名鉄3100系電車
名鉄3100系電車(めいてつ3100けいでんしゃ)とは、名古屋鉄道の通勤型電車である。
概要[編集]
1997年に登場した3700系の2両編成版。車体や客室設備は3700系に準じているが、制御システムに関してはVVVFインバータ制御の素子をGTOからIGBTに変更し、1台の制御装置で1基のモーターを制御する個別制御方式へと変更することで冗長性を確保している。
製造時期の違いで1~3次車に区分される。
構造[編集]
車体[編集]
片側3ドア・19m級の鋼製車体。正面非貫通構造で、3700系と同じである。
車内[編集]
オールロングシート。LEDを使用した車内案内表示装置があるが、自動放送装置は搭載されていない。しかしVVVF制御の特急車両である2200系と併結した場合、2200系の自動放送が3100系の方でも流れる。
機器類[編集]
台車は3700系と同じヨーダンパ付のボルスタレス台車を履く。
制御装置はIGBT素子を利用したVVVFインバータ制御で、1台の制御装置で1基のモーターを制御する個別制御方式。VVVFインバータは補助電源装置が故障した時に所定の操作を行う事でVVVFを補助電源装置としても使用することが出来る。制御装置のメーカーは東芝あるいは三菱[注 1]。なお、三菱製のIGBT-VVVFを搭載した編成は、2015年から2019年にかけてソフト更新が行われ、竜巻インバータのような音色に変化した。
増備の変遷[編集]
- 1次車
1997年の3月から4月にかけて10編成(3101F~3110F)が製造。
- 2次車
1998年3月から4月にかけて9編成(3111F~3119F)が製造。前面窓の位置が8cm上げられ、方向幕のサイズが従来よりも拡大されて英字表記付きとなった。そのため、顔つきが1次車と比較して若干異なる。
- 3次車
2000年4月に4編成(3120F~3123F)が製造。運転台にモニターが設置されたり、マスコンが従来の左手から右手操作型に変更され、1700系のシステムを一部踏襲する形で設計変更がなされた。また、カーテンはフリーストップ式となった[注 2]。前照灯は当初は従来車と同じシールドビームを装備していたが、後になぜか3次車の全車のみが角形HIDに交換された。なお、角形HIDは全国的に見ても採用例が少なく、部品確保などメンテナンスの面で難があったのか、LEDに再び交換された[注 3]。
編成構成[編集]
方向 | ←豊橋 | 岐阜→ |
---|---|---|
構造 | Tc | Mc |
形式 | ク3100 | モ3200 |
改造[編集]
塗装変更[編集]
2019年より、全編成を対象に2200系に準じた白をベースに赤帯を巻く塗装へと変更する工事が行われ、2024年までに完了した。
なお、3500系と3700系は塗装変更の対象外である。
前照灯のLED化[編集]
2024年10月に、3100系3次車の前照灯がHIDからLEDへ更新された。2025年5月より3106Fを皮切りにハロゲン前照灯の編成(2次車以前)にも普及した。なお、それ以外の金魚鉢車両のうち、今後も継続して使用する見込みのある車両(6500系三河ワンマン車、6800系尾西ワンマン車、3500系、3700系)も順次更新されている。
運用[編集]
のちに登場した3150系、9100系と共通運用である。2両編成単独でのローカル運用から、2200系と併結しての特急運用まで幅広くこなす。
今後[編集]
惨事車とも呼ばれるほど故障・事故が頻発する、1700系のシステムを一部踏襲した3次車は早いうちに置き換えが進むと噂されている[注 4]。ただ、2023年度になって3次車も新塗装化&座席モケット更新が行われているため、今後10年以内に置き換える可能性はなさそうだが、3500系・3700系のリニューアル完了後、リニューアルや機器更新等何らかの動きがあると思われるため、今後に要注目である。
脚注[編集]
注釈[編集]
- ↑ 東芝製が3101F~3106F、3116F~3120F。三菱製が3107F~3115F、3121F~3123F。
- ↑ 後輩車両にあたる300系や3300系では、UVカットガラスとなりカーテン自体が省略されたため、名鉄の一般車両でフリーストップ式カーテンを搭載する車両は本区分が唯一となる。
- ↑ 中京圏での角形HIDの採用例は他に名市交2000形の2133H~2136Hが挙げられるが、同車も2023年にLEDに交換された。
- ↑ ただし、故障が頻発する原因は3次車特有のシステムでなく三菱初期のIGBT-VVVFの可能性もあり、実際先述したように2015年から2019年にかけて三菱車の全編成のみを対象にソフト更新が行われた(3次車で唯一の東芝車・3120Fはソフト更新が行われず)。また、1700系も検査期限関係なしに東芝車より三菱車が先に廃車されたため、三菱初期IGBTの他形式との相性自体が悪く、名鉄にとっても扱いに苦労していたと思われる。
出典[編集]