シーメンスES64U4形電気機関車

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シーメンスES64U4形電気機関車とはシーメンス社2005年から2011年にかけて中央ヨーロッパから南ヨーロッパにかけての様々な鉄道会社で運用される交直流(三相交流)機関車である。

設計[編集]

最初の機関車は、2005年3月31日にミュンヘン・アラーハ工場で製造された。機関車の部品はES64F4形とほぼ同一だが機械的にはES64U2形と同一である。詳細の変更点は以下の通り:

  • 車体が300mm長い
  • ES64F4 の内部設計に合わせて、機械室と非常ドアを従来の2つではなく4つ
  • 屋根上部構造のクラッディングが広い
  • 1116と比べて、屋根の中央部分はUIC-505に従って車両の建築限界に準拠するように低くなっている。
  • 信号灯がフロントガラス上部に取り付けられている
  • LEDを採用
  • 入換用ハンドルの位置変更
  • ES64U2でおなじみのドレミファインバーターは省略された

自重軽減のため主変圧器は2.5t軽量化された。それにより出力が従来機より若干低下した。連続出力は6MW、時速出力は6.4MWとなった。

機関車は、勾配250‰以上でも走行が可能である。

また重連総括制御、プッシュプル制御が可能である。

機関車タイプ[編集]

基本的にはオーストリアドイツスロベニアで運用が可能なB形機関車で幅広交流パンタグラフ2基と幅狭直流パンタグラフ2基が搭載されている。定時列車制御(PZB)、線路型列車制御(LZB)、欧州列車制御システム(ETCS)以外の列車制御システムは搭載されていない。

B型に直流機器が搭載されていないものはG形に分類される。この機関車はドイツとオーストリアでのみ運用される。

B形にイタリアSCMTを搭載しているものはA形に分類され、上記3カ国以外でもイタリアで運用が可能である。

Mirel搭載車のB形はF形に分類される。運行可能範囲はオーストリア、ドイツ、スロベニア、ハンガリーに及ぶ。

幅広の抵触パンタグラフが搭載され、Mirelが搭載されているものはC形に分類され、オーストリア、ドイツ、チェコスロバキア、ハンガリーで運用が可能であるC形である。

Mirelに加えて、ポーランド自己検知警告システム(SHP)を備えたD形はポーランドでも運用が可能である。

近年このA、B、C、D、F、Gによる分類が逸脱してきてる。というのも、パンタグラフをの片方を幅広抵触パンタグラフ、もう片方を幅狭抵触パンタグラフを搭載することでB、C、F形の混在化が進み、本来同じ機関車では行き来が不可能だったスロベニアとチェコ・スロバキア間での運用が可能となった。また一部G形にはMirelパンタグラフの搭載でハンガリーへの直通可能、B形ではクロアチアでの運用を想定してバルカンパレットのパンタグラフを搭載する個体もあり、何でもありの状態である。

各社[編集]

オーストリア連邦鉄道[編集]

1216形電気機関車として登録されている。プッシュプル運転と重連総括運転に対応している。2006年以降国際列車や貨物列車の牽引に用いられる。

車両[編集]

2005から2006年にかけて50両が製造され、2007年に10両追加発注し、60両体制で運用される。

この機関車はオーストリア連邦鉄道の機関車あるあるだが特別塗装やラッピングがなされることが多い。またレイルジェット専用塗装もあり。

世界記録[編集]

2006年9月2日、1216 -025はドイツのニュルンベルク-インゴルシュタット間で357km/hを記録し、1955年の記録を更新しました。以降、1216-025はこの世界記録を記念するダークグレー塗装に塗装され、現在は貨物輸送を中心に欧州各国で運用されている。

スロベニア鉄道[編集]

スロベニア鉄道ではSŽ541形電気機関車として登録されB形22両とF形10両が発注された。

B形が0番台(001~022号機)、F形が100番台(101~110号機) に分けられた。

541形の初号機は2005年後半に完成し、同年10月28日に試運転が完了した。

541形はオーストリア連邦鉄道の1216形と重連総括制御が可能である。

最初は541形は製造時赤い塗装で出場したが、2023年より、016号機からスロベニア鉄道のコーポレートカラーである青い色に塗装変更された。

PKPインターシティ[編集]

2008年にPKPインターシティ(ポーランド国鉄)はシーメンス社にES64U4形を10両発注した。この車両はEU44形電気機関車として登録されている。このEU44形にはHusarz(フサジュ)という愛称が付けられた。これらの機関車は5-370-001~010の番号が付いている。

チェコ鉄道[編集]

チェコ鉄道2019年にオーストリアのレイル・トランスポート・サービスから中古の機関車2両(902号機、903号機)を購入した。全面的な技術検査とチェコ鉄道色への塗装を行い、ボフミーン-ウィーン中央間でユーロシティ列車の運行を開始した。2121年にはウィーン・ローカルバーネン・カーゴから1216-951~954の4両を購入し2022年初頭頃から運用開始された。

2024年夏の902号機と903号機がポーランドでも運用できるようにD形に改造された。それ以来、ボフミーン-ワルシャワ間のユーロシティで運用されるようになった。

チェコではETCSに対応したETCS機器の不足に伴いこれら全ての車両の売却が検討されている。

私鉄[編集]

このES64U4形はさまざまな私鉄会社でも保有され、運行されている。

各国の形式付与形態に基づいて、ドイツ国籍の会社は183形、イタリア国籍の会社はE190形と呼ばれる。

関連項目[編集]