鉄道省クハ68形電車

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鉄道省クハ68形電車 (てつどうしょうくは68かたでんしゃ)は、大日本帝国鉄道省が設計、開発した電車である。

概要[編集]

鉄道省クハ55形電車の性能
形式 クハ68
定員 (座席) 134 (55)、135 (56)
座席配置 セミクロスシート
運転台数、様式 1カ所 (全室貫通)
自重 29.6t~32.5t
車体寸法最大長 20000mm
車体寸法最大幅 2870mm
車体寸法最大高 4017mm、4020mm
車体寸法車体外部の長 19355mm
車体寸法車体外部の幅 2805mm
台車中心間距離 13600mm
制御方式 主幹制御器付き
制御器方式
回路電圧 100V
1時間定格線電圧
1時間定格出力
1時間定格引張力
1時間定格速度
最高運転速度 95km/h (許容95km/h)
主電動機
出力×個数
制動装置 AE空気ブレーキ装置・手ブレーキ
台枠形式 UF36
台車 TR23
軸距 2450mm
車輪直径 860mm
歯数比
電動発電機
空気圧縮機
連結器・緩衝装置 密着式・30t輪バネ
戸締機械 TK3×3カ所
製造初年 1937年


運用[編集]

1937年に68001から68020として新製され、首都圏京阪神圏に投入された。太平洋戦争後、国鉄モハ70系電車に置き換えられた。その後、宇部線小野田線飯田線大糸線身延線にも投入されたが、新性能電車に置き換えられた。

改造による複雑な車歴[編集]

太平洋戦争中に輸送力増強のために本形式と、1942年鉄道省クロハ59形電車16両が3扉化改造、全室3等室に格下げ、ロングシートに改造して68021~68037となったが、さらに鉄道省クハ55形電車のクハ55135~55149に編入された。戦後、クハ68改造車はセミクロスシートに置き換えられてクハ68に戻ったが、クハ55として新製された車両もセミクロスシートに改造されてクハ68になった車両もある。戦時中、日本本土空襲によって多くが廃車になった。

戦後の改造[編集]

クハ68への復帰
番号 記事
68001~68023 クロハ59→クハ68→クハ55をセミクロスシートに改造。奇数番号のみ。3両はクハ68401~クハ68405(奇数番号のみ)に改造。
68024~68058 クハ68→クハ55をセミクロスシートに復元。偶数番号のみ。7両はクハ68400~クハ68410(偶数番号のみ)・68416に改造。
68060~68106 クハ55001~55096をセミクロスシートに改造。→6両は68407・68409・68412・68414・68418・68420に改造。
68107~68111 クロハ59→クハ55をセミクロスシートに改造。奇数番号のみ。
68200 クハ47を3扉化
68210・68211 サハ48→クハ47を3扉化
68400~68420(偶数番号主体) 68024~68058から7両、68060~68106から6両に便所取付68409以外は偶数番号。
68401~68405(奇数番号のみ) 68001~68023に便所取付

便所取り付け改造車[編集]

1966年1968年にかけて便所取り付け工事の行った車両の車番は百の位が4になった。

クハ68 400番台の歩み
旧番 前配置 飯田線入線 配置 便所取付 改番 新番号 廃車 配置
クハ68040 明石 1967年 伊那松島 1968年 1968年 クハ68400 1983年 伊那松島
クハ68007 明石 1966年 中部天竜 1967年 1968年 クハ68401 1979年 豊橋
クハ68032 明石 1966年 豊橋 1967年 1968年 クハ68402 1983年 豊橋
クハ68003 明石 1966年 伊那松島 1967年 1968年 クハ68403 1983年 伊那松島
クハ68030 明石 1965年 伊那松島 1967年 1968年 クハ68404 1983年 伊那松島
クハ68009 明石 1966年 中部天竜 1967年 1968年 クハ68405 1984年 伊那松島
クハ68034 明石 1966年 伊那松島 1968年 1968年 クハ68406 1983年 伊那松島
クハ68077 明石 1968年 伊那松島 1972年 1972年 クハ68407 1978年 豊橋
クハ68054 明石 1966年 伊那松島 1968年 1968年 クハ68408 1983年 伊那松島
クハ68064 高槻 1960年 伊那松島 1961年 1968年 クハ68409 1984年 伊那松島
クハ68046 明石 1965年 伊那松島 1967年 1968年 クハ68410 1984年 伊那松島
クハ68106 陸前原ノ町 1971年 豊橋 1972年 1972年 クハ68412 1984年 伊那松島
クハ68100 明石 1969年 伊那松島 1972年 1972年 クハ68414 1983年 伊那松島
クハ68026 明石 1966年 豊橋 1974年 1974年 クハ68416 1983年 伊那松島
クハ68066 岡山 1967年 豊橋 1974年 1974年 クハ68418 1984年 伊那松島
クハ68094 明石 1969年 豊橋 1974年 1974年 クハ68420 1984年 伊那松島

大糸線でのクハ68形電車[編集]

北松本電車区・松本運転所北松本支所の配置電車
形式 1956年3月1日 1960年4月1日 1965年3月31日 1969年3月31日 1975年3月31日 1981年4月30日
クモハ11 11両 11両 13両
クモハ12 2両 1両 1両 1両
クハ16 9両 11両 12両
クモハ40 1両 1両 1両
クモハ41 3両 9両 1両
クモハ60 9両 9両 9両
クハ55 15両 15両 9両
サハ57 3両 3両 2両
クモハ51 3両 2両 7両 4両
クモハ54 3両 3両
クモハユニ64 1両 1両
クハ68 3両 3両
クモハ43 4両 2両
クモハユニ44 2両 2両 1両
サハ45 3両 3両
クモユニ81 1両 1両
合計 24両 25両 34両 41両 50両 37両

注1) 1959年6月1日以前はクモハはモハ、クモハユニはモハユニである。

注2) 1965年以降、松本運転所北松本支所となった。

注3) 1981年7月24日以降、国鉄115系電車に取り替えられた。

参考文献[編集]

脚注[編集]