放蕩三昧の日々を送っていた。そしてウジョエの娘を奪うだけでなく、ウジョエをも殺害するに至った。ウジョエの遺体が埋葬され、その墓の上に建てられた石像がドン・ファンの上に倒れ、彼はその下敷きになって死んだが、これは天罰だと人々は噂しあった(原本は『セビーリャ年代記』、ティルソ・デ・モリーナやモリエールにより舞台化され、モーツァルトのオペラや、バイロンの詩にも翻案された)。
- 1605年以後 - 1615年以前 - 狂気の発作も癒えしばし故郷のラ・マンチャ村で静養していたドン・キホーテのもとに学士サンソン・カラスコが登場。ドン・キホーテの伝記(小説『ドン・キホーテ』前編)が出版されたことを報告し新たなる遍歴の旅に出ることを勧める(ミゲル・デ・セルバンテスの小説『ドン・キホーテ』後編)。
- 1611年以前 - 天皇の賀輿丁である八瀬童子の一人岩介は朝鮮に渡り呪術の才を身につけてきた人物である。疾駆する荒馬に巻き込まれた後陽成天皇の三宮政仁親王(後水尾天皇)を助けたことから岩介は「天皇の隠密」として近侍することになり、幕府との確執を深める天皇のために陰で奔走することになる(隆慶一郎『花と火の帝』)。
- 1615年以前 - 徳川家康の圧迫により追い詰められた大阪城の豊臣秀頼のもとに馳せ参じた浪人衆の一人に、知謀に優れ「戦国最強の武将」と呼ばれた真田幸村(信繁)がいた。幸村には甲賀流の猿飛佐助や伊賀流の霧隠才蔵ら異能の才を持つ「真田十勇士」がおり、彼らの活躍により、大坂の陣では優位と思われた徳川方は大いに翻弄されることになる(原型は江戸時代の軍記物『難波戦記』。やがて小説『真田三代記』や講談本『立川文庫』に発展する)。
- 1616年 - 南ネーデルラント(フランドル)の小さな町(現在のベルギーのブーム(都市))は、年に一度の謝肉祭の支度に忙しい。そこへスペインのオリバーレス伯一行の軍隊がまもなく到着しこの地に逗留するとの知らせが届く。さあ一大事。血気に走る暴れ者のスペイン兵の目を欺くために、町長が急死したことにしてやり過ごそうとするが、町長の肝っ玉夫人コルネリアは女性たちを集めて一計を案じる(ジャック・フェデー監督の映画「女だけの都」)。
- 1623年 - スペインのレオン地方出身のディエゴ・アラトリステ・イ・テノーリオがイギリスから来た二人連れの暗殺を依頼されるがその様子を見て思い止まる。この二人連れこそはチャールズ皇太子(後の国王チャールズ1世)とバッキンガム公爵であった(スペインの小説『アラトリステ』・映画化もされている)。
- 1625年 - ガスコーニュ出身の青年貴族ダルタニャンがカルム・デショー修道院の裏庭での決闘をきっかけに銃士隊に加わり、アトス・アラミス・ポルトスの三銃士との友情を深めていく(アレクサンドル・デュマの小説『三銃士』(『ダルタニャン物語』の第一部))。
- 1620年代末 - スペイン支配下にあった北イタリアのコモ湖の近くの村で、青年レンツォと娘ルチアのいいなずけ同士が結婚しようとしたところ、ルチアに目をつけた横暴な領主ドン・ロドリゴが横槍を入れ、司祭を脅迫して式を挙げさせず、二人の訴えを弁護士にも取り上げさせない。これから波乱万丈の物語が始まる(アレッサンドロ・マンゾーニの小説『いいなづけ』)。
- 1638年以降 - 島原の乱を生き延びたキリシタンの森宗意軒が忍法で天草四郎や宮本武蔵を蘇らせ、由比正雪らとともに幕府転覆を目論む(山田風太郎『おぼろ忍法帖』・この小説をもとにした深作欣二監督の映画『魔界転生』も有名)。
- 1638年 - 1640年頃 - この時期に描かれたフランスの画家ニコラ・プッサンの代表作『アルカディアの牧人たち』では、墓石にラテン語で "Et In Arcadia Ego"(我はアルカディアにもある)と書かれているのを牧人たちが覗き込んでいる。この章句はアナグラムで、並び替えると"I Tego Arcana Dai"(立ち去れ!私は神の秘密を隠した!)となり、イエス・キリストの血脈とキリストの墓に関する秘密がこの画には隠されていたのである(ヘンリー・リンカーンほか『レンヌ=ル=シャトーの謎』からダン・ブラウンの『ダ・ヴィンチ・コード』に発展)。
- 1639年以前 - 旗本以下の輿が禁止された際に「天下のご意見番」大久保彦左衛門は反発して「大だらい」に乗って江戸城に登城する。この「天下のご意見番」を支えたのが大久保家に仕える魚屋の一心太助で、情にもろく義侠心に富む典型的な江戸っ子気質のこの男が、彦左衛門の手足となって八面六臂の大活躍する(小説『大久保武蔵鐙』などから河竹黙阿弥の歌舞伎「芽出柳翠緑松前」他の作品に発展)。
- 1640年 - この年の師走、会津藩の支配する猪苗代城城代堀部主膳のもとに禿頭の童子が現れ、堀部にこの城の主である「亀姫」に挨拶せよと催促をする。堀部が怒ってそれを断ると笑って童子は姿を消した。翌年間もなく堀部は厠で倒れ死んだ(『老媼茶話』)。
- 1645年 - 清軍は揚州の街に向け住民皆殺しの命令を下し、市街は地獄へ変貌した。意地悪なくせに小鳥にはひどく優しい不思議な遊女の緑鶸は、彼女の纏足された足を世話する少女・雀を連れ、美貌と知性を武器に生き抜こうとする(ケン・リュウ(劉宇昆)の小説『草を結びて環を銜えん』)。
- 1653年 - 佐倉藩主堀田正信は重税を取り立て領民は困窮していた。このため名主の惣五郎は1人で上野寛永寺に参詣する四代将軍徳川家綱に直訴した。その結果、訴えは聞き届けられ、藩の領民は救われたが惣五郎夫妻は磔となった(『地蔵堂通夜物語』ほか「義民佐倉惣五郎伝説」。怨霊となって仇をなしたという話もある)。
- 1657年以降 - 1695年以前 - 肥前国佐賀藩の2代藩主鍋島光茂の機嫌を損ねた家臣の龍造寺又七郎が斬殺され、又七郎の母も悲憤のため自害する。その母が飼っていた猫が化け猫となり、城内に入り込んで光茂を苦しめる(『鍋島化け猫騒動』)。
- 1659年 - 9月1日にブラジルのサルヴァドールから西アフリカに向けて出港したロビンソン・クルーソーが、大西洋上で難破し無人島に漂着する。ここから1683年までの24年間のロビンソン・クルーソーの孤島暮らしの物語が始まる(ダニエル・デフォー『ロビンソン・クルーソー』)。
- 1660年 - 1685年 - イングランド国王チャールズ2世の命によりオーランドーがイスタンブール(コンスタンティノープル)の大使として派遣されるが、その赴任中に昏睡状態に陥り、目が覚めると男性から女性へと性が変化していた、彼女はこの後もなお長大な人生を生き続ける(ヴァージニア・ウルフ『オーランドー』)。
- 1661年以降 - フランスの財務官ニコラ・フーケが国王ルイ14世の不興を買って投獄される。彼を救おうと三銃士の一人アラミスが奔走するがその途上で鉄仮面をかぶる謎の囚人に出会い、一世一代の賭けに挑むことになる(アレクサンドル・デュマの小説『ブラジュロンヌ子爵』「鉄仮面」(『ダルタニャン物語』の第三部))。
- 1664年 - イングランド国王チャールズ2世の愛犬の病気を治した縁により、医学生だったロバート・メリヴェルが医師として招かれ、波乱含みの宮廷の悲喜交々の日々に巻き込まれていく(ローズ・トレメイン『道化と王』)。
- 1672年 - 鬼怒川沿いにある下総国岡田郡羽生村で殺害された累(かさね)という女性の怨霊が長年にわたり凶事を引き起こしていたが、弘経寺(ぐぎょうじ)の祐天上人により行われた浄霊と供養によりその因縁は解かれ怨霊は成仏した(「累ヶ淵伝説」)。
- 1682年 - 名うての好色漢である世之介は60歳になって財産を整理し、仲間7人とともに好色丸なる船をあつらえ、神無月の末に伊豆国から女護島めざして船出し消息不明となった(井原西鶴『好色一代男』)。
- 1690年以降 - 水戸藩主を退いた徳川光圀が佐々木助三郎と渥美格之進の二人を共にして諸国漫遊の旅に出る。その途上、一行は各地の庶民と親しく交わり、悪政を行なう大名・代官などがいればそれを糾すべく世直しの挙に出る(講談「水戸黄門漫遊録」ほか映画・テレビドラマ)。