単位法とは、電力系統における電圧や電流、電力、インピーダンスなどの物理量を基準量に対する割合で表したもの。
per-unit法やpu法とも。
puという無次元量の単位を用いて表記する。
%インピーダンス法[編集]
%インピーダンス法は、%Zを使う方法であり、単位法と本質的に同じである。
パーセントインピーダンス法やパーセンテージ法とも表記する。
%インピーダンス法の%Z(パーセントインピーダンス)は、pu値にされたインピーダンスとほとんど同じ概念で、
%で表すので100倍ずれるだけである。
すなわち、1pu=100%ということ。
変換式[編集]
変換を議論するにあたり、値の記し方について先に述べる。
- 電圧を 、電流を 、電流を 、皮相電力を 、皮相電力を 、有効電力を 、有効電力を 、無効電力を 、無効電力を 、インピーダンスを 、インピーダンスを 、抵抗を 、抵抗を 、リアクタンスを 、リアクタンスを 、アドミタンスを 、アドミタンスを とする。 とする。
- 元の単位をもつ量に下付き添え字をつけず、基準量には下付き添え字の 、pu値には下付き添え字の 、pu値には下付き添え字の をつけて表記する。 をつけて表記する。
- 複素数 の複素共役を の複素共役を と表す。 と表す。
このとき
 
 
 ( ( は は のそれぞれ実部、虚部だから、基準量は のそれぞれ実部、虚部だから、基準量は と同じである) と同じである)
 ( ( は は のそれぞれ実部、虚部だから、基準量は のそれぞれ実部、虚部だから、基準量は と同じである) と同じである)
 
となる。
ただし、pu値でも様々な電気回路の式が成り立つためには、以下のような3つの基準量に関する制約が必要である。
 :電圧と電流(の複素共役)の積が皮相電力になる。 :電圧と電流(の複素共役)の積が皮相電力になる。
 :オームの法則が成り立つ。 :オームの法則が成り立つ。
 :インピーダンスとアドミタンスは互いに逆数である。 :インピーダンスとアドミタンスは互いに逆数である。
電力系統の解析[編集]
一般に、電圧、電流、電力、インピーダンスのうち2つの要素を決定すると、他の要素はその積や比から決定する。
電力系統の解析では、次のような2つの基準(定格ともいう)を設定することが多い。
- 基準電圧 については電圧階級(公称電圧)ごとに変える。 については電圧階級(公称電圧)ごとに変える。
- 基準容量 (基準となる皮相電力)を系統全体で固定する系統容量基準にする。 (基準となる皮相電力)を系統全体で固定する系統容量基準にする。
これが決定すると、上記の3つの制約から
- 基準電流は基準容量を基準電圧で割って求める。
- 基準インピーダンスは基準電圧を基準電流で割って求める。
- 基準アドミタンスは基準インピーダンスの逆数である。
によって各種の基準量が決定する。
すなわち
 
 
 
したがって、変換式は次のようになる。
 
 
 
 
 
このとき、基準容量が一定なので は直列接続の部分で変化しない。
は直列接続の部分で変化しない。
電気機器のインピーダンスは、自己容量基準といって機器ごとに設定された基準容量の%Zなどで表記されることが多いので、基準容量の変換が必要である。
基準電圧が機器の基準電圧と同じ場合には、 は
は に比例するので、基準容量を
に比例するので、基準容量を 倍すると
倍すると も
も 倍になる。元の基準容量での値の添え字に1を、変換先の値の添え字に2をつけて表すと次のようになる。
倍になる。元の基準容量での値の添え字に1を、変換先の値の添え字に2をつけて表すと次のようになる。
 
同様に、基準電圧も変化する場合は
 
利点と欠点[編集]
一旦pu値にすれば、定数倍をするような処理を省くことができる利点がある。
具体的には
一方で、物理量の次元がわからなくなり、次元解析ができない欠点がある。
また、pu値から次元のある単位に戻すためには基準量を用いた計算が必要である。
関連項目[編集]