SL銀河

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

SL銀河
種別臨時快速列車
運行開始2014年4月12日
運行終了2023年6月4日
運営者JR東日本
路線釜石線
始発駅花巻駅
終着駅釜石駅
営業距離90.2km
停車駅数8駅
クラス普通車(全車指定席)
車内設備天体ルーム[注 1]
ラウンジ・売店[注 2]
車両C58形(239号機)
キハ141系[注 3]

SL銀河とは、2014年から2023年までJR東日本が運行していた臨時列車。

モチーフは宮沢賢治の小説『銀河鉄道の夜』であり、客車には星座が描かれている。

概要[編集]

  • 東日本大震災からの復興の一環として、2014年4月から運転開始したSL列車である。
  • 2日で1往復(土曜日に下り列車、日曜日に上り列車が運転)するといった特殊な運行である。また、花巻駅構内には転車台がなく、釜石線は東北本線から向かって北側(盛岡方面)へ分岐する関係上、盛岡~花巻間は原則進行方向とは逆向きで回送される[注 4]

停車駅[編集]

花巻駅 - 新花巻駅 - 土沢駅 - 宮守駅 - 遠野駅 - 上有住駅 - 陸中大橋駅 - 釜石駅
  • 遠野駅では給水などの作業を行う関係上、1時間以上停車。
  • 足ヶ瀬駅ではSLの整備のため7分程度運転停車を行う。

沿革[編集]

前史[編集]

  • 釜石線にSL列車が走ることになったのは、1989年のことである[注 5][注 6]。客車は青森運転所及び高崎車両センター所属の12系を使用し、機関車は当時JR東日本唯一の動態保存機であったD51形498号機を使用した。運行頻度こそ年に数日だったため、沿線(特に宮守川橋梁)では鉄道ファンや家族連れでにぎわった。
  • しかしながら、年を重ねるごとにマナー悪化が顕著になり、2002年以降は減便され、2004年には運行そのものが終了した。

2つの意味での復興[編集]

  • 時は流れ、2012年。東日本大震災からの復興と岩手ディスティネーションキャンペーンの一環としてSL列車が運行された。この結果、大きな経済効果が得られ、同年10月にはSL列車の運転を事実上復活させる方針を固めた。
  • やがて、2014年3月にはみちのくSLギャラクシーが運転され、その1ヶ月後にSL銀河としての運行を開始した。同年12月には夜間にてSL銀河ナイトクルーズが運転され、宮守川橋梁ではライトアップが行われ、『銀河鉄道の夜』の世界観を再現した。
  • 2017年7月には釜石駅にて一般公開も行われている。

令和時代と世代交代[編集]

使用車両[編集]

機関車[編集]

C58 239

詳細は「国鉄C58形蒸気機関車239号機」を参照

  • 1940年に川崎車輛にて落成し、稲沢、奈良、宮古、盛岡、八戸を転々としながら32年間活躍。県営公園にて40年間の静態保存を経て、2014年に動態復元された。
  • 復活したときから一貫してSL銀河専用機として活躍。しかし、年を重ねる度に(なるべく原型を留めているが)、機器類の交換や装備などのマイナーチェンジが施されている。マイナーチェンジに関しては以下の通り。
    • 復元当初は炭水車重油タンクが変更され、炭水車内部に埋め込まれることになった。また、運転室の窓枠はニス塗り[注 7]、LED製の標識灯、2灯装備のヘッドライト[注 8]、黒色塗装の煙室扉ハンドルなど、往年の蒸気機関車の姿に生まれ変わった。
    • 2014年夏には給水温め器に金色の飾り帯を設置し、シリンダー排気口も金色化された(とはいえわずか1ヶ月で元に戻ったが)。
    • 2015年には先述のそれに加え、金色の煙室扉ハンドルや金帯が入った空気圧縮器、ヘッドライトの入れ替えが施行された(翌年に復活当初の姿に戻ったが)。
    • 2017年6月には初めて紫色のナンバープレートが装着され、主灯を除いて再び2015年時の仕様に変更。2019年に入ると、静態保存時代の姿のオマージュとしてランボード及び炭水車上縁に白線を追加、動輪の主連棒及び連結棒を赤色に塗った仕様に(ナンバープレートも赤を使用した)。
    • 2020年に元に戻され、同年8月下旬から2021年6月にかけて復活後初めての全般検査を実施。2021年の運行開始は8月からとなり、この年から煙室ハンドルを通常の一本手から十字型のハンドルに変更して運行。月替わりでナンバープレートの付け替えを行った(青→赤→緑→紫→黒の順番)。
    • 2022年には2018年の仕様に変わり、7月からは前年同様月替わりでナンバープレートの付け替えが行われた(青→緑→赤→黒の順番)。10月には鉄道開業150周年の記念ヘッドマークを掲出。しかし、11月に漆黒の状態に戻された。

客車(というか気動車)[編集]

キハ141系(700番台)
  • SL銀河専用客車として2014年に郡山総合車両センターにて改造。種車はJR北海道にて活躍していた気動車であり(しかも50系から改造されたモノ)、名目上は客車でありながら自走することができることが大きな特徴[注 9]
  • 50系として落成してから40年程経っていたことから老朽化が進み、2023年6月に除籍され、秋田総合車両センターにて解体された。

脚注[編集]

  1. 1号車。
  2. いずれも4号車。
  3. 客車ではなく気動車
  4. 一見すると逆機の状態で推進運転を行っているように見えるが、実際は客車側で操縦を行っている。しかしながら、機関車側が故障する懸念がある関係上速度は推進運転とほぼ同じである(そのため、当時の営業列車の通過待ちを行う光景も見られた)。
  5. 名称は「ロマン銀河鉄道SL」。この路線が『銀河鉄道の夜』の舞台であったために名付けられた。その後1995年に「SL銀河ドリーム号」に改称
  6. 種別としては1989年~2001年は急行、2002年~2004年は快速
  7. C61形20号機と同じ仕様
  8. 主灯と副灯の2つ。尚、静態保存時は主灯が大型であり、復元時に小型のモノを採用している(現代の動態保存機としては当機が初)。ただし、炭水車のライトは保存時のモノを流用している。
  9. 気動車を採用した理由として、釜石線の急勾配を越える際、単機で登ることが厳しいものの、補器を使用しなかったことが挙げられる。そのため、機関車と気動車が協調運転するといった光景が見られた。

関連項目[編集]