阪神本線

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阪神電気鉄道 本線
基本情報
所在地 大阪府兵庫県
起点 大阪梅田駅
終点 元町駅
駅数 33駅
路線記号 HS
開業 1905年4月12日
全通 1936年3月18日
運営者 阪神電気鉄道
車両基地 尼崎車庫石屋川車庫
路線諸元
路線距離 32.1 km
軌間 1,435 mm (標準軌
線路数 複線
電化方式 直流1,500 V 架空電車線方式
閉塞方式 自動閉塞式
保安装置 阪神型ATS
最高速度 106 km/h

阪神本線(はんしんほんせん)は、大阪府大阪市北区の大阪梅田駅から兵庫県神戸市中央区の元町駅を結ぶ、阪神電気鉄道の鉄道路線である。

概要[編集]

JR西日本のJR神戸線東海道本線)、阪急電鉄の阪急神戸線と並走し、大阪と神戸の都市間輸送を担う路線である。3路線の中では2番目に歴史が古く、さらに都市と都市を結ぶ鉄道路線では日本初のものとなる。

敷設当時、鉄道路線免許交付に関する私設鉄道法があり、その関係で既に存在する鉄道院の東海道本線と並走する路線の建設は規制されたため、規制をかいくぐれる軌道法準拠の路面電車路線として開業した。そのため、できるだけ直線で建設された東海道本線や阪急自身が開拓した高級住宅街を走る阪急神戸線とは違い、古くからある海側に近い下町の方を走る。また、その名残として駅と駅の間隔が短く、普通列車には加減速性能が高い車両が使用される。

沿線には甲子園球場は言うまでもなく、尼崎城西宮神社など、歴史あるスポットがたくさん見られる[1]。現在においては線形は昔とあまり変わらないものの、ほとんどの区間で高架化が完了しており、踏切も少なく、輸送の安定さはほかの2路線に劣らない。

また、特急系統の列車は元町駅から先の神戸高速線を経て、山陽電鉄山電本線に直通し、特急は須磨浦公園駅まで、直通特急高砂経由で山陽本線の西端・山陽姫路駅まで運転される。そのほか、尼崎駅にて合流する阪神なんば線からも本路線に直通する快速急行が運行され、近鉄奈良線近鉄奈良駅から大阪難波駅・尼崎駅を経て、神戸のターミナル・神戸三宮駅まで運転される。このように、他会社との相互直通運転が活発に行われ、私鉄にしては多種多様な運行系統が存在するのも本路線の魅力の一つである。
一方、阪急今津南線以外、中間駅で接続する他社路線は無い。

運行系統[編集]

直通特急・特急[編集]

大阪梅田駅から、神戸三宮駅や神戸高速線を経由して山電本線に直通し、特急は須磨浦公園駅、直通特急は山陽姫路駅までを結ぶ列車。まさしく本路線における最上位種別である。本路線では、尼崎駅、甲子園駅西宮駅芦屋駅魚崎駅御影駅、神戸三宮駅、元町駅の主要駅のみ停車する(直通特急の一部列車は甲子園駅を通過)。1時間6本間隔で運転されており、大阪と神戸の都市間輸送を担う。車両は特急は阪神車の6両編成のみ、直通特急は阪神と山陽の6両編成の車両がほぼ1:2の割合で用いられる。

快速急行[編集]

近鉄奈良線の奈良駅から、阪神なんば線を経由して神戸三宮駅を結ぶ列車で、2020年3月以降は8両編成での運行が中心となっている。
本路線では、甲子園以東で特急の停車駅に加えて武庫川駅今津駅に停車する(平日の朝ラッシュ時は通過)一方、甲子園以西では特急の停車駅であるはずの芦屋駅御影駅を通過してしまう[2]
このように、下位種別が上位種別の停車駅を通過することは阪神電鉄においてはよくあることであり、なんば線開通以前にも西宮以西で速達運行をしていた。
快速急行は、利用者が比較的多いが特急は通過する駅には停車し、逆に特急が停車する駅の中でターミナルに近い(各停で行っても時間はかからない)駅は通過するという千鳥停車と呼ばれる運行をしており、特急とはまた違った需要に応えている種別であるともいえる。だから、特急の下位種別というよりかは、特急との棲み分けを図るための特急のような種別であるという見方の方が正しい。運行頻度は平日日中は1時間に3本、それ以外は1時間に2本と特急ほどではないが、特急のような別の種別である側面を持っていることを考えると適した運行頻度である。車両の割合は阪神車よりも近鉄車の方がやや多い。

急行[編集]

大阪梅田駅から尼崎駅あるいは西宮駅(土休日の夜間は甲子園駅)までを結ぶという、本路線のターミナル駅からその途中駅までの輸送を担う、駅が多い本路線ならではの種別である。日中は1時間に6本、尼崎行きと西宮行きが交互に運行される。また、前者に関しては尼崎駅で先述の快速急行と接続し、武庫川や今津に停まりつつ、そのまま神戸三宮まで行くことも可能。そのため、急行だけでなく特急の補完的な役割を持っているとみてもよい。大阪梅田駅を0時に発車する最終の急行のみ御影駅まで足を延ばす[3]

普通[編集]

ただの各駅停車。だが、本路線は駅間が短く、一般的な性能の車両だとすぐに特急などに追いつかれてしまうだけでなく、高速域に到達する前に減速を強いられるため所要時間が無駄に長くなる。このため、加減速の性能が高い車両(通称:ジェットカー)が使用される。
日中は本路線の各駅を1時間に6本発着し、大阪梅田駅から神戸高速線の高速神戸駅を往復する形で運行される。緩急接続は尼崎駅で快速急行か急行に行われ、上位種別の待避は基本的に千船駅尼崎センタープール前駅御影駅で行われる。
なお、本来の終点である元町駅を始発とする列車は早朝のみ、終着とする列車も早朝、深夜のみの設定である。

ラッシュ時限定種別[編集]

区間特急[編集]

上り方面のみ、朝ラッシュ時に7本運行される。阪神電鉄の中で最も停車駅の変化が激しい、カオスともいえる種別。御影駅を発車したあと、住吉駅の一駅のみを通過した後[4]、魚崎から香露園までしばらく各駅にとまる。ここだけ見てもカオスだが、本種別最大のポイントはここからで、直通特急も快速急行も全列車が停車する、本路線における主要な途中駅である西宮駅を通過する。そこから何事もなかったかのように今津駅を停車し、以後の停車駅は、野田駅に停車すること以外は特急と変わらない。要は、先述の快速急行でも採用されている千鳥停車をさらに発展させたような種別である。さらに一部の列車では、青木駅で快速急行(とさらに後続の直通特急)の通過待ちを行うという、快速急行が特急のほぼ同位種別である阪神においては何らおかしくないが、他社から見れば特急が急行の待避を行う、意味不明な光景がみられる。

区間急行[編集]

平日の朝ラッシュに、急行に代わって運行される種別である。上り2本のみ青木始発で、それ以外は急行と同じく梅田~甲子園にて運行される。急行の停車駅に加えて乗り換え・通学需要の高い福島駅千船駅鳴尾・武庫川女子大前駅に停車し、青木発の上り2本は芦屋駅、西宮駅、今津駅に停車するという、まさに急行の朝ラッシュ版。

山電直通列車[編集]

神戸三宮駅発着の山陽電鉄と直通する普通電車やS特急は朝夜のみ設定される。

駅一覧[編集]

凡例
●:停車、▲:一部通過、△:臨時停車の場合あり。
|・↓・↑:通過、↓・↑片方向のみ運転
普通:全駅に停車(表中省略)。S特急は当線内では神戸三宮駅 - 元町駅のみの運行のため掲載しない。
#印のある駅は列車待避可能駅
駅番号 駅名 駅間
キロ
営業
キロ
区間急行 急行 快速急行 区間特急 特急 直通特急 接続路線・備考 所在地
他時間帯
[* 1]
平日朝
HS 01 大阪梅田駅 - 0.0 阪神なんば線経由近鉄線直通 阪急京都線宝塚線神戸線大阪梅田駅 HK-01
Osaka Metro御堂筋線梅田駅 M16谷町線東梅田駅 T20四つ橋線西梅田駅 Y11
JR西日本大阪駅JR京都線JR神戸線東海道本線A47JR宝塚線 G47おおさか東線 F01大阪環状線 O11
JR西日本北新地駅JR東西線 H44
大阪府大阪市 北区
HS 02 福島駅 1.1 1.1 JR西日本大阪環状線福島駅 O12
JR西日本JR東西線新福島駅 H45
福島区
HS 03 野田駅# 1.2 2.3 Osaka Metro千日前線野田阪神駅 S11
JR西日本JR東西線海老江駅 H46
HS 04 淀川駅 1.0 3.3  
HS 05 姫島駅 1.1 4.4 急行はなにわ淀川花火大会開催日に上下線一部列車が臨時停車 西淀川区
HS 06 千船駅# 1.5 5.9  
HS 07 杭瀬駅 0.9 6.8   兵庫県
尼崎市
近鉄線
直通区間
快速急行近鉄奈良線近鉄奈良駅まで直通運転[* 2]
 ※阪神なんば線および近鉄線直通列車のうち、準急・区間準急・普通には本線直通列車はない[* 3](停車駅は阪神なんば線参照)。
HS 08 大物駅 1.2 8.0 阪神なんば線(一部直通運転:上記参照) 兵庫県 尼崎市
HS 09 尼崎駅# 0.9 8.9 阪神なんば線
HS 10 出屋敷駅 1.2 10.1  
HS 11 尼崎センタープール前駅# 0.7 10.8  
HS 12 武庫川駅 1.2 12.0 阪神武庫川線
快速急行は平日の日中以降と土休日停車
武庫川信号場 - - 武庫川線との連絡線が上り線から分岐、上下線間に渡り線はない 西宮市
HS 13 鳴尾・武庫川女子大前駅 1.2 13.2  
HS 14 甲子園駅# 0.9 14.1 直通特急は平日朝ラッシュ時の上りの一部を除いて停車
HS 15 久寿川駅 0.7 14.8  
HS 16 今津駅 0.6 15.4 阪急今津線今津駅 HK-21
快速急行は平日の日中以降と土休日停車
HS 17 西宮駅# 1.3 16.7  
HS 18 香櫨園駅 1.1 17.8  
堀切信号場 - - 保線基地の出入線が下り線から分岐、上下線の渡り線もある
HS 19 打出駅 1.2 19.0   芦屋市
HS 20 芦屋駅 1.2 20.2 快速急行は平日朝ラッシュ時停車
HS 21 深江駅 1.3 21.5   神戸市 東灘区
HS 22 青木駅# 1.1 22.6  
HS 23 魚崎駅 1.2 23.8   六甲ライナー魚崎駅 R02
HS 24 住吉駅 0.8 24.6    
HS 25 御影駅# 0.5 25.1    
HS 26 石屋川駅 0.6 25.7        
HS 27 新在家駅 0.9 26.6         灘区
HS 28 大石駅# 1.0 27.6        
HS 29 西灘駅 0.6 28.2        
HS 30 岩屋駅 0.6 28.8        
HS 31 春日野道駅 1.1 29.9         中央区
HS 32 神戸三宮駅 1.3 31.2       阪急神戸線・神戸高速線神戸三宮駅 HK-16
ポートライナー三宮駅 P01
神戸市営地下鉄西神・山手線 三宮駅 S03
神戸市営地下鉄海岸線三宮・花時計前駅 K01
JR西日本JR神戸線(東海道本線)三ノ宮駅 A61
HS 33 元町駅 0.9 32.1           神戸高速線(直通運転)
JR西日本JR神戸線元町駅 A62
神戸市営地下鉄海岸線旧居留地・大丸前駅 K02
直通運転区間 ○普通…神戸高速線新開地駅まで
○特急…山陽電鉄本線須磨浦公園駅まで
○直通特急…山陽電鉄本線山陽姫路駅まで
  1. 平日日中以降と土休日全時間帯
  2. 大阪難波行きは大阪難波駅で急行、準急、普通のいずれかに変更し、近鉄奈良線まで直通運転。
  3. ただし、平日朝の普通尼崎行きの一部に、尼崎駅から快速急行神戸三宮行きに変更し本線に直通する列車がある。

脚注[編集]

  1. 阪神なんば線開業10周年記念ラッピングを見てみると分かりやすい。
  2. 一応これには理由があり、芦屋駅と御影駅のホーム有効長が6両分しかなく、大半の時間帯で8両で運行される快速急行の長さに対応できないから。後者はそれに加えて、駅のホーム自体が線路のカーブ部分にあり、車体が長い近鉄車が停車すると、車体の隙間が大きく開いてしまって乗客が転落してしまう危険性があるからである。(ただし、平日の一部の時間帯は6両で運転されるため、その際は芦屋駅に停車する。)
  3. 西宮~御影の停車駅は特急と同じ
  4. 住吉駅は1日利用者数が3000人未満と少ないのもある。
現有路線
第一種鉄道事業 本線 - 阪神なんば線尼崎 - 西九条) - 武庫川線
第二種鉄道事業 阪神なんば線(西九条 - 大阪難波) - 神戸高速線高速神戸 - 新開地間は阪急神戸高速線と線路を共用)
廃止路線 北大阪線 - 国道線・甲子園線 - 尼崎海岸(東浜)線 
未成路線 今津出屋敷(尼崎海岸)線 - 尼崎宝塚線(宝塚尼崎電気鉄道) - 第二阪神線