バイコヌール宇宙基地

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バイコヌール宇宙基地(バイコヌールうちゅうきち、カザフ語: Байқоңыр ғарыш айлағы, ロシア語: Космодром Байконур, ラテン文字転写: Baikonur Cosmodrome)は、カザフスタンクズロルダ州にある世界最古かつ最大級の宇宙基地である。ソビエト連邦時代に建設され、1957年に世界初の人工衛星スプートニク1号」と、1961年に世界初の有人宇宙飛行ボストーク1号」を成功させた歴史的な場所として知られる。

現在はロスコスモスがカザフスタン政府からリースして運用しており、ISSへの宇宙飛行士や物資の輸送、各種人工衛星の打ち上げなどに利用されている。

歴史[編集]

バイコヌール宇宙基地の建設は、第二次世界大戦後、冷戦の激化に伴いソビエト連邦ICBMの開発を進める中で計画された。

建設と初期の活動[編集]

有人宇宙飛行と宇宙開発競争[編集]

ソ連崩壊後[編集]

施設[編集]

バイコヌール宇宙基地は、広大な敷地内に複数の発射台、組み立て施設、追跡・管制施設、宇宙飛行士の居住施設などを有している。

  • ガガーリン・スタート(Site 1):スプートニク1号ボストーク1号が打ち上げられた歴史的な発射台。現在もソユーズロケットの打ち上げに使用されている。
  • Site 31ソユーズロケットの打ち上げに使用される。
  • Site 81Site 200プロトンロケットの打ち上げに使用される。
  • ミサイル組立試験棟 (MIK):ロケットや宇宙船の組み立て、試験が行われる。
  • 追跡ステーション:ロケットや宇宙船の飛行状況を追跡し、管制を行う。

運用と課題[編集]

バイコヌール宇宙基地の運用は、ロスコスモスが行っている。しかし、カザフスタン領内に位置するため、カザフスタン政府との連携が不可欠である。

運用上の課題[編集]

  • 環境問題:ロケット打ち上げに伴うデブリロケット燃料の残骸による環境汚染が問題視されている。
  • 安全性:老朽化した施設や設備による事故のリスクが懸念されている。
  • 政治的関係:ロシアとカザフスタンの政治的関係が、宇宙基地の運用に影響を与える可能性がある。

今後の展望[編集]

ロシアは、アムール州に新たな宇宙基地「ボストチヌイ宇宙基地」を建設しており、将来的にはバイコヌール宇宙基地での打ち上げを一部縮小する方針を示している。しかし、バイコヌール宇宙基地が持つ歴史的意義と、これまでに蓄積されたインフラやノウハウは依然として重要であり、今後も国際的な宇宙開発において重要な役割を果たすと予想される。

豆知識[編集]

  • バイコヌールという名称は、バイコヌール市から約200km離れた場所にある鉱山の町「バイコヌール」に由来している。これは、アメリカ合衆国の情報機関を欺くための意図的な偽装であった。
  • ガガーリンが宇宙へ飛び立った発射台は、彼の功績を称え「ガガーリン・スタート」と呼ばれるようになった。
  • 宇宙基地は、ロシアがカザフスタン政府からリースしているため、打ち上げの際にはカザフスタンの上空を通過する許可が必要となる。

関連項目[編集]

参考書籍[編集]

  • 毛利衛 監修『宇宙の事典』講談社、2007年。
  • 松浦晋也『宇宙開発の最前線』PHP新書、2010年。
  • ジョン・F・ケネディ宇宙センター公式ガイドブック編集委員会 編『NASAジョン・F・ケネディ宇宙センターガイドブック』日経BP社、2012年。