慣性モーメントとは、回転運動における慣性を表す物理量。記号は
を用いて表記することが多い。
ある物体の慣性モーメントは、その物体の各部分の質量(密度)と、回転軸からその部分までの距離の2乗との積の総和である。

単位は、kg・m^2などがある。
回転軸が重心
を通る場合に慣性モーメントは最小値
をとり、軸が重心から距離
離れている場合にその軸の周りの慣性モーメント
は

十分に薄く厚さを無視できる板について、面に垂直な回転軸周りの慣性モーメント
は同じ点で面を通りかつ面に平行な回転軸周りの2つの慣性モーメント
の和に等しい。

特に、円板,円環,正方形などの対称性から
となるような物体では

となって、
から
を求められる。
半径
で密度一定の質量
の厚さを無視できる円板を考える。
すなわち、z軸方向の距離を無視できる他、密度は
になる。
重心を通り面に垂直な軸周りの慣性モーメント
は、

重心から半径方向に
離れた点を通り面に垂直な軸周りの慣性モーメント
は、平行軸の定理より

重心を通り面に平行な軸周りの慣性モーメント
は、垂直軸の定理より

並進運動と回転運動の対応[編集]
質量が並進運動において慣性を表す物理量であることに対して、慣性モーメントは回転運動における慣性を表す物理量である。
同様に他の物理量も以下のような対応関係にある。(電気機械音響類似も参照)
意味など |
並進運動 |
回転運動
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力学変数 |
変位 |
角度
|
力学変数の1階微分 |
速度 |
角速度
|
力学変数の2階微分 |
加速度 |
角加速度
|
力 |
力 |
トルク
|
運動量 |
運動量 |
角運動量
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運動エネルギー |
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|
抵抗要素 |
ダンパー |
回転ダンパー
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慣性要素 |
質量 |
慣性モーメント
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弾性要素 |
ばね定数 |
回転ばね定数
|
インピーダンス |
機械的インピーダンス |
回転機械的インピーダンス
|
運動方程式 |
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