注意欠陥・多動性障害

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注意欠陥・多動性障害(ちゅういけっかん・たどうせいしょうがい、:Attention deficit hyperactivity disorder 、ADHD)とは、日本アメリカでは扱いが異なる事で話題になる発達障害の一つである。ICD-10では、F90である。精神障害の一種であり、ICD-10でもDSM-5でも精神障害に含まれる。

概要[編集]

発達障害としてアスペルガー症候群ともよく一緒くたにされるような事もあるらしいが、その反応特性には差が見られ、配慮が必要になる模様である。
先天性であるとされ、脳の機能のバランスが定型発達とは異なるとされる。実際、遺伝率は約76%と高いが、環境的要因には後天的な環境も含まれている。詳しくは#原因を参照。
また。定型発達人間とは違う物の見方が出来る等のその特性ならではの長所もある。
トーマス・エジソンは典型的なADHDで、[1]学校を出入り禁止になるが、電球や蓄音機などの大発明をすることになるのである。
DSM-5では、12歳以前に発症すると定義されており、これが成人ADHDの重要な診断基準であるが、小児期ADHDと成人ADHDは異なる経過を持つ症候群だと示唆した研究もある。[2]
診断は問診を中心に行われ、成人期のADHD自己記入式症状チェックリストなどといった評価尺度が補助的に使用される。
成人まで症状が持続する確率は約30%[3]とも約90%[4]ともいわれる。つまり、完全寛解することがあると推測できる。
有病率は小児で5%、成人で2.5%である。
不注意優勢型、多動性・衝動性優勢型、混合型がある。

症状[編集]

不注意(注意集中力の低下)・多動性・衝動性が主な症状であるが、過集中意欲低下、傾眠などが起きることもある。以下がADHDにおいて起きる問題の例である。
とにかく何をやるにしても、退屈感が芽生えてしまう。
授業や会議などの場でキョロキョロしたり、じっと椅子に座れなかったりする。また、いきなり立つこともある。
作業を放棄し違う作業を始める。
大切な書類を貰って、すぐに、ぐちゃぐちゃにしてしまう。
部屋で一人で突然歌ったり、踊り始めたりする。
紙を長くちぎって、手で格闘ゲームごっこする。
自分の好きな作業だけは、没頭し、長時間その作業をする。
ケアレスミスが多い。
ウィキサイトなどの執筆に関しても、新規記事を書いてる途中に飽きてしまうことがあり、すぐに一行記事として新規投稿をしてしまう。そして、忘れた頃にまた、加筆しては、また放棄する。
その他の症状としては、傾眠が挙げられ、ある人などは会議中に上司の面前で寝てしまったという話がある。ナルコレプシーとは別だが、小児のADHD患者のうち約3割に脳波異常があり、特にてんかんやナルコレプシーに似た脳波が記録される[5]
とにかく意欲が続かず放置しっぱなしという事が多く、例えば、キュウリが野菜室で溶けていたり、洗濯物が洗濯槽でカビていたりする。

原因[編集]

遺伝率(遺伝的要因)は約76%と高い。[6][7]

環境的要因[編集]

残りの約24%は、環境的要因である。環境的要因には、後天的な環境も含まれている。
胎児期の薬物、アルコールおよびタバコの暴露、周産期の問題、外傷性脳損傷は重要な環境要因である。[8][9][10]
外傷性脳損傷を受けた小児の30%以上がADHDを発症する。[11]
食事については、安息香酸ナトリウムとタール色素が危険因子であるとする研究がある。[12][13]そして、砂糖の多いソフトドリンクと多動の相関関係が観察された研究もある。[14]詳しくは、#食品の影響の有無も参照。フードファディズムの影響があることに留意。
一方で、食事療法にはほとんど効果がないといわれることもある。[15]
最近の睡眠科学では、睡眠不足がADHDの増加に大きく関わっているといわれることがある。[16]
極端な早産、非常に低い出生体重、ネグレクト、虐待、社会的剥奪も危険因子である。[17][18][19]
妊娠中、出生時、乳幼児期に特定のウイルス(風疹、ヒトヘルペスウイルス3による脳炎、はしか、Enterovirus 71など)に感染することも危険因子である。[20]
それら以外には、貧困、教育様式、社会福祉、携帯電話の過剰な使用などが関係している可能性がある[10]

治療・対処[編集]

とりあえず、脳の機能のバランスが定型発達とは異なるのであれば、他人と比べて評価する手法だと正しく評価できないので、各個人ごとに過去からの成長の度合いを計る評価方法も使った方が良いのかもしれない。
一時的に注意・集中力などを向上させるために、覚醒水準を引き上げる薬として、コンサータ(メチルフェニデート)やストラテラ(アトモキセチン)、インチュニブ(グアンファシン)などが使われる。薬物療法では、91%が精神刺激薬を含む一方で、精神病やうつ病などの家族歴があるか自身が精神病やうつ病などである場合、精神刺激薬であるコンサータ・リタリン(メチルフェニデート)や精神刺激薬であるビバンセ(リスデキサンフェタミン)は、精神刺激薬精神病を引き起こすリスクがある。
心理療法としては、認知行動療法ソーシャルスキルトレーニングワーキングメモリ訓練などがある。
精神刺激薬における薬物療法では、16年目では、症状の重症度の低下に結びついておらず、1-2センチの身長の成長の抑制と関連していることが分かった研究もあり、[21]薬漬けであるとする強い批判があり、薬物を使用しない治療も模索されている[22]
その一方で、jawp:ADHDに関する論争#効果jawp:ADHDに関する論争#日本での議論、推移に記されているように、薬物療法の支持者も少なからずいる。

論争[編集]