じゃりン子チエ (テレビアニメ)

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じゃりン子チエ』は、はるき悦巳同名漫画を原作とするテレビアニメ1981年から1983年にテレビシリーズ第1期「じゃりン子チエ」が放送された。1991年から1992年にテレビシリーズ第2期「チエちゃん奮戦記 じゃりン子チエ」が放送された。

テレビシリーズ第1期「じゃりン子チエ」[編集]

1話30分、全64話+SP1話。1981年10月3日から1983年3月25日に毎日放送で放送された[1]関東地区ではTBSで放送された[2]。第1話から第22話までは毎週土曜日17時に放送された。第23話から第64話までは毎週金曜日19時に放送され[3]、『ドラえもん』(テレビ朝日)の裏番組だった[4]。人気作となり、関西では繰り返し再放送が行われている[3]

製作は毎日放送、東京ムービー新社(現・トムス・エンタテインメント)。チーフディレクターは高畑勲

製作[編集]

劇場アニメ『じゃりン子チエ』(1981年4月11日公開)に連動した企画[5]。当初から映画で評判をとってテレビアニメ化するという目的があった[6]。1981年6月末にテレビアニメ化が決定し、8月中旬に制作を開始した[6]。第10話まで劇場版のカットを一部流用している。文芸担当の山崎敬之によると、テレビシリーズの担当プロデューサーはコスト軽減のために劇場版からの流用を考えたが、流用した部分だけ動画の枚数や背景の質が違うためにクオリティが高くなり、作品全体としてはちぐはぐになってしまうという事態に陥った。通常の解決策はテレビの動画枚数に合わせて新しく作り直すことだが、テレビシリーズを制作する4つの班の作画監督は劇場版並みの枚数で作ることを主張したため、結果として「テレビアニメの動画枚数といえば数千枚が相場だった時代に、三十分番組の『じゃりン子チエ』は、一本につきなんと一万枚を超える動画が用いられるという、贅沢きわまりないアニメ」となった[5]

高畑勲は「武元哲」名義で第2・6・11・16話の演出、絵コンテも担当した。またオープニング作曲原案も担当した[7]。オープニング曲「バケツのおひさんつかまえた」は原作でテツが口ずさんでいた歌に曲をつけたもので[3]、作曲家の惣領泰則との共作である[8]。高畑は『リトル・ニモ』の準備に参加後は実質的にチーフディレクターの責任を放棄し[7]、途中で現場を離れた[9]

オープロダクション[10]テレコム・アニメーションフィルム[11]などが下請けとして複数話の制作を担当した。オープロの後藤紀子池田淳子高坂希太郎などが原画を担当した。

劇場版と同じくアフレコで録音している。声優が東京と大阪に別れているため、別々に録音している[12]。キャストは中山千夏(チエ)、西川のりお(テツ)、上方よしお(ミツル)のみ劇場版と共通。特に西川のテツ役は当たり役と言われる[13][14]

評価[編集]

大阪で平均25%、東京で平均15%という高視聴率をとった[4]。最高視聴率は29.1%(関西地区)[15]。関西では80年代後半に再放送が始まったが、最終回の翌日にまた1話の再放送が始まった[16]。繰り返し再放送が行われ[2][17][13]、これがきっかけとなって1991年に第2期も製作された[16]。原作に忠実な作品として定評がある[18]

池田憲章は「映像の人情喜劇というと、日本ではすぐ、『フーテンの寅さん』シリーズという作品を引きあいに出さざるをえないのだが、いま『じゃりン子チエ』というTVアニメが、この映像ジャンルの貴重にして、重要なメンバーになりつつある」と述べている[19]。また劇場版について「マンガの大ファンであった僕は、この劇場アニメでのこまやかな情感描写とていねいな作画の表現力に陶然となった」とし、「「じゃりン子チエ」は、さらにテレビアニメとなりより原作に近い一週連載(⁉)で、映画化された。この両作にはただ絶讃あるのみ‼」と評している[20]

斎藤環は「個人的に、もっとも思い入れが深い作品」[21]「単純に、すごくよくできたアニメなんだ。いま見直しても、絵はよく動くし、声優のハマリ具合もハンパじゃない。(中略)あまりにすばらしかったので、まだ高価だったビデオを持っていなかったせんせいも、毎週録音して繰り返し聞いていたものさ。この作品、ストーリーも絵柄も原作に忠実なんだけど、不思議なことに、どこかジブリ風味に仕上がっている。アニメのマジックだね。あの地味なチエちゃんまで、なにやら萌えらしきものを醸し出すんだから。その萌えっ子ぶりは、あの名匠すがわらくにゆき氏が最近になって無茶苦茶ハマっているという事実にもうかがえる(うかがえるよな?)」[22]と評している。

小谷野敦は「私はテレビアニメのほうを、途中から、高畑の演出だと気づいて観るようになった。チエはかわった顔立ちながら確かにかわいかったが、別にそれ以上の感銘はなかった。どうも私は大人マンガが苦手で、夏目・呉の本を読んだあとで、少し買って覗いてみたりしたのだが、何が面白いのか分らなかった。『チエ』は、まだ意味は分かったが、好きになるというところまでは行かなかった」と評している[23]

押井守は「『赤毛のアン』でどれだけ勉強させてもらったか判らないし、『じゃりン子チエ』でも相当勉強させてもらった。何度観たか判らないから。演出家としてあれほどためになる作品もないと思ったし、同業者の人はもれなく同じことを言うよ。」と述べている[24]。また押井は『かぐや姫の物語』(2013年)で「かぐや姫の顔だけ別系列」にしたことを批判し、「ある瞬間とても綺麗に見えたということがもっとも重要であって、高畑さんはそれをかつて『じゃりン子チエ』で実現している。あの下駄のような顔のチエが、ときどきものすごくかわいい顔をするんだよ。「これがアニメーションなんだ」って感心したんだから。」と述べている[25]

東野幸治は自身のYouTubeチャンネルにおいて「【第46回】今『じゃりン子チエ』にハマっております」というタイトルでラジオ動画を配信し、第11話「金賞! チエちゃんの作文」について「お酒飲みながら見たら泣きそうになる。アニメ見て泣きそうになったのは、『ちびまる子ちゃん』の映画『大野くんと杉山くん』以来ですよ」と語った[26]

別冊映画秘宝編集部編『別冊映画秘宝 アニメ秘宝発進準備号 オールタイム・ベスト・アニメーション』(洋泉社[洋泉社MOOK]、2018年)に掲載されたアンケートにて、加藤よしき高鳥都多根清史が本作を「マイ・ベスト・アニメーション」10本の1つに選んでいる。

スタッフ[編集]

キャスト[編集]

主題歌[編集]

  • OP「バケツのおひさんつかまえた」
  • ED「ジュー・ジュー・ジュー」
    • 作詞:はるき悦巳、作曲:惣領泰則、編曲:惣領泰則、歌手:中山千夏[1]
    • オープニング・エンディングともにクレジットなし。
    • 第32~38話のエンディングは「ジャリン子チエ」(「バケツのおひさんつかまえた」)。

テレビシリーズ第2期「チエちゃん奮戦記 じゃりン子チエ」[編集]

1話30分、全39話。1991年10月19日から1992年10月10日に毎日放送で放送された[27]関西のみで放送された[16]ため、知名度が低く、また第1期に比較して不評な作品である。

製作は東宝東京ムービー新社(現・トムス・エンタテインメント)、毎日放送。第1期を監督した高畑勲は降板したが、第1期や『赤毛のアン』で高畑とともに演出を手がけた横田和善が監督を務めた[28]。第1期で作画監督を務めた才田俊次がキャラクターデザインを担当した。『リトル・ニモ』(1989年)で高畑の演出助手を務め、後に『この世界の片隅に』(2016年)で知られることになる片渕須直が絵コンテや演出として多くの話数に参加した[29]テレコム・アニメーションフィルム[30]京都アニメーションなどが下請けとして制作を担当した。

スタッフ[編集]

キャスト[編集]

主題歌[編集]

英語タイトル[編集]

トムス・エンタテインメントの公式サイトによると、第1期は「Chie the Brat」[31]、第2期は「Downtown Story」[32]。2017年時点では第1期・第2期合わせて「Downtown Story」だった[33]

2025年にアメリカのDiscotek Media社が発売した北米版Blu-rayのタイトルは「Chie The Brat: 1st TV Series」「Chie The Brat: 2st TV Series」。

ソフト[編集]

第1期
  • 『じゃりン子チエ DVD-BOX』(1-4、バンダイビジュアル、2002年)
  • 『TV放送開始30周年記念 じゃりン子チエ SPECIAL BOX』(キングレコード、2011年)
  • 『「じゃりン子チエ」Blu-ray BOX』(キングレコード、2015年)
  • 『じゃりン子チエ COMPLETE DVD BOOK』(全6巻、ぴあ、2019-2020年)
  • 『じゃりン子チエ 傑作回COMPLETE DVD BOOK テツ編』(ぴあ、2024年)
  • 『じゃりン子チエ 傑作回COMPLETE DVD BOOK 小鉄編』(ぴあ、2024年)
第2期
  • 『チエちゃん奮戦記 じゃりン子チエ DVD-BOX』(上・下、バンダイビジュアル、2003年)
  • 『チエちゃん奮戦記 じゃりン子チエ DVD-BOX』(エイベックス・エンタテインメント、2012年)
  • 『チエちゃん奮戦記 じゃりン子チエ COMPLETE DVD BOOK』(全4巻、ぴあ、2020年)

出典[編集]

  1. a b c d じゃりン子チエ | 1980年代 | TMS作品一覧 トムス・エンタテインメント
  2. a b 加賀谷真澄「『じゃりン子チエ』と釜ヶ崎――地域性が織りなす物語」『文学研究論集』26号、2008年1月
  3. a b c アニメージュ編集部編『TVアニメ25年史』徳間書店、1988年、114頁
  4. a b 「アニメージュ・レーダー ①チエ」『アニメージュ』1982年4月号
  5. a b 山崎敬之『テレビアニメ魂』講談社現代新書、2005年、162-163頁
  6. a b 「秋の新番組発表 ③じゃりン子チエ」『アニメージュ』1981年10月号
  7. a b 高畑勲『映画を作りながら考えたこと』徳間書店、1991年、491頁
  8. 栗本斉「高畑勲は“音楽の演出”も抜きん出ていた 監督作品などから功績を辿る」リアルサウンド、2018年4月15日
  9. 高畑勲「のびのびと忠実であるよう努めた「じゃりン子チエ」」、レーザーディスク『じゃりン子チエ』(東芝EMI、1998年)のブックレット
  10. オープロのあゆみ2 オープロダクション
  11. 作品紹介 テレコム・アニメーションフィルム
  12. 「③じゃりン子チエ」『アニメージュ』1981年11月号
  13. a b 大山くまお「高畑勲監督「じゃりン子チエ」は大阪下町版「世界名作劇場」1話から3話まで無料公開中で「ルパン」超え」エキサイトニュース、2019年5月22日
  14. 小黒祐一郎「アニメ様365日 第76回 『じゃりン子チエ』(劇場版)」WEBアニメスタイル、2009年3月2日
  15. 「じゃりン子チエ」なぜ時代超えて共感? 作者の直筆メッセージ NHKニュース、2023年4月20日
  16. a b c 「チエちゃん奮戦記 じゃりン子チエ 浪花っ子ヒロインの魅力は!?」『アニメージュ』1993年3月号
  17. 氷川竜介「『じゃりン子チエ(劇場版)』に見る高畑勲の映画構築術PDF」『アニメーション研究』21巻1号、2020年9月
  18. 長尾剛『「じゃりン子チエ」という生き方――チエの強さ、テツの弱さ、ヨシ江の恐さ』双葉社、1998年、87頁
  19. 池田憲章「池田憲章のいいシーン見つけた――じゃりン子チエ」『アニメージュ』1982年9月号
  20. 池田憲章「創刊マル5周年マイナー企画 Look Back 5 Years ⑪「じゃりン子チエ(映画)」より 笑顔が心にしみる傑作」『アニメージュ』1983年7月号
  21. 斎藤環『戦闘美少女の精神分析』ちくま文庫、2006年、206頁(単行本は太田出版より2000年に刊行)
  22. 斎藤環『おたく神経サナトリウム』二見書房、2015年
  23. 小谷野敦『高畑勲の世界』青土社、2013年、142頁。「夏目・呉の本」とは、夏目房之介、呉智英編著『夏目&呉の復活!大人まんが』(実業之日本社、2002年)。
  24. 押井守『誰も語らなかったジブリを語ろう』東京ニュース通信社、発売:徳間書店、2017年、178-179頁
  25. 押井守『誰も語らなかったジブリを語ろう』東京ニュース通信社、発売:徳間書店、2017年、188-189頁
  26. 東野幸治、再ブーム『じゃりン子チエ』に大ハマり「お酒飲みながら見たら泣きそうになる」 ふたまん+、2020年7月3日
  27. a b c チエちゃん奮戦記 じゃりン子チエ | 1990年代 | TMS作品一覧 トムス・エンタテインメント
  28. 『じゃりン子チエ』の父子物語傑作選“なにわのおとん3本立て”&アニメ第2期の第1〜3話 YouTube無料公開中 amass、2020年6月20日
  29. 佐土原武之監督が参加した「チエちゃん奮戦記 じゃりン子チエ」全話収録DVDブック刊行決定 : 映画ニュース 映画.com、2020年5月28日
  30. 作品歴1990年代 テレコム・アニメーションフィルム
  31. Chie the Brat | 1980s | ALL TITLES TMS ENTERTAINMENT CO., LTD.
  32. Downtown Story | 1990s | ALL TITLES TMS ENTERTAINMENT CO., LTD.
  33. Downtown Story/TMS(アニメ作品を調べる) トムス・エンタテインメント、2017年3月17日時点のアーカイブ

関連文献[編集]

  • 「じゃりン子チエ うちのお父はん」『アニメージュ』1982年3月号
  • 「ネコロマン うる星やつら&じゃりン子チエ」『アニメージュ』1982年12月号
  • 河野勝行「テレビアニメ「じゃりン子チエ」と「みなよろし」――大分県日田の私塾「咸宜園」と関わって」『人間発達研究所通信』第38巻第2号、2022年9月

外部リンク[編集]