日産・GT-R

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GT-Rとは、日産自動車2007年から2025年まで製造・販売していた高級スポーツクーペである。その動力性能や価格からハイパフォーマンスカーとしての扱いも多い。

概要[編集]

2002年に販売を終了した日産・スカイラインGT-Rの直系となる車種であり、初代のPGC10/KPGC10型スカイラインから数えて6代目となるGT-Rを冠するモデルである[注 1]。型式も5代目スカイラインGT-R(R34)に倣ったR35型となっており、それまでのスカイラインGT-Rにおける2ドアクーペ、丸形4灯テールランプという要素を継承している。

モデルイヤー制が採用されており、ビッグマイナーチェンジが2度ほどあった程度でフルモデルチェンジは販売終了までされなかった。

日産における象徴的なモデルであるが、専用ラインではなく他のFRセダンなどと同じ栃木工場で混流製造されていた。当初は専用ラインとする予定であったが、混流製造とすることで工場の稼働率が上がり、結果的に価格を抑えることができたという[1]。その結果、登場時は777万円という性能から見ればコストパフォーマンスが抜群に良い価格[注 2]で販売することができたものである。また、混成生産により同ラインで製造される自動車にもフィードバックが入り、全体の品質の押上げにもつながったとされている。一方でエンジンは横浜工場で製造されており、完成検査も他の自動車とは異なった専用工程で行われている[3]

2025年8月26日、日産は18年間続いたGT-Rの製造を終了したと発表。述べ48000台ほどが生産されたという[4]

性能[編集]

搭載されるエンジン、VR38DETT型エンジンは横浜工場の専用組立工が一つずつ手作業でくみ上げているものである[注 3]。RB26の直列6気筒ではなくV型6気筒となっており、排気量は3799ccがツインターボで過給され、初期で480PS/60.0kgf·mモデルによっては721PS/79.5kgf·mを発揮していた。余談であるが、ハイオクガソリン指定エンジンであり、非常時でもレギュラーガソリンを使用することができないタイプのものである。

トランスミッションは6速デュアルクラッチトランスミッションが採用されており、所謂2ペダルMTであることから法令上はAT限定免許での運転が可能である。

四輪駆動と表記されることが多いが、通常時はFR、前輪のスリップを検知すると即座に前輪へも動力を振り分けAWDとなるアテーサE-TSが採用されている。

プラットフォームはGT-R専用の日産・PMプラットフォームが用意され、重量物であるトランスミッション(正確にはリアデフも一体化したトランスアクスル)を車両後方に配置し、後輪にかかる荷重を増やしていることが特徴である。このため前54:後46という重量バランスとなっている。これは動的なバランスを重視した際の動力配分であり加速時のフロント荷重の抜けや旋回時の安定性に大きく寄与しているといわれている。

足回りとしてはフロントがダブルウィッシュボーン式、リアがマルチリンク式が採用されており、そのセッティングは毎年のように変更されていた。また、純正としてビルシュタイン製のサスペンションが採用されていた。ブレーキも乗用車用としては過剰とも思えるブレンボ製の対向6POT(フロント)、対向4POT(リア)ブレーキにドリルドローターディスクが純正採用されている。

日本で初めてGNSSによるスピードリミッター解除機能を有しており、サーキット走行時に180km/hのリミッターが解除できるようになっている。

メンテナンス[編集]

日本車としては類を見ない高性能車であり、GT-Rの整備に精通したメカニックが所在する日産ハイパフォーマンスセンターや特約店が整備され、それ以外で整備(自分で行う整備も含む)を行うと保証対象外となるというものであった。また、GT-Rに装着されるタイヤはランフラットタイヤであり、銘柄も少ない上このタイヤ交換も上記店舗で実施しないとやはり保証対象外となるため、オーナーの維持コストは非常に高いものであった。もっとも、これは国交省に対する一部のパフォーマンスでもあり、企業責任の一環として行ったものという見方もある[5]

なお、保証対象外となるだけで整備が出来なくなるわけではないため、チューニングショップに持ち込み、点検整備に加えてカスタムパーツの装着やチューニングを実施すること自体は可能である。また、アフターパーツメーカーとして著名なHKSがTHE HKS GT-R R35 MY24 NISMO Dimension:Zと題し、自社製のコンプリートエンジンやタービンなどを装着したコンセプトモデルを発表し、1億1千万で販売予定とされていた[6]

モータースポーツ[編集]

先代までのスカイラインGT-Rと同様、モータースポーツへ積極的な参戦もしている。SUPER GTにおいては2008年から参戦しており、駆動方式をFR、トランスミッションを6速シーケンシャルミッション(MT)にするなどの変更を受けている。デビュー戦となる2008年3月に行われた鈴鹿サーキットではXANAVI NISMO GT-RとMOTUL AUTECH GT-Rの2台がワンツーフィニッシュという結果となった。SUPER GTにおいては2021年まで参戦し、 2022年からはフェアレディZをベースとするZ GT500が参戦することとなった。

関連項目[編集]

注釈[編集]

  1. GT-Rを冠さないモデル、所謂ジャパン(C210)や鉄仮面で知られるR30型の2000RS、7thスカイライン(R31型)のGTS-Rは含まれていない
  2. 2008年のニュルブルクリンクにおけるタイムが7分30秒を切っており、1000万円未満で買える市販車でありながらポルシェ911GT3やレクサス・LFAよりタイムが優れていることからそういわれている[2]
  3. 加えて全数が品質検査を受け、合格したもののみが搭載される

脚注[編集]

  1. https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2201/02/news018.html
  2. https://intensive911.com/italian-car-brand/ferrari/169785?utm_source=chatgpt.com#%E3%81%9D%E3%82%8C%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%AB%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%81%AE%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%97%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%80%8C%E5%B8%82%E8%B2%A9%E8%BB%8A%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97100%E3%80%8D%E3%82%92%E8%A6%8B%E3%81%A6%E3%81%BF%E3%82%88%E3%81%86 【随時更新】ニュルブルクリンクのラップタイム最新版。ランキング100位まで、そして「SUV」「FF」「EV」「コンパクト」などカテゴリ別最速車を見てみよう
  3. https://www2.nissan.co.jp/SP/GT-R/CRAFTSMANSHIP/index.html?rstid=gt-r_top_pfa_01
  4. https://news.yahoo.co.jp/articles/9c6d9d7c147e25c46a9791335320f1b6c3fc246d 日産自動車、18年間で約48,000台が生産されたR35 GT-Rの生産終了を発表。エスピノーサCEOは将来のGT-R再登場を示唆 - autosports web
  5. https://www.j-cast.com/2007/10/31012652.html?p=all カスタマイズ業界VS日産自動車 「GT-R」改造を巡る戦い - J-CASTニュース
  6. https://www.goo-net.com/magazine/newmodel/car-news/243181/ 1億円超えのコンセプトカー「THE HKS GT-R」を展示!東京オートサロンKL2024 - グーネットマガジン