1990年代
1990年代 (1990ねんだい) は、1990年から1999年までの10年間を指す。
概要[編集]
皇室[編集]
1990年11月22日に、前年1月7日の昭和天皇の崩御により新たに即位した明仁親王と美智子妃殿下の即位礼正殿の儀が行われた。現行の日本国憲法下での初めての儀式であり、初めて東京の皇居で行われた[1]。
また同年には秋篠宮文仁親王と川島紀子が、1993年には皇太子殿下と小和田雅子がご成婚。
政治[編集]
1993年の衆議院の解散総選挙で自由民主党が与党から陥落、時を同じくして新党ブームにより発足していた日本新党などをはじめとする連立政権となった。首相には日本新党の細川護熙が就任した。しかし後年には自民党が再び与党に復帰している。
経済[編集]
1991年から1993年にかけて、バブル経済が崩壊。失われた10年が始まっていくこととなる。
災害[編集]
1995年1月17日に阪神・淡路大震災が発生。野島断層を震源とする直下型地震だったことにより神戸市街地でも多くの建物が倒壊した。また発生した時間帯が早朝だったこともあり、倒れた家具の下敷きになり犠牲になった人も多い。これ以降、首都直下型地震の危険性が叫ばれるようになった。
テロ事件[編集]
阪神・淡路大震災から2か月後の3月20日、東京の営団地下鉄で、オウム真理教による地下鉄サリン事件が発生。これにより鉄道など公共の場での危険物の扱いが厳しくなった。また当事件の実行犯などは後に死刑となった。
情報技術[編集]
コンピューターの普及が加速する。1995年にはWindows95が発売し、パソコンのある家が増えていくこととなる。また90年代には携帯電話も普及し、ポケットベルや公衆電話は衰退していくこととなる。
芸能・テレビ[編集]
ドラマ[編集]
90年代前半はトレンディドラマが流行。フジテレビで主に放送された。
アイドル[編集]
1991年にSMAPが、1994年にTOKIOがそれぞれCDデビュー。2010年代にかけて芸能界第一線で活躍した。
スポーツ[編集]
プロ野球[編集]
1990年代前半までは西武ライオンズの黄金期だったが、1993年の日本シリーズでヤクルトスワローズに敗れるとそのまま西武の黄金期は終わりを告げていった。それと入れ替わるかのようにヤクルトが1997年にかけて黄金期に突入。しかしこの時のヤクルトは1年おきに日本一と4位を繰り返していた。1995年には、同年震災が発生した神戸市を本拠地とするオリックス・ブルーウェーブが大躍進を見せ優勝。翌年には日本一になった。そして1999年には福岡市に移転したばかりのダイエーホークスが移転後初の日本一となった。
一方読売ジャイアンツは90年代の日本一はわずか1回のみ。また阪神タイガースは暗黒期に突入していった[2]。
選手ではオリックスのイチローが、1994年に当時最多となる210安打を記録し、これを機に最多安打のタイトルが制定された。また同年には巨人の槙原寛己が完全試合を達成。平成30年間ではこれが唯一の完全試合となった。
サッカー[編集]
1992年まで日本サッカーリーグ (JSL) が開催されていたが、JSLでのプロ選手の増加によりチームのプロ化を目指すところが増え、ついにはリーグ自体をプロ化する方向に話が進んでいった。これにより、川淵三郎らが主導となり1993年に日本プロサッカーリーグ (Jリーグ) が発足した。川淵は初代チェアマンに就任。最初はヴェルディ川崎が連覇したが、途中から横浜マリノスや鹿島アントラーズ、ジュビロ磐田が台頭。一方浦和レッズやガンバ大阪は当時弱いチームとして認識され、浦和は1999年にJ2降格を経験している。
Jリーグ参加チームが増え、1999年にはJ2リーグが発足。かつて「Jリーグ」と称していた1部リーグはJ1リーグとなる。
フィクションのできごと[編集]
- 前半 - コラプサー・ジャンプを用いて宇宙開拓を行っていた国連探検移民団の移民船のうち1隻が、アルデバラン星系で異星の宇宙船の攻撃を受け撃沈される。事件の発生地である牡牛座(トーラス)からこの異星人は「トーラン」と命名され、トーランから移民船を防衛すべく国連探検軍(UNEF)が創設される。(小説『終りなき戦い』)[3]
- 中頃 - 地球公転軌道前方のトロヤ点に、光を完全に吸収する平均直径約1,400キロメートルの天体「トロヤ物体」が出現。IBM-ITTのスキップシップによる探査飛行によって、トロヤ物体内部には1万5千人の居住に適した人工的な環境を持つセルが1億以上存在することが判明する。(小説『アグネスとヘクトルたちの物語』)[4]
- 後半 - 宇宙船「シラノ」で火星に達し、シルチス陥没地で5万年前の火星文明の遺跡を発掘していた学術調査隊が、大学だったと見られる建物の内部で初めて火星人の死体を発見。その1週間後には建物内で元素表が発見され、これを二言語併記資料として用いることで火星語の本格的な解読が可能になる。(小説『オムニリンガル』)[5]
- 199×年5月下旬 - カノープス近辺に母星がある異星人「円盤人」の飛行物体群が、地球人との接触を目的として世界各地の主要都市に着陸。各地域派遣隊の代表が、地球人に対し「音楽話法」によって友好的な挨拶を行う。(小説『うるさい!』)[6]
- 199×年某月 - 東京湾海底地震を伴い、1万数千年前の遺跡がある東京湾新島が出現。それと同時に、後に「オーガ」と命名される巨大怪獣が東京湾海底に現れ、29日に三浦半島沖で海底調査船「しんかい6500」や海上自衛隊の護衛艦隊などを全滅させた後、東京ディズニーランド付近から上陸し、東京を蹂躙した後に地中に消える。(漫画『神の獣』)[7]
- 199X年 - 宇宙知的生命共同体の手によって、世界中の人間が突然記憶喪失症(アムネジア)を発症。これにより文明は崩壊する。(小説・アニメ『風の名はアムネジア』)[8]
- 199X年 - 遠宇宙で発生した重力崩壊に伴う大爆発により、ダイヤモンドより硬い物質でできたブロック群「クォース」が発生。あらゆる物体を砕きつつ地球に迫るクォースに対し、形が四角形になると分子分解を起こすという性質を利用しクォースを消滅させるため、「ブロックピース」の発射装置を搭載した戦闘機が開発される。(ゲーム『クォース』)[9]
- 199X年 - 東京シティに存在するメインコンピューター「ランドマスター」が、超エネルギー物質「フリーゾン」を狙い地球侵攻を目論む侵略星人「ワルダー軍団」について警告する星間メッセージを受信。これを受け、スーパーメカニック群の開発と地球防衛隊「ダイアクロン」の結成が決定される。(玩具『ダイアクロン』)[10]
- 199X年 - 天王寺上空に存在する現世と異世界「DEEP大阪」の接点で、かつて聖徳太子によって行われた封印が限界を迎える。封印を破って異世界のエネルギーが放出され、周辺の物体をDEEP大阪へと吸い込み始める。(ゲーム『通天閣』)[11]
- 地球と火星の間の軌道を周回する人工惑星「ケプラー4号」が、ふたご座の一角から放たれた複数の画像からなる人為的な電波信号を約3日間に渡って受信。それと同時に、月面コペルニクスのラインホルト天文台が、ふたご座の方角にある恒星の光に周期的なゆらぎが生じているのを観測する。(小説『銀河を呼ぶ声』)[12]
- バーナードなどの近傍恒星系の探査を主目的とした、無人探査船「ダイダロス・シリーズ」7機による外宇宙探査計画が開始される。(小説『航空宇宙軍史』)[13][14]
- ケンタウルス座方面から飛来した異星人「フィスプ(旅する群れ)」が、地球近傍に達すると同時に地球への攻撃を開始。北アメリカ大陸やアフリカ大陸などの一部は降下してきたフィスプに占領される。その後、アメリカ軍はフィスプへの反撃手段として原子力宇宙戦艦「大天使(ミカエル)」の建造を開始する。(小説『降伏の儀式』)[15][16]
- マルディヴ諸島沖・深度4000メートルの海底で、深海調査船が作業中にチタニウムとセシウムの合金でできた全長3メートルの金属塊を発見。これはインドの国立科学センターと日本の国立冶金研究所によって調査され、2005年に地球外の生物の手によるものと判断される。(小説『たそがれに還る』)[17]
- 太陽系第10番惑星の存在が宇宙望遠鏡によって確認され、「魔王星(ルシファー)」と名付けられる。(漫画『2001夜物語』)[18]
- 有人宇宙船で火星に達した第一次探検隊が、文字が刻まれたダイヤモンド製の「井戸」と、その近くで砂に埋もれていた火星人のミイラなどを発見。隊員に水をかけられたミイラが爆発を起こしたことから、井戸は水で死体を分解する葬儀場であると推測される。(小説『ノウンスペース』シリーズ)[19]
脚注[編集]
- ↑ 東京遷都後も昭和までは京都で行われていた。
- ↑ ただし1992年にはヤクルトと優勝を争っている。
- ↑ ジョー・ホールドマン 『終りなき戦い』 早川書房、1985年、21頁。ISBN 4-15-010634-7。
- ↑ オースン・スコット・カード 『無伴奏ソナタ〔新訳版〕』 早川書房、2014年、271-276,278-281,283-292,299-307,319,322,330。ISBN 978-4-15-011940-9。
- ↑ H・ビーム・パイパー「オムニリンガル」、『S-Fマガジン 1968年 12月号』第9巻第13号、早川書房、1968年12月、 45・46・55 - 59・71 - 78頁。
- ↑ 小松左京 『虚空の足音』 文藝春秋、1980年、79-88頁。ISBN 978-4-16-717607-5。
- ↑ 巴啓祐 『神の獣』 講談社、1992年、3-15,28-40,48-69,81-117,132,135,254,255。ISBN 978-4-06-319329-9。
- ↑ 菊地秀行 『風の名はアムネジア』 朝日ソノラマ、1983年、19,38-43,191,203-205。ISBN 978-4-257-76260-7。
- ↑ ファミリーコンピュータ版『クォース』説明書 コナミ、1990年、3・4頁。
- ↑ ストーリー - ダイアクロン オフィシャルサイト、2018年8月9日閲覧。
- ↑ 『通天閣』取扱説明書 ソニー・ミュージックエンタテインメント、1995年、2頁。
- ↑ 石原藤夫 『画像文明』 早川書房、1976年、239-247,251-253,258-261。ISBN 978-4-15-030076-0。
- ↑ 谷甲州 『航空宇宙軍史 仮装巡洋艦バシリスク』 早川書房、1985年、43-47頁。ISBN 978-4-15-030200-9。
- ↑ 谷甲州 『航空宇宙軍史 終わりなき索敵〔下〕』 早川書房、1996年、345頁。ISBN 978-4-15-030570-3。
- ↑ ラリー・ニーヴン、ジェリー・パーネル 『降伏の儀式 上』 東京創元社、1988年。ISBN 978-4-488-65404-7。
- ↑ ラリー・ニーヴン、ジェリー・パーネル 『降伏の儀式 下』 東京創元社、1988年。ISBN 978-4-488-65405-4。
- ↑ 光瀬龍 『たそがれに還る』 早川書房、1973年、206-208頁。ISBN 978-4-15-030003-6。
- ↑ 星野之宣 『2001夜物語【1】』 双葉社、1995年、161頁。ISBN 978-4-575-72030-3。
- ↑ ラリイ・ニーヴン 『ノウンスペース・シリーズ 太陽系辺境空域』 早川書房、1979年、63-76,86,148,363。ISBN 978-4-15-010348-4。