小堀桂一郎

小堀 桂一郎（こぼり けいいちろう、1933年9月13日 - ）は、ドイツ文学者、比較文学者。東京大学名誉教授、明星大学名誉教授。専攻はドイツ文学、比較文学、比較文化、日本思想史。日本会議副会長。

経歴

東京生まれ。洋画家の小堀稜威雄の長男。戦時中は静岡県沼津市に疎開し、静岡県立沼津東高等学校卒業。1958年東京大学文学部独文学科卒業。1961年同大学大学院比較文化専門課程修士課程修了。1961年から1963年まで西ドイツのフランクフルト大学に留学しドイツ文学を学ぶ。1968年東京大学大学院人文科学研究科比較文学比較文化博士課程修了、東京大学教養学部助教授。1969年「若き日の森鴎外」で文学博士（東京大学）。1985年東京大学教授。1994年定年退官、明星大学日本文化学部教授。2004年退職。

1992年から1994年まで東大比較文學會会長を務めた。1997年に日本会議が設立されると、安西愛子、石井公一郎、岡本健治、小田村四郎とともに副会長に就任した。

受賞歴

• 1959年 - 第1回日本ゲーテ賞：「『ファウスト』の地上の賭に於ける賭物の問題」
• 1969年 - 第21回読売文学賞研究・翻訳賞：『若き日の森鷗外』（東京大学出版会、1969年）
• 1983年 - 第14回大宅壮一ノンフィクション賞 ：『宰相 鈴木貫太郎』（文藝春秋、1982年）
• 2001年 - 第16回正論大賞

人物

ゲーテやホフマンスタールなどのドイツ文学から森鴎外へと研究対象を広げた。保守論壇の重鎮、右派の理論的大御所としても知られる。

父は洋画家の小堀稜威雄。祖父は日本画家の小堀鞆音。娘は歴史学者・宗教学者の小堀馨子。

保守運動との関わり

日本会議／日本会議の友好・提携団体の役職

• 日本会議副会長
• 小泉首相の靖国神社参拝を支持する国民の会代表
• 「二十一世紀の日本と憲法」有識者懇談会（民間憲法臨調）代表委員
• 「日本の教育改革」有識者懇談会（民間教育臨調）役員
• 皇室の伝統を守る国民の会呼びかけ人

その他の団体の役職

• 日本文化会議企画委員
• 日本自由主義会議会員
• 教科書正常化会議設立発起人
• 天皇陛下御在位六十年奉祝委員会委員
• 言論人懇話会同人
• 八十年代ビジョンの会メンバー
• 大平総理の政策研究会（大平正芳首相の私的諮問機関）家庭基盤充実研究グループ政策研究員
• 興亜観音を守る会理事
• 東京裁判資料刊行會代表
• 天皇陛下の御訪韓問題を考える会代表
• 「昭和の日」推進国民ネットワーク（昭和の日推進ネット）代表委員
• 日華交流教育会（2004年に日台交流教育会に改称）会長
• 皇室典範問題研究會設立発起人
• 史実を世界に発信する会顧問
• 公益財団法人アパ日本再興財団 アパ日本再興大賞審査委員長
• 公益財団法人アパ日本再興財団 「真の近現代史観」懸賞論文審査委員長
• 明治の日推進協議会代表委員
• 安倍晋三総理大臣を求める民間人有志の会発起人
• 朝日新聞を糺す国民会議代表呼びかけ人
• 『南京大虐殺』の歴史捏造を正す国民会議呼びかけ人
• 日本国史学会発起人
• 政教関係を正す会幹事
• 乃木神社中央乃木會会長
• 靖國神社崇敬奉賛会常務理事
• 日本の真の独立を目指す有識者会議議長

賛同など

• 世界日報購読推薦。世界平和教授アカデミーの機関誌『知識』84年夏季号に「『愛国心』の教え方」などを執筆。
• 日米安保の改定を求める百人委員会（安保百人委員会）賛同者
• 日本文化チャンネル桜賛同者
• 『南京の真実』賛同者
• 放送法遵守を求める視聴者の会（視聴者の会）賛同者

著書

単著

• 『若き日の森鷗外』（東京大学出版会、1969年）
• 『森鷗外の世界』（講談社、1971年）
• 『鎖国の思想――ケンペルの世界史的使命』（中央公論社［中公新書］、1974年）
• 『西學東漸の門――森鴎外研究』（朝日出版社、1976年）
• 『イソップ寓話――その伝承と変容』（中央公論社［中公新書］、1978年／講談社［講談社学術文庫］、2001年）
• 『古典の知恵袋――東と西の処世術入門』（講談社、1979年／講談社［講談社学術文庫］、1986年）
• 『鷗外とその周辺』（明治書院［国文学研究叢書］、1981年）
• 『森鷗外文業解題 創作篇』（岩波書店、1982年）
• 『森鷗外文業解題 翻訳篇』（岩波書店、1982年）
• 『宰相 鈴木貫太郎』（文藝春秋、1982年／文藝春秋［文春文庫］、1987年）
• 『戦後思潮の超克』（日本教文社、1983年）
• 『今上天皇論』（日本教文社［教文選書］、1986年）
  • 『昭和天皇論』（日本教文社［教文選書］、1989年）
• 『昭和天皇論・續』（日本教文社［教文選書］、1989年）
• 『さらば、敗戦国史観――何が日本人の歴史観を歪めたのか』（PHP研究所［PHPブライテスト］、1992年）
  • 改訂『さらば東京裁判史観――何が日本人の歴史観を歪めたのか』（PHP研究所［PHP文庫］、2001年）
• 『鏡の詞・劍の詩――反時代的考察』（展転社、1994年）
• 『再検証 東京裁判――日本を駄目にした出発点』（PHP研究所、1996年）
• 『国際社会における日本の位置』（國民會館［國民會館叢書］、1996年）
• 『日本における文明の衝突』（國民會館［國民會館叢書］、1997年）
• 『東京裁判の呪ひ――呪縛から日本人を解き放て』（PHP研究所、1997年）
• 『靖国神社と日本人』（PHP研究所［PHP新書］、1998年）
• 『森鷗外 批評と研究』（岩波書店、1998年）
• 『「国家主権」を考へる――四月二十八日は何の日か』（國民會館［國民會館叢書］、1998年）
• 『昭和天皇』（PHP研究所［PHP新書］、1999年）
  • 『昭和天皇とその時代』（PHP研究所、2015年）
• 『国民精神の復権』（PHP研究所、1999年）
• 『奪はれた歴史――未来ある国家観の再生に向けて』（PHP研究所、2001年）
• 『日本に於ける理性の伝統』（國民會館［國民會館叢書］、2002年）
• 『和歌に見る日本の心』（明成社、2003年）
• 『乃木将軍の御生涯とその精神――東京乃木神社御祭神九十年祭記念講演録』（乃木神社社務所、国書刊行会、2003年）
• 『日本人と神』（伊勢神宮崇敬会［伊勢神宮崇敬会叢書］、2003年）
• 『皇位の正統性について――「万世一系の皇祚」理解のために』（明成社、2006年）
• 『日本に於ける理性の傳統』（中央公論新社［中公叢書］、2007年）
• 『なぜ日本人は神社にお参りするのか』（海竜社、2009年）
• 『日本人の「自由」の歴史――「大宝律令」から「明六雑誌」まで』（文藝春秋、2010年）
• 『鞆乃音――楓蔭書屋家集』（三清庵居士名義、近代出版社、2011年）
• 『「國家理性」考――國家學の精神史的側面』（錦正社、2011年）
• 『萬世一系を守る道――なぜ私は「女系天皇」を絶対に容認できないのか』（海竜社、2012年）
• 『森鷗外――日本はまだ普請中だ』（ミネルヴァ書房［ミネルヴァ日本評伝選］、2013年）
• 『小堀鞆音――歴史画は故実に拠るべし』（ミネルヴァ書房［ミネルヴァ日本評伝選］、2014年）
• 『歴史修正主義からの挑戰――日本人は日本を取り戻せるか?』（海竜社、2014年／経営科学出版、2022年）
• 『時評「正眼・心眼」』（竹駒神社、2014年）
• 『鈴木貫太郎――用うるに玄黙より大なるはなし』（ミネルヴァ書房［ミネルヴァ日本評伝選］、2016年）
• 『和辻哲郎と昭和の悲劇――伝統精神の破壊に立ちはだかった知の巨人』（PHP研究所［PHP新書］、2017年）
• 『靖國の精神史――日本人の国家意識』（PHP研究所［PHP新書］、2018年）
• 『象徴天皇考』（明成社、2019年）
• 『人間の境涯について――人文學隨想集』（勉誠出版、2019年）
• 『國家理性及び國體について』（明成社、2022年）

共著

• 『日本人の再発見――大学セミナー・ハウス開館七周年記念論集』（和歌森太郎、神島二郎、金山宣夫、野口武徳、松原治郎、土居健郎、オーテス・ケーリ共著、弘文堂、1972年）
• 『新編日本史』（朝比奈正幸、村松剛、結城陸郎ほか共著、原書房、1987年、改訂版1990年）
• 『平成時代の幕明け――即位礼と大嘗祭を中心に』（田中卓、所功、大原康男共著、歴史研究会文化講演会編、新人物往来社［文化講演叢書］、1990年）
• 『日本の正論――21世紀日本人への伝言』（渡部昇一、加藤寛、唐津一、曽野綾子、竹村健一、石原慎太郎、西部邁、猪木正道、堺屋太一、岡崎久彦、田久保忠衛、西尾幹二、三浦朱門、上坂冬子共著、産経新聞ニュースサービス、発売：扶桑社、2001年）
• 『高等学校最新日本史』（村尾次郎、朝比奈正幸ほか共著、明成社、2003年）
• 『明治天皇と日露戦争――世界を感動せしめた日本武士道』（入江隆則、占部賢志、加瀬英明、小柳陽太郎、高山亨、名越二荒之助共著、明成社、2005年）
• 『「女系天皇論」の大罪』（櫻井よしこ、八木秀次共著、PHP研究所、2006年）
• 『皇室と日本人――寛仁親王殿下お伺い申し上げます』（寛仁親王著、加瀬英明、櫻井よしこ、「正論」編集部と聞き手、明成社、2006年）
• 『歴史の書き換えが始まった！――コミンテルンと昭和史の真相』（中西輝政共著、明成社［日本の息吹ブックレット］、2007年）
• 『主権回復――本当の終戦記念日は、四月二十八日である』（井尻千男、入江隆則共著、近代出版社、2008年）
• 『日本人の誇りを伝える最新日本史』（渡部昇一、國武忠彦ほか共著、明成社、2012年）
• 『私たちの歴史総合』（伊藤隆、渡辺利夫、田中英道共著、明成社、2022年）

編著

• 『Aus einer Kindheit = ある幼年時代より』（編、Friedrich Huch著、同学社、1966年）
• 『講座 比較文学（全8巻）』（芳賀徹、平川祐弘、亀井俊介共編、東京大学出版会、1973-1976年）
• 『文章の解釈――本文分析の方法』（平川祐弘、亀井俊介共編、東京大学出版会、1977年）
• 『家族――文学の中の親子関係』（岡田英弘共編、PHP研究所、1981年）
• 『図説ドン・キホーテ』（編・解説、ギュスターブ・ドレ絵、一橋出版、1982年）
• 『これが正しい小・中学校教科書だ――この問題をどう教えるか 日本人の日本人による日本人のための』（編、山手書房、1984年）
• 『靖国論集―日本の鎮魂の伝統のために』（江藤淳共編、日本教文社［教文選書］、1986年）
  • 『新版 靖國論集―日本の鎭魂の傳統のために』（江藤淳共編、近代出版社、2004年）
• 『東西の思想闘争』（編、中央公論社［叢書比較文学比較文化］、1994年）
• 『東京裁判 日本の弁明――「却下未提出弁護側資料」抜粋』（編、講談社［講談社学術文庫］、1995年）
  • 『東京裁判 幻の弁護側資料――却下された日本の弁明』（編、筑摩書房［ちくま学芸文庫］、2011年）
• 『「ゆとり教育」が国を滅ぼす――現代版「学問のすすめ」』（編著、小学館［小学館文庫］、2002年）
• 『新世紀の靖國神社――決定版全論点』（渡部昇一共編、近代出版社、2005年）

訳書

• ラートブルフ『ラートブルフ著作集 第9巻 人と思想』（菊池栄一共訳、東京大学出版会、1964年）
• ホーフマンスタール『ホーフマンスタール選集 2 小説・散文』（高橋英夫他訳、河出書房新社、1972年）
• 森鷗外『森鷗外の『智恵袋』』（訳・解説、講談社［講談社学術文庫］、1980年）

注釈・校訂

• 『日本近代文学大系 52 明治大正訳詩集』（吉田精一解説、森亮、神田孝夫、安田保雄、剣持武彦、佐藤政枝、小海永ニ共同注釈、角川書店、1971年）
• 金素雲『三韓昔がたり』（校訂・解説、講談社［講談社学術文庫］、1985年）
• 金素雲『朝鮮史譚』（校訂・解説、講談社［講談社学術文庫］、1986年）
• 鈴木貫太郎『鈴木貫太郎自伝』（校訂、中央公論新社［中公クラシックス］、2013年）

監修

• 所功編『名画にみる國史の歩み――東京・養正館旧蔵/伊勢・神宮徴古館現蔵』（近代出版社、2000年）

関連文献

• ご訪中問題懇話会編『［検証と総括］天皇陛下ご訪中問題』（ご訪中問題懇話会、発売：展転社［てんでんブックレット］、1992年）※執筆者は村尾次郎、小田村四郎、小堀桂一郎、中村粲、大原康男、鈴木正男、高森明勅、高池勝彦、渡辺徹二。
• 小谷野敦『東大駒場学派物語』（新書館、2009年）
• 上丸洋一『『諸君!』『正論』の研究――保守言論はどう変容してきたか』（岩波書店、2011年）

関連項目

• 日本会議新憲法研究会

外部リンク

• researchmap