名鉄2200系電車

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金山駅にて。2234F

名鉄2200系電車(めいてつ2200けいでんしゃ)は、名古屋鉄道の所有する特急型電車の1形式。本項では一般車の2300系、派生形式の2230系・2330系についても記述する。便宜上、豊橋方先頭車の番号をとって「2201F」「2202F」と表記する。1700系については名鉄1600系電車の項目を参照されたい。

概要[編集]

パノラマカーグループに代わる汎用特急車として、2004年より製造が開始された。1200系と同様、豊橋方2両の特別車、岐阜方4両の一般車で構成される一部特別車編成だが、本系列は観光用よりもビジネス寄りの性格が強く、展望席を備えないことが特徴である。愛称も持っていない。

1000系・1200系と同じく、特別車と一般車で正式な形式名が分けられており、特別車側は「2200系」、一般車側は「2300系」を名乗っているが、案内上では基本的に編成全体をまとめて「2200系」と呼称される。ただし特別車側が1700系で、一般車側が2300系の混結編成は「1700系・2300系」と呼ばれるが、現在は1700系が2200系に置き換わったため、これらも含めて「2200系」と呼称される。なお、元々1700系との混結編成だった2200系・2300系は30番台が付与されているため、1700系混結時代は「1700系・2330系」、現在は「2230系(・2330系)」とも呼ばれる場合もある。

登場の経緯[編集]

中部国際空港の開業に伴い、当初は1600系3500系3700系連結した、一部特別車の急行を運用する予定であったが、新造する方針に切り替えられ、これに伴い4本が製造され、一部特別車の特急の運用に就いた。

その後、名鉄の特急政策の見直しにより2007年より1000系全車特別車及び1600系の置き換えのために5本を投入し、2008年には1600系改造の1700系と併結するための4編成分の16両を投入。2015年からは1030系の置き換えのために4本を投入し、さらに1700系置き換えのための無茶な発注分として2019年と2020年に4本分8両の特別車が落成。これにより6連17本102両体制となった。

構造[編集]

車体は全車共通で、19m級の鋼製車体となっている。前面も2000系に準ずるデザインとなったが、貫通扉ではなくただのダミーとなっている。ただし将来的に何かと繋げることを想定しているのか、両先頭車とも貫通幌を設置できるスペースは確保されている。外観の相違点として、この部分にマジックミラーが設置されていたが、2018年製造車以降は窓ガラスに切り替えられ、既存車もすべて交換された。ブタ鼻 また、一般車側には電気連結器を装備し、3R2車と併結して8両で運転することも可能。

特別車の構造は2000系に準じ、2+2の回転式リクライニングシート・LCD車内案内表示器を備える。トイレは洋式のものと男性用のものを設置している。また、網棚の下部にはランプを設け、停車前に点滅する仕組みとなっている。空港線特急向けの設備として大型荷物置き場を客室端部に備え、常滑~中部国際空港間ではBGM『Big Sunset』が流れる(一般車も同様)。

対して一般車は同時期に登場した3300系に準じ、ロングシートと転換クロスシートが約半分ずつの割合で配置され、LED案内表示器(2015年以降の製造車はLCD)が付いている。

ただし、2004年に製造された車両は一般車の転換クロスシートが2+2列となっているのに対し、2007年以降に製造された車両は2列+1列になっており、セミクロスシートなこともあって、全国的に見ても比較的珍しい形態となっている。

主要機器は170kWの三相誘導電動機&WNドライブ&IGBT素子のVVVFインバータ制御で、基本的に3300系と同仕様だが、ソフトを若干変更して起動加速度を2.3km/h/sに引き上げている。

台車はSUミンデン式のボルスタレス台車で、これは3300系の増備途上でダイレクトマウント空気ばね台車に切り替えられた後もすべて同じ仕様になった。形式は電動車がSS164系、付随車がSS064系だが、後述の経緯によりサ2400形30番台のみSS026系である。

編成構成[編集]

2200系・2300系
方向 豊橋



岐阜
構造 Mc1 T1 T2 M T2' Mc2
形式 モ2200 サ2250 サ2400 モ2450 サ2350 モ2300
1700系→2230系・2330系
方向 豊橋



岐阜
構造 Mc1 T1 T2 M T2' Mc2
形式 モ1700
→モ2230
サ1650
→モ2280
サ2430 モ2480 サ2380 モ2330

製造別概説[編集]

1次車[編集]

空港線開業に伴う一部特別車特急増発のため、2004年に製造。4本24両(2201F~2204F)が該当。

2次車[編集]

特急政策見直しの際、大量に残っていた全車特別車の1000系1600系を置き換えるため、2007年に製造。5本30両(2205F~2209F)が該当。

特別車では、車いす対応座席以外の一人掛け席を廃して荷物置き場に変更し、のちに1次車も改造で設置された。

一般車では先述の通り、転換クロスシートが2+1列に変更されている。同時期に製造された3150系と同様、細かい変更点として、クロスシート部分につり革が増設され、天井のラインデリア周辺の化粧板がFRPからアルミ素材に変わった。ちなみに、この5本のみ常滑 - 中部国際空港間で流れるBGMが当初は『Around the World』であったが、すぐに変更されている。

2330系[編集]

導入理由は上記2次車と同じであるが、一般車のみの製造となり、特別車は予算削減のため、特急政策見直しの対象車両の中でも車齢が若い1600系→1700系の一部車両をそのまま流用した。が、約10年後に編成中の1700系のみが置き換えられることになり、現在はただの飛び番号編成に近い形となっている(後述)。4本24両(1701F~1704F→2231F~2234F)が該当。

同時期に製造された3150系に準じ、方向幕がフルカラーLEDに変更され、内装では床のフットラインを廃して扉付近が黄色に着色された。本系列特有の変更点として、貫通扉ダミー部分のマジックミラーの形状が少し変更された。

中間車のサ2430のコンプレッサー・蓄電池・台車は、1700系に転用されずに廃車された1600系ク1600の廃車発生品を流用している。

1700系特別車との連結部分には段差があった。

3~5次車[編集]

パノラマスーパーのリニューアル対象外となった1030系を置き換えるため、2015年から2018年にかけて製造。なお、2015年時点で在籍する1030系よりも1本多い4本が製造されたが、後述の2230系増備による2330系の離脱時の予備車確保の目的、あるいは2003年に事故廃車となった1134F分の代替であると考えられる。3次車は2015年製造の2210F・2211F、4次車は2016年製造の2212F、5次車は2018年製造の2213Fが該当する。

外観の変更点として、窓下にも赤帯が塗装され、後に1700系や2200系の従来車にも波及した。なお、一般車側の貫通扉ダミーの形状は2330系と同じだが、特別車側はなぜか2次車以前と同じ形状となっている。

特別車では、予備座席確保の観点から一部の荷物置き場が一人掛け座席に変更。従来車にも反映され、1次車では撤去されてから再び設置されるという波乱の展開を辿っており、2次車に関しては窓なし座席という超異様なハズレ座席となった。尤も、予備座席なので予約でハズレ座席に当たることは基本的にないが。

一般車では昨年に登場した3300系3次車に準じ、スカートが大型のものへ変更され、LED行先表示器のROM仕様が若干変更されて種別部に淵が付きより見やすくなった。内装では一般車においてもLCD案内表示機が設置され、床は優先席付近を赤い色調とした。照明はカバー付きLEDとなり、従来車も順次交換された。

2230系(2200系6・7次車)[編集]

先述の1700系特別車のみを置き換えるため2019年と2020年に各4両ずつ導入。従来2330系に連結されていた1700系(特別車のみ)を置き換えた関係上、本形式も特別車のみの製造となった。

従来車よりバリアフリー機能を高めた9500系3500系リニューアル車に準じ、2号車の豊橋方に車いすスペースが設けられて、ドア上に開閉ランプが設置され、ドアチャイムの音色が少し低いものに変更された。

なお、名鉄公式の資料では2200系6・7次車、日本車両公式サイトでは2230系と表記される。

運用[編集]

2023年時点では一部特別車特急の設定のあるすべての線区で運用されていた。中部国際空港発着の一部特別車特急はダイヤ乱れやイベント時を除き、全て当系列にて運用される。2023年のダイヤ改正では土休日に存在していた広見線での運用が消滅したほか、知多新線での運用も1日1往復に削減された。また、西尾線に代走で入線することも無くなった。津島線・尾西線についても2024年のダイヤ改正で所定運用がなくなった。

また、2021年以降は一部の急行運用において特別車を座席指定で開放するというサービスも行われている。2023年現在、当系列で運用されるのは平日の674列車(新鵜沼→豊川稲荷)と611列車(豊橋→名鉄岐阜)が該当。

なお、名鉄における本形式の運用記号は「C2」である。

2030年頃、1200系がリニューアル時の想定使用年数に達し、順次置き換えられると思われるが、その代替として本系列が追加で増備されるかは不明。また、2024年以降に増備が進んでいる9100系20番台は貫通仕様だが、これに合わせて本系列のモ2300に貫通幌が設置されるかどうかは気になるところ。

編成表[編集]

編成番号 製造年 一般車座席 一般車車内案内表示器 行先表示機
2201F 2004年 ロングシート・
2+2列クロスシート
LED 特別車:LED
一般車:オーロラビジョン
2202F
2203F
2204F
2205F 2007年 ロングシート・
2+1列クロスシート
2206F
2207F
2208F
2209F
2210F 2015年 LCD LED
2211F
2212F 2016年
2213F 2018年
30番台(旧1700系)
2231F 特別車:2020年
一般車:2008年
ロングシート・
2+1列クロスシート
LED LED
2232F
2233F 特別車:2019年
一般車:2008年
2234F

関連項目[編集]

営業車
特急車
2000系系列 2000系 - 2200系・2300系
1000系系列 1000系・1200系 - 1800系
本線通勤車
3R車 3500系 - 3700系 - 3100系 - 3300系・3150系 - 9500系・9100系
6R車 6000系 - 6500系 - 6800系
機器流用車 5000系
地下鉄直通車 100系・200系 - 300系 - 500系(予定)
瀬戸線車 4000系 - 3300系
事業用車
機関車 EL120形
貨車 チキ10形 - ホキ80形
編成表 名鉄3R車の編成一覧 - 名鉄6R車の編成一覧