ジェイアール東海バス

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ジェイアール東海バス株式会社(ジェイアールとうかいバス)は、名古屋市中川区小本3丁目に本社がある東海旅客鉄道グループのバス事業者である。

概要[編集]

愛知県静岡県に事業拠点を持ち、主に名古屋・静岡を中心として高速バス貸切バスを運行する。

会社の収益の主な柱は高速バス事業であり、名古屋と静岡を拠点に東京・京都・大阪・神戸・高山・四国・福井・金沢・甲府・広島への長距離高速バスを運行している。

貸切バスは愛知県と静岡県を営業エリアに持ち、両県発着の貸切バスを取り扱う。ラインナップはパウダールーム付ワイドシート車、補助席付4列スタンダードシート車、中型29人乗りの3種類となっているが、貸切登録の路線兼用車も在籍している。

歴史[編集]

1930年(昭和5年)に開設された省営自動車線第1号の岡多線(岡崎 - 多治見高蔵寺)を源流とし、日本国有鉄道発足後に鉄道敷設法の未成区間を中心に、自動車線国鉄バス中部地方自動車局)としてバス事業を運営していた。
なお、国鉄分民化の直前の1986年(昭和61年)、中部地方自動車局管内で、山間県境地域等、往来の少ない地域や鉄道や民間バス競合で実績が芳しくない地域の国鉄バス路線を相当数切っている。

1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化の際に、分割直前に国鉄が自動車線として運営していたバス事業(国鉄バス中部地方自動車局)のうち、愛知、岐阜、静岡の各県と福井県奥越のバス路線[注 1]がJR東海へと引き継がれ、分民化直後にJR新旅客鉄道会社がバス事業を直営した。

1988年(昭和63年)にバス事業が旅客鉄道から分社化されることとなり前記地区の事業を引き継いで営業を開始。平成改元前後の高速バスブームに乗って、名古屋駅から金沢、福井、福岡、広島、および「伊良湖ライナー号」の高速バスを新設したが、その後の環境の変化で名古屋 - 福岡間の「レインボー号」と「伊良湖ライナー号」が廃止に追い込まれた。

一般路線バスは国鉄時代から引き継いだが、赤字のために2000年代から一気に縮小が進み、2009年9月を以て全ての一般路線バスから撤退した。なお撤退した一般路線は自治体の自主運行バスに移管された他、別のバス会社へと移管されたものもある。

支店・基地[編集]

  • 名古屋支店
本社に併設。名古屋ナンバー。
最寄駅:あおなみ線小本駅
  • 静岡支店
東名高速道路静岡インターに隣接。静岡ナンバー。
東京・名古屋間の中間地点近くに支店があることから、東京と浜松・名古屋を東名高速道路経由で結ぶ自社運行便について、昼夜行問わず、東名静岡(静岡インター)で乗務員が交代する体制を整えている。これによりハンドル時間やワンマン運行の距離を法令の範囲内に収めつつ、乗務員の負担も大きく軽減している。
  • 浜松基地
車両配置なし。浜松発着便の折返整備場所として使用。

閉鎖された支店・営業所[編集]

  • 瀬戸支店
2009年の一般路線全廃時に閉鎖。
  • 岡崎営業所→愛知貸切営業所
2002年の瀬戸南線の岡崎市内の路線廃止時に愛知貸切営業所へ改組するも2005年に閉鎖。
  • 中津川営業所
2005年閉鎖。末期は中津川発着の高速バス基地として使用されていた。
  • 美濃白鳥営業所
2002年閉鎖。
  • 新居町営業所→静岡貸切営業所
2002年の浜名線廃止時に静岡貸切営業所へ改組するも2004年に閉鎖。
  • 遠江二俣営業所
2002年閉鎖。

高速バス[編集]

運行中[編集]

下記路線以外に、出雲・松江・米子ドリーム名古屋号(名古屋 - 米子・松江・出雲)の運行支援を行っている。

関東方面[編集]

関西方面[編集]

北陸方面[編集]

中国・四国方面[編集]

共同運行から撤退[編集]

系統再編[編集]

  • 北陸道昼特急名古屋号(名古屋 - 金沢) - 西日本ジェイアールバスと共同運行。2021年(令和3年)11月、北陸道ハイウェイバスに統合される形で系統廃止。
  • ドリーム知多号(八田 - 太田川・刈谷 - 東京・新木場・TDR) - ジェイアールバス関東と共同運行[注 2]2025年(令和7年)1月、ファンタジアなごや号に統合。
  • オリーブ号 → オリーブ松山号(名古屋 - 徳島・高松・松山) - ジェイアール四国バスと共同運行。2025年(令和7年)4月、瀬戸内エクスプレス名古屋号へリニューアル。

路線廃止[編集]

  • レインボー号(名古屋駅 - 博多駅)- 九州旅客鉄道と共同運行。夜行便。1993年(平成5年)4月1日廃止。
  • 伊豆スパー号(名古屋駅 - 修善寺・伊東) - 東海自動車と共同運行。昼行便。1991年(平成3年)撤退。その後路線廃止。
  • 箱根ビュー号(名古屋駅 - 三島広小路・箱根関所) - 伊豆箱根鉄道と共同運行。昼行便。1993年(平成5年)4月1日撤退。その後路線廃止。
  • 特急「白川郷」(名古屋 - 尾張一宮 - 美濃白鳥 - 牧戸 - 鳩ヶ谷)- 単独路線。名金線を再編して東海北陸道経由で運行。2002年(平成14年)10月廃止。
  • いいなかライナー号(中津川駅 - 飯田駅) - 信南交通と共同運行。昼行便。2004年(平成16年)10月廃止。
  • 伊良湖ライナー号(東京駅 - 豊橋駅 - 伊良湖岬)- 豊橋鉄道バスと(当初はジェイアールバス関東とも)共同運行。昼夜便→夜行便。2006年(平成18年)1月14日廃止。
  • ラメール号(名古屋 - 横浜 - 品川) - 廃止時点では京急観光バスと共同運行。夜行便。2008年(平成20年)3月に系統廃止し、ファンタジア名古屋号停車に移行。
  • 中央ライナー名古屋号(名古屋・中央道昼神温泉 - 中央道日野・新宿) - ジェイアールバス関東と共同運行。晩年は昼行便。2024年(令和6年)3月廃止。
  • オリーブ高知号(名古屋 - 高松・高知) - ジェイアール四国バス(開業時、JR四国)と共同運行。夜行便。2006年(平成18年)1月、高松停車をオリーブ松山号に変更する形で徳島経由で季節運行化後、2007年(平成19年)に廃止。

一般路線バス[編集]

会社発足当初は瀬戸・岡崎・美濃白鳥・中津川・遠江二俣・新居町を拠点に、愛知、岐阜、静岡の各県と福井県奥越で一般路線バスを運行していた。
しかし、東海道線や愛環線といった鉄道路線の増発による充実で幹線区間が食われ、残った区間も過疎地や自動車指向の強い地域を運行するために、いずれの路線も収支状況が極めて悪く、2000年代以降廃止が進められ、2009年9月を以て一般路線バスから完全撤退した。

一般路線撤退時に所有していた一般路線車のうち、老朽化の著しいものは廃車、状態の良いものは他社へ売却・譲渡されたが、2004年式のブルーリボンシティハイブリッド2両のみは除籍を免れ、貸切登録へと変更されて愛知環状鉄道八草駅と愛知工業大学を結ぶシャトルバスへと転用され、2022年3月まで使用された。

  • 名古屋空港線(名古屋 - 名古屋空港)
  • 名金急行線(岐阜[注 3] - 小屋名 - 郡上八幡駅 - 美濃白鳥駅 - 北濃駅 - ひるがの高原 - 牧戸 - 鳩ヶ谷)
  • 瀬戸北線(瀬戸市 - 瀬戸駅前 - 品野 - 上品野 - 下半田川 - 多治見/品野 - 岩屋堂温泉)
  • 中馬線(上品野口 - 上品野 - 片草)
  • 瀬戸西線(瀬戸市 - 中水野/春日井 - 大池住宅/鹿乗橋 - 高蔵寺/鹿乗橋 - 押沢台五丁目/玉野 - 押沢台五丁目)
  • 陶都線(瀬戸追分 - 小幡緑地/松原町 - 中水野/松原町 - 南山中学前/南山中学前 - 水野団地/水野団地 - 瀬戸みずの坂)
  • 瀬戸南線(岡崎 - 東名岩津/三河上郷 - 三河安城/瀬戸記念橋 - 南山学園)
  • ゆとりーとライン(大曽根 - 瀬戸みずの坂)
  • 大野線美濃白鳥駅 - 九頭竜湖駅
  • 天竜線(西鹿島 - 遠江二俣 - 瀬尻 - 水窪駅口 - 水窪町/瀬尻 - 白倉峡)
  • 東天竜線(遠江横山 - 笹倉)
  • 浜名線(新居町 - 白須賀 - 一里山 - 二川駅 - 岩屋観音 - 豊橋駅/白須賀 - 鷲津/二川駅 - 東山口 - 豊橋駅/浜名湖競艇場 - 豊橋)
  • 恵那線(中津川 - 美乃坂本/中津川 - 上手賀野/中津川 - 中京学院大)

参考文献[編集]

JR東海バス 一般路線全廃に関する情報

脚注[編集]

注釈
  1. JR東海は三重、滋賀、長野両県で在来線を有しているが、長野県下の国鉄バス路線はJR東日本(当時)、三重、滋賀両県下の国鉄バス路線はJR西日本(当時)に引き継がれた。
  2. 昼行便の「知多シーガル号」には当初から関わっていない。
  3. 晩年は国道156号経由便は岐阜駅発着で、名古屋発着は特急「白川郷」に系統分割していた。