波動関数

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波動関数とは量子力学において、物理系の状態を表す関数である。これは、実変数としての空間座標x,y,zおよび時間tを持ち、確率振幅の意味を持つ複素関数である。すなわち、その二条は、ある時間間隔におる位置上のその状態の確率密度を表す。

より、正確には、それはシュレーディンガー方程式によってその運動が記述される観測量の固有状態の基底への量子状態の射影である。座標表現では、状態は位置の固有状態の射影されるが、ベクトル的な視点からは波動関数を無限かつ連続的な成分を持つベクトルとみなすことができる。したがって、粒子が位置xにある確率密度は、x番目の成分の二乗の|ψ(x)|2となる。

ヒルベルト空間と波動関数[編集]

波動関数は一般に複素数値関数であり、重ね合わせの原理が成立するように、複素線形ベクトル空間の要素として定義される。実際ψ1及びψ2が系の可能な状態を表す2つの波動関数であるならば、

ψ=c1ψ1+c2ψ2c1,c2

それは系の可能な状態を表す必要もある。したがって、次の2つの規則が成立しなければならない。

ψ1+ψ2=ψ2+ψ1
cc(ψ1+ψ2)=cpsi1+cψ2

つまり、加算と定数による乗算に関して線形である。量子力学では状態は、

ψ0=cψ

|c|=1の場合。それはψと同じ状態を表す。つまり、波動関数は、影響を与えず、しばしば暗黙の了解とされる位相因子を除けば、一意に定まる。重要なのは、その絶対値であり、これは波動関数がが二乗可積分関数でなければいけないことを意味する。すなわち、以下の式が成立する必要がある。

|ψ(q,t)|2dq<

これによって、波動関数は複素ヒルベルト空間で定義される。ことが求められる。

この空間の各ベクトルは、系の状態をあらわす。その一つの基底として、ブラケット記法|xで表される。位置が明確に定義された状態の基底が挙げられる。

したがって一般のベクトルVは、この基底に対する成分、すなわち内積によって表すことができる。

x|V=ψV(x)

波動関数の解釈[編集]

イギリスの物理学者のマックス・ボルンは、光の波動理論との類推に基づいて、波動関数の概念を空間内の任意の点に粒子が存在する確率と関連付けた。光の波動理論では、ある領域における電磁波振幅の二乗が光学となる。

ボルンによると、電子が微小体積dτに存在する確率を決定することは可能である。波動関数の場合、その確率は(ψ*)(ψ)に比例し、ここでψ*複素共役関数である。波動関数が確率を表すためには、それが正規化されているという条件が満たされている必要がある。数学的にいえば以下の条件が成立しなければならない。

||ψ||=+|ψ(q,t)|2dq=1

これはまた、電子が見つかる確率が100%となるのは、電子が移動し得る領域を表す体積でのみであり、、その領域は原理的にはカナr図しも無限大である必要はないことを表す。

あらゆる純粋な状態(ブラケット記法では密度行列ρ(q,t)=|ψ*ψ|)には、関数ψ(q,t)、すなわちその状態固有の波動関数が対応付けられる。ここでqは一般にすべての空間変数を表す。これは確率振幅を表しており、すなわち、粒子が区間(q,q+dq)内に存在する確率は、

dP=|ψ(q,t)|2dq

そしてこれが、波動関数が二乗可積分関数でなければならない理由を説明する。

波動関数と波束[編集]

ド・ブロイの仮説から、波束は粒子と関連付けられることが分かった。最も一般的な波束は次のものである。

ψ(x,t)=C+dpϕ(p,t)ei(pxEt)

これは波動関数、すなわちシュレーディンガー方程式の解であり、その時間発展を表しており、直ちに3次元の場合へと一般化できる。p=kかつE=ωであるため。次のように表すこともできる。

ψ(x,t)=CdkA(k,t)ei(kxωt)
  • C=正規化に用いられる定数

ここで、波動関数の定義において扱われる関数ϕ(p,t)またはA(k,t)の意味について考える。簡略化のため、例えば1次元波動関数を例にとり、時間t=0において適切に正規化されたものとする。

ψ(x,t=0)=12πdpϕ(p)eipx=2πdkϕ(k)eikx

フーリエ変換を用いると次の式が得られる。

A(,k)=12πdxψ(x)eikx

または、

ϕ(p)=12πdxψ(x)eikx

そして、波動関数ψ(x)が正規化されている場合、次の式も成り立つ。

dpϕ(p)ϕ*(p)=1

簡単に計算できるとおりである。したがってphi(p)またはϕ(k)は運動量空間にける波動関数であり、その二乗絶対値|ϕ(p)|2dpは粒子の運動量がpからp+dpの範囲にある確率を表す。つまり位置空間と波動関数ψ(x,t)にはある種の対称性が存在する。

演算子と固有関数[編集]

量子力学において測定または測定可能な物理量は全て観測量と呼ばれ、演算子によって表される。演算子は波動関数に作用し、一般的に別の波動関数を得る結果となる。つまり、演算子を適用すると状態が変化する。

A^Ψ=Φ

ここで、A^は演算子である。物理量が取り得る値は、一般的に離散的、連続的、あるいはその両方の性質を持つことがある。演算子が取り得る値は、その固有値のみであると仮定する。これは波動関数が観測量の固有値に関する情報も含まれなければならないことを意味している。すなわち、波動関数は、ある演算子から導かれる無限の状態の重ね合わせとして表現可能でなければならず、それらの状態は、その演算子自体が取り得る値に関する情報を含む必要がある。つまり、演算子A^が与えられれば、その固有値を求め、ひいては各固有値が表す状態も求める。

A^ψa=aψa

ここで、aは固有値、ψaは固有状態または固有関数を表す固有ベクトルである。固有値が離散的である場合{a1,a2,...}、対応する固有関数は{ψa1,ψa2,..}と分類が可能である。一般に量子力学において、関数は無限次元複素ベクトル空間で定義され、これはヒルベルト空間の一例である。したがって、全ての物理量は無限個の固有値、ひいては無限個の自己関数をとる。いずれにしても、ヒルベルト空間は完全かつ分離可能であり、これは量子力学において、常に完全な自己関数の集合が存在することを意味する。その場合、系を表す任意の波動関数は、離散系においては、ある演算子の自己関数を用いて、展開することが可能である。

Ψ=ncnψn

ここで、cnは複素係数である。波動関数の解釈によると、係数cnの二乗は、状態関数ψが固有状態ψaにある確率を表しており、これらの確率は1に正規化されなければならない。

n|cn|2=ncn*ψn

係数は以下のように自動的に決定される。

ncn*cn=nψn*Ψ

その複素共役を掛け合わせ、

Ψ*=ncn*ψn*

そして次の式が得られる。

ncncn*=Ψ*Ψ=ncn*nψm*Ψ

ここから、

cn=nΨψn*=mcmψmψn*=cm

実際は、

mψmψn*δmn

このように正規化されなければならない。

演算子の平均値[編集]

演算子A^eで表される物理量があるとき、我々は固有値方程式を解き、対応する固有関数を求めることができる。されにこれを用いて、波動関数をこの演算子の固有関数で展開、確率を表すように正規化することができる。具体的には、Aを測定した場合、それが現れる確率に基づいて、最終的にその固有値のいずれかを得られるはずである。したがって、その観測量の測定後に物理状態を表す波動関数は即座にその観測量の固有状態に収束しなければならない。この現象は、波動関数の縮小として知られており、量子力学の驚くべき結果の1つである。その驚きは、解釈のむずかしさと同等に大きい。いずれにしても、これは量子力学の根本的な仮定の一つである。すなわち、測定の結果、波動関数は一定の確率で何らかの観測量の固有状態に収束する。唯一の例外は、波動関数がすでに何ら過去観測量の固有状態にある場合であり、その売位は新たな測定でも確率1で同じ結果が得られる。

また、演算子の平均値として、対応する演算子の平均値を、計算することもできる。実際A^がある演算子であり、{a1,a2,...}がその離散的な固有値であるならば、次のようになる。

A¯=nan|cn|2

この通り、これはそれぞれの出現確立で重み付けされたすべての固有値の総和に他ならない。量子力学における演算子は、状態の重ね合わせの原理を満たすために線形である。さらに当然のことから、演算子の全ての固有値が実数であることを求める。これにより、演算子の平均値も実数であることが求められる。したがって、量子力学において観測可能な量を表すことができるのはエルミート演算子のみである。

連続系[編集]

演算子f^の離散的な固有値スペクトルについてこれまで述べた全ての考察は、連続的な場合にも当てはまる。その場合は、連続的スペクトルを持つ任意の演算子は、波動関数の展開を与えることができる。

Ψ(q)=a(f)ψf(q)df

ここで、a(f)は離散的な場合におけるcnと同じ意味を持つ係数であり、ψf(q)は演算子f^の自己関数である。今回の展開の係数の解釈は以下の通りである。

|a(f)|2df

これが、演算子の値がfからf+dfの範囲内にある確率を表す。係数は自動的に決定される。

a(f)=Ψ(q)ψf*(q)dq

固有関数が適切に正規化されると次のようになる。

ψfψf*dq=δ(ff)

ここで、ディラックのデルタ関数δが関与する。

a(f)=afδ(ff)df=a(f)

実際、δ(ff)df=1である。この演算子の平均値は次のように導出される。

f¯=Ψ*(q)f^Ψ(q)

位置演算子と運動量演算子[編集]

量子力学において、連続的な固有値スペクトルを持つ演算子の例としては、位置演算子運動量演算子があげられる。波動関数を定義できる位置空間と運動量空間の間には対称性が存在し、これは平均値の計算を通して確認できる。

  • 位置空間では、
x=dxψ*(x,t)x^ψ(x,t)=dxx^|ψ(x,t)|2

位置空間における演算子は、単純な演算子はx^である。一方、位置空間におけるp^の平均値の計算は、次の通りである。

p^x=dxψ*(x,t)(ix)ψ(x,t)
  • ここで、運動量空間に移り、p^の平均値を導出する。
p^x=dpϕ(p,t)p^ϕ(p,t)=dpp^|ϕ(p,t)|2

つまり、これは単純な演算子であるが、x^の平均値は、

x^=dpϕ*(p,t)(ip)ϕ(p,t)

自由粒子の波動関数[編集]

例えば、空間内を自由に運動する粒子を考える。粒子の位置と速度にはそれぞれ特定の確率分布があり、その位置を測定してある値xを得たとする。すると、その後の位置測定でも、先ほど得られた結果と必ず同じ結果が得られると予測できる。つまり波動関数が一点に収縮し、その点における特定の確率が得られたということです。

ハイゼンベルクの不確定性原理は、両立しない観測量という概念にもつながる。これは、一方の観測量を完全に知ると他方の観測量を完全に知らないという2つの観測量の対である。前述の例では、位置測定を行うと速度を完全に知らないことになる。同様に、エネルギーと、そのエネルギーが交換されるとき時間間隔も両立しない。言い換えれば、ある観測量に関連付けられた波動関数の縮小は、その共役観測量について、定義域全体にわたって一様な分布関数を与える。

関連項目[編集]