量子閉じ込めシュタルク効果
量子閉じ込めシュタルク効果(英語:Quantum-confined Stark effect (略:QCSE))とは、ナノスケール半導体ヘテロ構造(量子井戸、量子ドットなど)で観測される効果であるり、電場を印加する吸収/発光スペクトルが遷移する。電場はない場合、電子と正孔は量子井戸内の離散的なエネルギー準位のみを占めることが可能である。したがって、離散的なエネルギーを持つ光のみが系によって吸収または放出される。電場が印加されると、電子準位はより低いエネルギーに遷移し、正孔準位はより高いエネルギーに遷移するため、系の吸収エネルギーと発光エネルギーが減少する。さらに、電場における価電子帯と伝導帯の傾斜は電荷の空間的分離につながり、これは重なり積分が減少することを意味し、したがってフェルミの黄金律に従って吸収/発光係数が減少する。
量子閉じ込めシュタルク効果は、外部電場と直接圧電効果の結果生じる内部電場の両方によって引き起こされる可能性がある。特にこのような効果はナノワイヤ上の半導体ヘテロ構造で予測され、実験的に観測された。
量子閉じ込めシュタルク効果は光変調器に利用されており、変調器の高速スイッチングに役立っている。
数学的記述[編集]
例えば量子井戸のエネルギー遷移は、電場が存在する場合と存在しない場合のエネルギーを比較することで計算できる。対称性により、電場が存在しない場合のエネルギーの計算は簡単である。電場が比較的弱い場合、摂動として表すことができ、摂動論を用いてその影響を推定できる。
電界のない系[編集]
量子井戸ポテンシャルは次のように表すことができる。
ここで、は井戸ポテンシャルの幅、はポテンシャル障壁の高さである。量子井戸における束縛状態は離散的なエネルギースペクトルにあり。対応する波動関数は次のように表すことができる。
この式において、は量子化方向に垂直な系の断面積、は半導体におけるエネルギーに対する周期的なブロッホ関数、そしては系の弱変動包絡関数である。
量子井戸が十分に深い場合、それは無限に高い障壁を持つ量子ポテンシャル、すなわち、としてみなすことができる。この単純化された場合、束縛波動関数の解析式は次のように表すことが可能である。
束縛状態のエネルギーは、
は特定の半導体における電子の有効質量である。
電場のある系[編集]
方向の磁場を仮定すると、
外乱に反応するハミルトニアンの要素は、
対称性により、エネルギー準位に対する一次補正はゼロである。
例えば、の場合の2次補正は次のようになる。
電子の場合と同様で、正孔についても同様の計算が可能であり、電子の有効質量を正孔の有効質量に置き換える。