高森明勅
高森 明勅(たかもり あきのり、1957年 - )は、神道学者、皇室研究者。
経歴[編集]
岡山県倉敷市生まれ[1]。1983年國學院大學文学部卒[2]。1989年同大学院博士課程(神道学専攻)単位取得[1][2]。同大学日本文化研究所研究員を経て[2]、同大学神道文化学部および麗澤大学外国語学部講師[3]。2004-2006年拓殖大学客員教授。専攻は神道学・日本古代史[4]。『天皇と民の大嘗祭』(展転社、1990年)で平成3年度神道宗教学会奨励賞を受賞[5]。
1992年の天皇の中国訪問に反対した「天皇陛下のご訪中に反対する国民委員会」の事務責任者[6]、1994年に発足した昭和の日ネットワーク準備会の企画委員を務めた[7]。1997年1月に「新しい歴史教科書をつくる会」が設立され、理事に就任[8]。1999年9月に大月隆寛事務局長の解任を受け「つくる会」の3代目事務局長に就任。2001年9月に事務局長を退任し理事に就任[9]。2005年に昭和の日ネットワークが設立され、理事に就任[10]。2010年に靖国神社崇敬奉賛会が「やすくに活世塾」を設立し、高橋史朗が塾長、高森明勅が塾頭、打越和子が塾頭補佐に就任[11]。2011年「つくる会」副会長[12]、2013年6月に理事・副会長を退任[13]、2016年6月に理事に就任[14]。
防衛庁統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、日本文化チャンネル桜のキャスター[4]、日本文化総合研究所代表[15]、神道宗教学会理事[3]、日本の建国を祝う会理事[16]も務めた。
2024年時点で日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問、政教関係を正す会幹事[16]、昭和の日ネットワーク理事[17]、明治の日推進協議会運営委員[18]、新しい歴史教科書をつくる会理事[19]。
人物[編集]
大東塾の学生寮「大東会館」の出身者[20]。日本主義学生連合(日学連)の副委員長[21]、委員長を務めた[22]。高森が日本主義学生連合と日本主義青年連合との機関紙『日本主義』第25号に執筆した「日本における〈反体制〉の思想とは」における松本健一の著書『思想としての右翼』(第三文明社、1976年)に対する論評について、松本は「新右翼に属するひとに、これだけ読みとってもらえば、著者としてはあえて細かい訂正をほどこす必要がない。わたしはこの高森という人を知らぬが、こういうひととなら刺しちがえてもいいような気がする」と述べている[23]。國學院大學在学中に都内の大学生有志で結成した「日本映画を正す有志の会」の代表として、東映映画『徳川一族の崩壊』(山下耕作監督、1980年公開)の「孝明天皇斬殺」の場面をめぐって東映に抗議や問題場面の削除を要求する活動を行った[24]。
皇位継承問題については女性天皇・女系天皇・女性宮家に賛成する立場をとる。2005年6月に小泉純一郎内閣総理大臣の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」が行ったヒアリングで、女性天皇・女系天皇を容認する意見を述べた[25]。
著書[編集]
単著[編集]
- 『天皇と民の大嘗祭』(展転社、1990年)
- 『歴史から見た日本文明――日本人の新しいセルフ・イメージを求めて』(展転社、1996年)
- 『この国の生いたち――あなたは「天皇」の起源を知っていますか?』(PHP研究所、1999年)
- 『はじめて読む「日本の神話」』(展転社、2000年)
- 『天皇から読みとく日本――古代と現代をつなぐ』(扶桑社、2002年)
- 『謎とき「日本」誕生』(筑摩書房[ちくま新書]、2002年)
- 『日本の可能性――神話と歴史が語る「飛躍と持続」』(モラロジー研究所、発売:廣池学園事業部、2007年)
- 『日本の10大天皇』(幻冬舎[幻冬舎新書]、2010年)
- 『歴史で読み解く女性天皇』(ハローケイエンターテインメント、発売:KKベストセラーズ[ベスト新書]、2012年)
- 『皇室論――伊勢神宮式年遷宮に寄せて』(青林堂、2013年)
- 『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎[幻冬舎新書]、2016年)
- 『[ビジュアル版]私たちが知らなかった天皇と皇室』(SBクリエイティブ[SBビジュアル新書]、2018年)
- 『天皇と国民をつなぐ大嘗祭』(展転社、2019年)
- 『「女性天皇」の成立』(幻冬舎[幻冬舎新書]、2021年)
- 『愛子さま 女性天皇への道』(講談社ビーシー、頒布:講談社、2024年)
共著[編集]
- 『皇室の伝統精神と即位礼・大嘗祭』(加瀬英明、所功共著、廣池学園出版部編、廣池学園出版部、1990年)
- 『歴史と文化が日本をただす』(呉善花、八木秀次共著、モラロジー研究所、発売:廣池学園事業部、2003年)
- 『語り伝えたい美しい日本の建国』(出雲井晶、坂本多加雄、林秀彦、名越二荒之助、中西輝政共著、明成社、2007年)
- 『古事記は日本を強くする――神話がわかれば「日本人」がわかる』(中西輝政共著、徳間書店、2012年)
編著[編集]
- 『日本人なら知っておきたい靖國問題』(編、青林堂、2007年)
- 『日本人なら学んでおきたい靖國問題』(編、青林堂、2011年)
監修[編集]
- 『歴代天皇事典』(PHP研究所[PHP文庫]、2006年)
- 『歴代天皇がよくわかる本』(PHP研究所、2011年)
- 『歴代天皇125代――神話と地図で読み解く』(英和出版社[EIWA MOOK]、2014年)
- 『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社、2017年)
- 『天皇と元号の大研究――日本の歴史と伝統を知ろう』(PHP研究所、2018年)
出典[編集]
- ↑ a b 天皇と国民をつなぐ大嘗祭 紀伊國屋書店
- ↑ a b c 天皇から読みとく日本―古代と現代をつなぐ 紀伊國屋書店
- ↑ a b 2009年2月11日 日本文化チャンネル桜
- ↑ a b 歴代天皇事典 紀伊國屋書店
- ↑ 学会活動 神道宗教学会
- ↑ ご訪中問題懇話会編『[検証と総括]天皇陛下ご訪中問題』ご訪中問題懇話会、発売:展転社[てんでんブックレット]、1992年
- ↑ 日本の祝祭日を考える会編『日本の祝祭日を考える』日本の祝祭日を考える会、発売:展転社[てんでんブックレット]、1994年
- ↑ 具裕珍「「新しい歴史教科書をつくる会」のExit, Voice, Loyalty ――東アジア国際関係への含意を中心に――」『相関社会科学』第19号、2009年
- ↑ 俵義文『〈つくる会〉分裂と歴史の偽造――正念場の歴史教科書問題』花伝社、2008年、59頁
- ↑ 定款 昭和の日ネットワーク
- ↑ やすくに活世塾 ゴー宣DOJO、2010年4月16日
- ↑ 第14回定期総会を開催 新しい歴史教科書をつくる会、2011年
- ↑ 平成25年度定時社員総会、盛会裡に終了 新しい歴史教科書をつくる会、2013年7月3日
- ↑ 平成28年度定時社員総会を開催! 新しい歴史教科書をつくる会、2016年6月14日
- ↑ 日本人なら知っておきたい靖國問題 紀伊國屋書店
- ↑ a b プロフィール 高森明勅 公式サイト
- ↑ 昭和の日ネットワークについて 昭和の日ネットワーク
- ↑ 明治の日推進協議会役員一覧 明治の日推進協議会
- ↑ 役員構成 新しい歴史教科書をつくる会
- ↑ 安田浩一『「右翼」の戦後史』講談社現代新書、2018年、73頁
- ↑ 宮川新[著]、宮川新遺稿・追悼集編纂委員会[編]『海鳴り――宮川新遺稿追悼集』宮川新遺稿・追悼集編纂委員会、1980年、156頁
- ↑ 国民政治年鑑編集委員会編『国民政治年鑑 1981年版』日本社会党中央本部機関紙局、1981年、611頁
- ↑ 松本健一「三島事件以後 思想なき心情右翼のイロニー」『現代の眼』1977年12月号
- ↑ 『神社新報選集 昭和56年版』神社新報社、1981年、236頁
- ↑ 皇室典範に関する有識者会議(第7回)議事次第 首相官邸
関連文献[編集]
- 『復興アジアの志士群像――東亜先覚者列伝』(大東塾出版部、1984年)
- 日本政策研究センター編『ガイドブック即位の礼・大嘗祭』(ぎょうせい、1990年)
- 藤岡信勝、新しい歴史教科書をつくる会編『これだけは譲れない歴史教科書10の争点』(徳間書店、2005年)
- 神社本庁研修所編『わかりやすい神道の歴史』(神社新報社、2005年)
- 小林よしのり『ゴー宣道場――いまこそ、日本の「公論」を立ち上げよ!』(ワック、2011年)