リン (元素)
リン(元素記号:P(古代ギリシャ語のφωσφόροςまたはラテン語のPhosphorusに由来(光を運ぶなどの意)))とは周期表の第3周期元素の第15族元素に属する原子番号15番の元素である。
リンは地殻で最も一般的な元素の一つで、その含有量は地殻質量の0.08~0.09%であり、また海水中の濃度は0.07mg/lである。リンは化学的に活性であるため、遊離状態では存在しない。リンは約190種類の好物を形成し、その中でも有名なのがアパタイト、リン鉱石などである。リンは生物学的に最も重要な化合物にすべて含まれており、リン脂質やヒドロキシアパタイト、タンパク質などその他重要な有機化合物(ATP、DNA)の一部である。
発見[編集]
リンは1669年にドイツのハンブルクの錬金術師のヘンニヒ・ブラントによって発見された。ブラントは金を作ろうとして尿を数日間熟成させ、煮込んで白い砂と蒸発した尿の混合物から、非常に明るく燃え、暗闇できらきら輝く物質の粒がでてきた。ブラントはこの物質を最初に「冷たい火」と呼び、のちにリン光体(ラテン語での詳細は「奇跡の光の運び手」)と名付けた。
ブラントによるリンの発見は、古代以来初めて発見された化学元素であったが、12世紀にすでにアラブの錬金術師がリンを生成していたという証拠がある。ややあとになって、ドイツの化学者のヨハン・クンケル、イギリスの化学者のロバート・ボイルがリンのまともな方法での単離に成功した。
同素体[編集]
リンは主に4つの同素体を持つ。
白リン[編集]
白リンは白色の物質(不純物によって黄ばむこともある)である。柔らかく、ナイフで簡単に切断でき、わずかな力で変形する。白リンは分子結晶格子を持つ。棒状の形で不活性中で鋳造され、精製水の層の下または、または特別な不活性環境下で真空状態で保存される。水には溶けにくいが有機溶媒には溶けやすい。二硫化炭素への白リンの溶解性は、不純物の工業的精製に利用されている。すべての同素体の中で、白リンは最も密度が低く、約1823 kg/m³である。白リンの融点は44.1℃である。気体状態では、リン分子は解離する。化学的に白リンは非常に反応性が高い。例えば、室温でも大気中の酸素中でゆっくりと酸化され、淡緑色に光る。
黄リン[編集]
未精製の白リンが一般に黄リンと呼ばれる。これは非常に毒性が強く可燃性で、淡黄色から濃褐色まで様々な色の結晶性物質です。密度は1.83 g/cm³、融点は43.1°C、沸点は280°Cである。水には溶けず、空気中で容易に酸化し、自然発火する。目もくらむような淡黄色の炎を上げて燃え、濃い白煙(十酸化四リン)を放出する。
赤リン[編集]
赤リンは、リンの熱力学的に安定な同素体である。1847年、オーストリアの化学者アントン・シュレッター・フォン・クリステリがスウェーデンで、白リンを密閉したガラスアンプル内で一酸化炭素[]下、500℃で加熱することにより初めて得られた。
赤リンは製造方法や粉砕度合いによって、様々な色合いを持ち、鋳造状態では銅色の濃い紫色で金属光沢がある。赤リンの化学活性は白リンよりも著しく低く、溶解度が非常に低いのが特徴である。赤リンは特定の溶融金属(鉛とビスマス)にのみ溶解し、大きな結晶を得るために用いられることがある。
爆弾の原料として著名であり、花火やマッチ箱の側面に用いられる。
黒リン[編集]
黒リンは、リンの中でも熱力学的に最も安定的で、化学的に最も反応性が低い。黒リンは1914年にアメリカの物理学者のパーシー・ウィリアムズ・ブリッジマンによって高密度のある光沢のある黒色結晶の白リンから初めて合成された。ブリッジマンは黒リンを合成するために2×109Paの圧力と約200℃の温度を用いた。黒リンは、金属光沢を持つ黒色の物質で、触ると油っぽく、グラファイトによく似ている。水や有機溶媒には全く溶けない。黒リンは、純酸素中で400℃まで加熱することによってのみ着火する。黒リンは電気を通し、半導体として機能する。融点は1.8×10⁻⁶Paの圧力下で1000℃である。