レンフェ
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種類 | 国有企業 |
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機関設計 | 公的事業体 |
本社所在地 |
![]() マドリード110、Pío XII Avenue |
設立 | 2005年1月1日 |
業種 | 運輸業 |
事業内容 | 鉄道事業 |
代表者 | アルヴァロ・フェルナンデス・エレディア |
資本金 | 32億5200万ユーロ |
純利益 | 1億ユーロ |
総資産 | 95億6200万ユーロ |
従業員数 | 14490人 |
所有者 | 運輸省 (スペイン) |
主要子会社 | レンフェ旅客輸送、レンフェ貨物輸送、レンフェ製造・保守、レンフェ鉄道資材レンタル |
外部リンク | https://www.renfe.com/es/es |
レンフェまたはレンフェグループ(グルーポ・レンフェ)、正式名称:Renfe-Operadora (EPE)とはスペイン王国で旅客、貨物輸送を行う運輸省傘下の公営の鉄道事業者である。
同社は、1941年に設立され、2005年1月1日にRenfe-Operadoraとアディフの2社に分割されたスペイン国鉄 (RENFE)の後継企業である。レンフェは車両と鉄道サービスの運営を開始し、アディフは鉄道インフラの管理を開始した。2013年1月1日には、全く同じことがスペイン狭軌鉄道 (FEVE)にも起こり、Renfe-Operadoraは狭軌線ネットワークの輸送サービスを開始し、インフラはAdifが管理することになった。
歴史[編集]
スペインの鉄道網は1941年1月24日の鉄道・道路輸送管理基盤法によって設立され、既存の民間企業を国有・統合化した。これは、当時の政権による公営企業設立政策の一環だった。
第二次世界大戦後、ヨーロッパの鉄道網のほとんどが国有化と統合の過程を経て国営鉄道会社が誕生し、国際列車の運行が非常に困難になった。欧州連合が推進した統合政策 (EU域内における貨物輸送の自由化を含む)は、ヨーロッパの鉄道運営システムの見直し、ひいては国際鉄道事業者の台頭を促した。
1991年には指令91/440/EECが採択され、欧州各国の鉄道網において、航空輸送や道路輸送における既存の会計区分と同様に、輸送サービスとインフラの分離が確立された。この分離により、多国籍事業者は、インフラの使用料を支払うことで、各国の鉄道網においても各国の鉄道事業者と同じ条件で事業を運営することが可能となる。
この指令とその後にあった指令は、2003年11月17日に承認された鉄道部門に関する法律第39/2003号によってスペインの法律に導入された。この法律は、スペインにおいては会計分離は2つの異なる会社への完全な分割によって行われることを規定した。分割は2005年1月1日に実施され、スペイン国鉄は会社として解体され、インフラ整備を行うアディフ社と、列車の運行・保守を行うレンフェ社が設立された。
レンフェは、前身であるスペイン国鉄の事業、すなわち車両、車両工場、そして列車の運行・保守に従事する従業員をすべて移管・雇用した。インフラ関連のすべてに加え、駅での切符販売はアディフに移管された。
またこのような同様のプロセスは、2012年に狭軌鉄道を管理していた国営企業のスペイン狭軌鉄道の解散によっても行われた。12月31日に移管が完了し、レンフェが狭軌鉄道の全運営を引き継ぎ、アディフがインフラを引き継いた。
2013年、公共事業省は同社の事業を4つの株式会社に分割することを決定した。それ以降、事業はこれらの株式会社を通じて間接的に運営されていて、レンフェが全ての所有者兼管理者となっている。これらの株式会社はまとめて「レンフェグループ」と呼ばれている。旅客輸送を行うのはレンフェ旅客輸送(Renfe Viajeros)、貨物輸送はレンフェ貨物輸送(Renfe Mercancías)、車両の製造・保守はレンフェ製造・保守(Renfe Fabricación y Mantenimiento)、レンフェ保有の資材のレンタル・輸送はレンフェ鉄道資材レンタル(Renfe Alquiler de Material Ferroviario)を通して行われている。
2024年には5番目の子会社であるレンフェ・インターナショナル・プロジェクト(Renfe Proyectos Internacionales)が設立され、同社の拡大を管理し、世界中でプロジェクトの推進をすることに事業を置く。
組織[編集]
レンフェは以下の子会社で構成される。
- レンフェ旅客輸送 - 旅客輸送を行う。
- レンフェ貨物輸送 - 貨物輸送を行う。
- レンフェ製造・保守 - 鉄道車両の製造とメンテナンス。
- レンフェ鉄道資材レンタル - 鉄道資材の貸し出しと輸送。
- レンフェ・インターナショナル・プロジェクト - 国際プロジェクトの推進。
鉄道輸送[編集]
レンフェは、設立以来、伝統的に長距離輸送、地域輸送、通勤輸送を完全に分離してきた。現在では、路線長の異なる列車同士の接続も存在するため、この区分は曖昧になってきている。
長距離列車[編集]
長距離列車はカフェ、ファーストクラス、食事サービス、映画などの充実した車内設備を含むサービスが含まれている。各サービス名は普通、設備と列車の種類を示しているが、同じ名前のサービスでも中身が一部異なる場合もある。
長距離列車にはAVE、Avlo、Alvia、ユーロメド、インターシティの各ブランドで運行されている。
中距離列車[編集]
中距離を走る列車は基本的にレンフェ・メディア・ディスタンシアによって運行される。現在はMD、アヴァント、地域列車、地域急行列車、プロシミダドの各ブランドで運行される。
通勤列車[編集]
レンフェは都市圏においてドイツのSバーンのような運行形態をとるセルカニアスを運行している。一部自治体では他の公共事業者とともに共同で運行される。
観光列車[編集]
トランスカンタブリコ・グラン・ルホ、コスタ・ヴェルデ急行、トレン・アル-アンダルス、ロブラ急行などの豪華列車を含む多くの観光列車を運行している。
車両[編集]
車両は列車によって正確な分類がされており、設計された分類の列車以外で運行されることは稀である。
高速線用[編集]
軌間1435mm(標準軌)の列車は高速線でのみ走行可能である。これは、 1992年にアンダルシアへの新路線の開通に合わせて導入されたレンフェ100系電車、およびレンフェ102系電車、レンフェ103系電車、レンフェ112系電車がある。またレンフェ106系電車は軌間可変機能を備えており、世界で初の軌間可変機能を備えた高速用車両となった。
長距離用[編集]
高速列車以外の長距離列車の車両構成は、スペインの2種類の軌間の違いに大きく影響されている。主に気動車とタルゴ列車で構成されるが、普通の客車で構成される従来型の列車は現在では廃止されている。
軌間可変装置を初めて採用した列車はタルゴ列車であった。既存の機関車には軌間可変装置がなかったため、列車が単独で軌間可変装置を通過する入換を行う必要がたった。この入換による時間の浪費を解消するため、レンフェは軌間可変装置を連続的に通過できる車両のレンフェ120系電車とレンフェ130系電車を導入しました。130系の一部の車両はディーゼルエンジンを搭載し、非電化路線でも走行できるよう改造され、レンフェ730系電車に形式編入した。
タルゴ列車を牽引する機関車は、レンフェ252形電気機関車とな阪関無レンフェ334形ディーゼル機関車がある。
中距離列車用[編集]
中距離用に使用される車両はすべて気動車である。レンフェ104系気動車とレンフェ114系気動車は標準軌用であるため高速路線のみで運行されるが、レンフェ121系気動車は標準軌線でもイベリア軌間線の両路線で運行される。
地域列車などの在来線で使用されてるものは電車もあり、電車はレンフェ447系電車、レンフェ448系電車、レンフェ449系電車、レンフェ470系電車、気動車はレンフェ592系気動車、レンフェ594系気動車、レンフェ598系気動車、レンフェ599系気動車である。レンフェの公式発表によると、将来的にはレンフェ490系電車の運行も再開するとか。
通勤列車用[編集]
使用される車両は、レンフェ470系電車(セルカニアス・カンタブリアとセルカニアス・サラゴサのみで運用)、レンフェ446系電車(ギプスコア、ビスカヤ、マドリード、セビリア)、レンフェ447系電車(カタルーニャ、ギプスコア、カンタブリア、バレンシア)、レンフェ450系電車(マドリードとカタルーニャのみ)、レンフェ451系電車(カタルーニャのみ)およびレンフェ463/464/465系電車(アストゥリアス、カタルーニャ、サラゴサ、マドリード、バレンシア、セビリア、マラガ、カディス)に加えて、レンフェ592系気動車(バレンシアおよびムリシア/アリカンテ) およびレンフェ598系気動車(セビリアのみ)がある
貨物列車用[編集]
レンフェは、複合輸送、自動車、バルク、鋼鉄、複合製品など、あらゆる種類の輸送に対応する多数の貨車を保有している。これらすべての列車を牽引するために、非電化路線用のレンフェ333/333.3形ディーゼル機関車、 レンフェ251形電気機関車、レンフェ253形電気機関車、そして最近ではレンフェ256形ディーゼル機関車シリーズの機関車が使用されています。 レンフェはまた、マドリード-サラゴサ-バルセロナ-フランス国境までwの路線で使用するバルセロナ-ペルピニャン間の国際路線向けに貨物牽引用に改造されたレンフェ252形電気機関車を9両を保有している。 また、バルセロナとバレンシア間の地中海回廊向けに、シュタドラー社に発注した標準軌の256形を12両も保有している。
狭軌線用[編集]
狭軌線では、レンフェはレンフェ315形ディーゼル機関車、レンフェ316形ディーゼル機関車、レンフェ619形ディーゼル機関車の機関車、 レンフェ524系気動車、レンフェ526系気動車、レンフェ527系気動車、レンフェ529系気動車の気動車、 レンフェ433系電車、レンフェ435系電車、レンフェ436系電車、レンフェ438系電車の電車を保有しているほか、セルカニアスAM向けのCAFシリーズ(412系、413系、714系)や、引退したレンフェ442系気動車に代わるマドリードのC9号線のレンフェ・アルピノスも保有している。
すべての狭軌用車両はスペイン狭軌鉄道からの車両で、レンフェの塗装ではなく、スペイン狭軌鉄道の塗装を若干の改変を加えて使用されていたが、2024年からは紫と赤のレンフェ色に切り替えられている。
運賃[編集]
補助サービス(MD及び、セルカニアス)では固定運賃が適用され、運賃形態自体はその州によって異なる。
自由化されたサービスでは、いわゆる 「レベニュー・マネジメント 」システムにより、様々な要因(需要など)に応じて変動的な運賃が適用される。
統計情報[編集]
2018年、レンフェは従業員数24650名、売上高25億1300万ユーロを計上した。このうち、長距離列車の乗車券販売による売上高は10億8623万7000ユーロ、中距離列車および通勤列車の売上高は6億1880万9000ユーロだった。平均座席利用率は長距離列車が41.1%、中距離列車が59.6% 、通勤列車が31.5%だった。
貨物輸送については、利用率は39.1%であり、総輸送量は1610万トン、そして7417.3t/kmだった。
鉄道輸送の自由化[編集]
鉄道事業法では、一般鉄道網 (RFIG)を競争原理に基づいてどの事業者にも開放することを義務付けている。貨物の輸送自由化は2005年に実施され、2006年には事実上、貨物列車を運行するための最初の安全証明書が民間企業であるコンチネンタル・レール社に交付された。それ以来、スペインでは複数の民間貨物事業者が貨物輸送を行っている。
旅客列車では、2010年に国際列車で自由化が行われた。観光列車では2013年7月31日に実施された。どの路線でもどの事業者の参入を認める完全自由化は2020年に実施された。
自由化のプロセスには、一部のサービスやネットワークの自治州への移管も含まれる。この意味で、レリダ=プエブラ・デ・セグール線とロダリエス・カタルーニャはカタルーニャ自治州に移管され、レンフェはこれを承認した。
資金[編集]
1954年以降、RENFEが廃止されRenfe Operadoraが設立されて以来、国は赤字路線の運行から生じる赤字を補填してきた。[[2010年]以降、欧州の規制により、鉄道輸送システム全体への補助金支給はできなくなり、公共サービスを提供する路線のみに補助金が支給されるようになった。それ以来、長距離路線は乗車券収入のみで維持され、中距離路線と通勤路線は損失を補填するための補助金が支給されている。
道路交通雇用者協会は、この補助金によって不公平な競争が生じる可能性があるとして非難してきた。
2012年7月20日の勅令第22/2012号の承認を受けて、公共事業省は52の地域路線を廃止し、その一部はバス路線に置き換えると発表した。さらに、エリプソス、ルシタニア急行、南急行、タルゴ・マーレ・ノストルムの路線も廃止された。