フーリエ変換
フーリエ変換は、関数を別の関数に変える、積分変換の一種。フランスの数学者・物理学者ジョゼフ・フーリエに因んでこのような名前がついた。FTとも。
定義[編集]
と定義される。
ここでtは時間、fは周波数で、それぞれ時間領域・周波数領域の関数などと言う。
逆の計算も
と定義できて、これをフーリエ逆変換と言う。
フーリエ変換・フーリエ逆変換の式は以下のようにも表す。
- (フーリエ変換)
- (フーリエ逆変換)
ただし、倍や倍ずれた定義をすることもあり、それは分野による。
用途[編集]
数学的には積分計算に応用できる。 工学的には周波数ごとの性質を見ることができる。
変換表[編集]
変換表 | 原関数 t 領域 / 時間領域 |
像関数 f 領域 / 周波数領域 |
---|---|---|
線形和 | ||
時間軸の積・周波数軸の畳み込み | ||
時間軸の畳み込み・周波数軸の積 | ||
遅延・時間軸の推移 | ||
変調・周波数軸の推移 | ||
時間微分 | ||
周波数微分 | ||
a倍速 | ||
複素共役 | ||
対称性 | ||
定数関数 | ||
ディラックのデルタ関数 | ||
複素指数関数 | ||
余弦関数 | ||
正弦関数 | ||
矩形関数 | (正規化sinc関数) | |
正規化sinc関数 | ||
三角形関数 | 構文解析に失敗 (SVG(ブラウザのプラグインで MathML を有効にすることができます): サーバー「https://ja.wikipedia.org/api/rest_v1/」から無効な応答 ("Math extension cannot connect to Restbase."):): {\displaystyle \operatorname{sinc}^2(f) } (正規化sinc関数の2乗) | |
正規化sinc関数の2乗 | ||
絶対値付き減衰指数関数 | ||
双曲線正割関数 |
各種フーリエ変換の導出[編集]
ここでは上記フーリエ変換の公式や性質を導いて行く事にする。
時間軸の積・周波数軸の畳み込み[編集]
時間軸の積・周波数軸の畳み込みの性質は、畳み込みを定義に従って計算し、指数の肩を2つに分けて、積分順序を交換し、置換積分(変数変換)でフーリエ逆変換することで求まる。
とすると、で、がのとき、
はなので、
はじめと結果をフーリエ変換をすれば、
時間軸の畳み込み・周波数軸の積[編集]
時間軸の畳み込み・周波数軸の積の性質は、畳み込みを定義に従って計算し、指数の肩を2つに分けて、積分順序を交換し、置換積分(変数変換)でフーリエ変換することで求まる。
とすると、で、がのとき、
はなので、
遅延・時間軸の推移[編集]
遅延・時間軸の推移の性質は、指数の肩を整理して、フーリエ逆変換することで求まる。
左辺と右辺をフーリエ変換をすれば、
変調・周波数軸の推移[編集]
変調・周波数軸の推移の性質は、指数の肩を整理して、フーリエ変換をすることで求まる。
時間微分[編集]
時間微分の性質は、部分積分でフーリエ変換するで求まる。
周波数微分[編集]
周波数微分微分の性質は、部分積分でフーリエ逆変換するで求まる。
左辺と右辺をフーリエ変換をすれば、
a倍速[編集]
a倍速の性質は、置換積分(変数変換)でフーリエ変換するで求まる。
とすると、で、がのとき、
はではで、ではなので、
積分区間が逆になると積分結果の符号が反転することに注意して
複素共役[編集]
複素共役の性質は、複素共役を積および積分と順序を入れ替えて、フーリエ変換をすることで求まる。
対称性[編集]
対称性の性質は、指数の肩のマイナスを入れ替えて、フーリエ逆変換をすることで求まる。
デルタ関数[編集]
デルタ関数のフーリエ変換は、デルタ関数の定義より求まる。
デルタ関数の定義より、
定数関数[編集]
定数関数のフーリエ変換は、デルタ関数のフーリエ変換に、対称性の性質を適用し、デルタ関数が偶関数であることを利用して求まる。
複素指数関数[編集]
複素指数関数のフーリエ変換は、定数関数のフーリエ変換に、変調・周波数軸の推移の性質を適用すると求まる。
三角関数[編集]
三角関数(余弦関数・正弦関数)のフーリエ変換は、三角関数を複素指数関数の線形和に変形して、線形和の性質を適用すると求まる。
矩形関数[編集]
矩形関数のフーリエ変換は、矩形関数が値をもつ範囲で積分することで求まる。
ただし、sinc関数は正規化sinc関数である。
三角形関数[編集]
三角形関数のフーリエ変換は、三角形関数が矩形関数同士の畳み込みであることに、時間軸の畳み込み・周波数軸の積の性質を適用することで求まる。
ただし、sinc関数は正規化sinc関数である。
正規化sinc関数[編集]
正規化sinc関数のフーリエ変換は、矩形関数のフーリエ変換に、対称性の性質を適用し、矩形関数が偶関数であることを利用して求まる。
正規化sinc関数の2乗のフーリエ変換は、三角形関数のフーリエ変換に、対称性の性質を適用し、三角形関数が偶関数であることを利用して求まる。