叶姉妹
叶姉妹(かのうしまい)は、叶恭子(かのう きょうこ)と叶美香(かのう みか)の2人からなるユニット。戸籍上の姉妹ではない。
モデル、テレビタレントなど活動は多岐に亘る。肩書として、かつては「トータルビューティーアドバイザー」「トータルライフアドバイザー」「ライフスタイルアドバイザー」を自称していたが、現在(2022年2月)は「セレブリティライフスタイルプロデューサー」を名乗っている[1]。 なお、セレブな生活を支える収入源について、2019年3月の報道は「30年以上前から株や為替、投資などをして」いると伝えた[2]。
来歴[編集]
「セレブ」という日本語は1990年代のスーパーモデルブーム(『ELLE』『VOGUE』)のころから使われているが、1997年に叶姉妹が『25ans』に出たのを契機に一般に広まった[3]。『25ans』初出は1997年3月号。このときは恭子と晴栄で出ている[4]。あまりの反響の大きさに、その後3年ほど「スーパー読者」[5]として登場[6]、女性読者からの熱狂的な支持を得る[7]。彼女らが愛用する各種商品は急に売れ出し、経済効果をもたらした。歯磨きは通常比5倍、ざくろジュースは同7倍売れたそうだ。地方都市の食品スーパーにまでざくろジュースが入荷して驚いた記憶がある。とくに恭子のおっぱいに使用した100グラム2万円のバストマッサージクリームはよく売れたらしい(AERAによる)[8]。
彼女らの登場は、読者モデルが一般的に注目されるきっかけになった[9]。また、時期を同じくしてワイドショー『スーパーワイド』『ジャスト』のコーナー「辛口ピーコのファッションチェック」[注釈 1]において、たびたび取り上げられるようになる。その後すぐに、『ジャスト』で「美は一日にして成らず」という女性の美に対する情報のコーナーをもつ。
2003年2月8日、富士急ハイランドに透明観覧車「スケルちゃんとスクムちゃん」が登場したが、そのオープニングセレモニーに招かれた。この時の肩書はタレント[10]。
2005年6月27日に関西テレビで放映された『快傑えみちゃんねる』に岡田美里が出演した際、「夫が女性から『ちょっと遊びませんか?』と誘われた」、興信所を使ったのか」などと発言。イニシャルと共に「あの大物姉妹」とのナレーションが流れたため、誰とは言わんが誰のことか特定可能な状態になった。これに対し叶姉妹側は「発言は真実ではない」とし、名誉毀損を理由に約1100万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴。東京地裁は2006年7月28日、「社会的評価に影響を与えた」と認定、岡田に約66万円の支払いを命じた[11]。
2007年12月25日22時ごろ、赤坂のマンションに帰宅した恭子と美香[注釈 2]に傘を突き立てて脅したとして、恭子の実父(当時の肩書は自営業)が逮捕された。彼は恭子とのあいだに金銭トラブルがあったという[12]。
2009年1月9日、公式ブログ『ABUNAI SISTERS』を開設。タイトルは叶姉妹をモデルとしたProduction I.G制作のアニメーションからとった。「ABUNAI」は恭子が考えたようで、アメリカのドラマ『HEROES』内でマシ・オカ演じるヒロ・ナカムラが発して世界的に流行った「ヤッター!」に続いて流行らせたいと思っているという。開設直後からランキングの上位の常連であり、2009年1月31日に芸能人・有名人部門のランキング1位を獲得している[13]。2009年7月ごろ、恭子のレーシック手術のため一時的に休止するが2009年8月26日に再開[14]。
2011年11月10日に放送された、フジテレビ『笑っていいとも』にゲスト出演した際、テロップで「芸歴26年」と表示され、コーナーの司会の山崎弘也も「芸歴26年」と紹介した。コーナー終了後のCM明けに高橋真麻が「先ほどの叶姉妹さんの経歴に関する情報は、全て間違いでした。お詫びして訂正いたします」と謝罪した[15]。
2014年、『サイゾーウーマン』に「叶姉妹は普段はジャージで移動で人の目の触れる場所ではセレブ姿になる」と書かれた。叶姉妹側の抗議に対し、サイゾーウーマン側は事実確認ができない内容として謝罪を掲載した[16]。
コミケに関して[編集]
2016年7月9日、あるTwitterユーザーが「最近の叶恭子さん、ジョジョみたいで最高じゃないですか?」[注釈 3]のコメントとともに、叶姉妹のブログに掲載されていた恭子のポージング写真をピックアップしてツイートし、多くリツイートされ反響を呼んだ。叶姉妹はTwitterにアカウントを持っていなかったが、同年7月13日のブログに「ジョジョの空条承太郎・東方仗助・DIOのような!?」のタイトルで、「話題になっていることが耳に届いていること、美香が『ジョジョの奇妙な冒険』を以前より愛読していること、この話題をきっかけに恭子も同作品に興味を持ったこと」などを記事にした[17]。
その後も度々サブカルチャーに興味を持っているとブログに掲載すると、姉妹のスタイルが2次元のキャラクターのようだと称えるコメントが寄せられることが増えた。その声に応えるように、アニメや漫画に登場する女性キャラクターのコスプレをして写真をアップする試みを始め、新たな読者層を獲得するようになった。
2人(特に美香)が漫画やアニメに理解があることが知られるようになると、コミックマーケットについての話題が寄せられ、興味を示すようになる。2016年12月に開催された冬コミ(C91)に足を運ぶ予定だとブログに掲載すると「支払いはカードではなく現金で。紙幣で用意するのであれば1000円札が望ましい」「広い会場を歩くのでヒールの高い靴は避けて」「参加者への差し入れは遠慮した方が良い」など、読者からアドバイスが寄せられ、姉妹はそれに素直に従う姿勢をみせた。実際に会場を訪れ、独特の雰囲気を体感すると「自分たちもサークル参加をしてみたい」と意欲を見せ始めた。
2017年の夏コミ(C92)に出展する旨ブログに記すと、申し込みの注意点や合否の有無などについて多くの意見やアドバイスがコメント欄に寄せられた。叶姉妹はそれらに目を通し、分からないことや疑問点を再度ブログ記事で投げかけ、それに対して読者がまたレスポンスするという形式を通した。その姿勢は同年8月11日の参加当日まで変わらなかった。
2017年8月11日、C92に「ファビュラス叶組」「プレシャスM組」としてサークル参加。グッズの頒布[注釈 4]は専属スタッフに一任し、姉妹はこの日のために製作した特製の名刺を来客一人一人に手渡して声をかけることに専念した。また、テンバイヤーによる高額転売を封じるように、即日、受注生産でグッズを追加製作・販売をする旨を発表した[18]。
翌12日、同人誌などを販売する「とらのあな」の新CM起用が発表された。すると「コミケ参加は(同CM出演の)宣伝・プロモーションだったのではないか?」など、憶測や揶揄する言葉がtwitterに複数流れた。それらの事態を受けて、8月14日に更新したブログにおいて「事実無根」であると否定。コミケ申し込みした時期とCMのオファーのあった時期では時系列が成り立たないことを挙げ、また、コミケ参加者及びその文化を大切にしている人々に失礼であると厳しく咎めた[19]。
同年12月29日、冬コミ(C93)にサークル参加。クリスマスデートの予定を全てキャンセルして、頒布する写真集3000冊に直筆のサインをする熱の入れようであった。前回同様、数時間待ちの行列が出来る人気ぶりで好評を得たが、今回で一旦サークル参加を控える旨を明らかにした。今後は、姉妹が自身の興味ある頒布物を入手する“一般参加”でコミケを楽しむつもりであるという[20]。
人物・エピソード[編集]
- 2000年のカンヌ映画祭のパーティーに用もないのにわざわざ出かけ、『A ONE AND A TWO』のヤン監督に二人でくっついて回って世界から激写された[8]。
- 女性問題に詳しいライター[注釈 5]の倉田真澄によると、本音を言えばみんなパラサイトな生活をしたいから、不労所得でゴージャスな生活をしている叶姉妹は「すばらしい勝者」であるという[8]。
オリジナルアニメーション[編集]
『ABUNAI SISTERS -KOKO & MIKA-』[注釈 6]は、2009年3月5日に発売された3DCGアニメーションのDVDである。
登場人物は叶姉妹をモデルとしている。イラスト原案は松下進、監督は中尾浩之が担当。『攻殻機動隊』で知られるプロダクションI.Gが制作。
発売にあたって、「予約数が集まるほど安くなるギャザリングシステム」を採用したうえでの完全予約制とした。価格は初値30,000円からスタート、購入申込み数が増えるほど段階的に下がる。90,001枚以上販売で底値2,500円になるはずだった。当初の予約締め切り日は2009年1月29日であったが、29日時点で約150枚ほどしか予約数が無かったので、急遽2月20日まで受付期限を延長した。2009年2月20日13:00に予約受付は終了し、最終予約枚数は265枚、価格は30,000円が確定した。
フィルモグラフィ[編集]
映画[編集]
- 『BUTTERFLISTA すべては、愛の行為。』(2010年)
テレビ[編集]
- 『わがまま☆フェアリー ミルモでポン! ごおるでん』 第7話「素直なフェアリー・ミルモ?」(2003年11月18日、テレビ東京系) - “ごおじゃす妖精姉妹” キョウラ(恭子)とミカリ(美香)※声優初挑戦作品
- 『モンすたージオ』(2004年 - 2008年、キッズステーション) - CGキャラクター、スーパービューティー「ココ」(恭子)と「ミカリン」(美香)※声優
- 『ヤッターマン』第7話「セレブ姉妹もつらいよだコロン!」 (2008年2月25日、ytv・日テレ系) - Themselves(クレジット表記はカノウ姉妹)※声優
映像作品[編集]
- 『KYOKO KANO+MIKA KANO LOVE&BEAUTY Ⅰ Make Love』(2001年9月19日、ポニーキャニオン)VHS、DVD
- 『KYOKO KANO+MIKA KANO LOVE&BEAUTY II Kissing』(2001年9月19日、ポニーキャニオン)VHS、DVD
- 『KYOKO KANO+MIKA KANO LOVE & BEAUTY Ⅲ Loving』(2001年10月17日、ポニーキャニオン)VHS、DVD
- 『KYOKO KANO+MIKAKANO Kyoko's Eyes MIRAGE』(2002年12月、ポニーキャニオン)DVD
- 『Kyoko Kano+Mika Kano SUPER BEAUTY』(2003年5月21日、ポニーキャニオン)DVD
- 『Kano Sisters FABULOUS MAX〜美しすぎる もうひとつのフルヌード写真集〜』(2004年7月、ポニーキャニオン)DVD
- 『Kyoko Kano+Mika Kano SUPER BEAUTY Ⅲ SEXY DIET with POLE DANCE』(2007年9月19日、ポニーキャニオン)DVD
ディスコグラフィ[編集]
- 『サルサ!アマイエクスタシー』(2000年9月、ダイキ) - 作詞:恭子、歌唱:美香
- 『O・SU・SO・WA・KE〜プルプルンのキュッのボン!〜』(2004年12月15日、ポニーキャニオン) - スーパービューティーミカリン+K with キューティーモンすたーズ名義
出版[編集]
- 『FABULOUS BODY―叶恭子+美香写真集』(2000年7月、バウハウス)
- 『月刊叶姉妹 special―Super celebrity Kano sisters』(2010年1月、新潮社)
- 『叶恭子 叶美香 写真集 Fabulous Hot』(2010年9月、講談社)
- 『ファビュラス 叶 コスプレアート写真集 FABULOUS COSPLAY WORLD』(2018年12月25日、玄光社)
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ↑ 叶姉妹 (2020年7月27日). “シャイニー・ビキニとストレスとの付き合い方”. 叶姉妹 公式ブログ - Powered by LINE. 2022年2月6日確認。
- ↑ “叶姉妹、収入の謎を明かす「株や為替、投資などを」”. nikkansports.com (2019年3月28日). 2019年3月28日確認。
- ↑ 冨永恵子「[セレブ]に踊らされる女たち」、『エコノミスト』第84巻第36号、毎日新聞出版、2006年、 。
- ↑ 「今年のスーツ「納得の選択眼」」、『25ans』第209号、婦人画報社、1997年3月1日、 44-45頁。
- ↑ 「2012 終わらない! 〝読モ″ブーム最前線」、『週刊プレイボーイ』第47巻第23号、集英社、2012年、 89ff、 EAN 4910206710626。
- ↑ “叶姉妹や十和子さんも! 25ansに登場したスターたち”. 25ans.jp. 株式会社ハースト婦人画報社 (2019年7月20日). 2025年10月22日確認。
- ↑ 水口陽子「美人の国へのパスポート 第56回 もえさんもカエラさんも叶姉妹までも話題の芸能人は“読モ”上がり!?」、『からだにいいこと』第7巻第7号、祥伝社、2011年、 56-57頁。
- ↑ a b c 吉田 2000, p. 54ff.
- ↑ “大出世の可能性ある読者モデル 1日のギャラ2000~5000円”. news-postseven.com (2011年1月21日). 2022年2月7日確認。
- ↑ “シースルー空中散歩!! 富士急ハイランドの透明観覧車にタレント乗車”. 読売新聞: p. 34. (2003年2月9日)
- ↑ ““イニシャルトーク”駄目 叶姉妹への名誉棄損認める”. 47news.jp (2006年7月28日). 2015年7月13日確認。
- ↑ “叶姉妹を傘で脅す 恭子さんの実父を逮捕”. 読売新聞: p. 26. (2007年12月28日)
- ↑ “叶姉妹ブログが「アメブロ」1位 恭子が喜びのKISS”. j-cast.com (2009年2月1日). 2013年4月26日確認。
- ↑ “叶姉妹、ブログ閉鎖の真相は“恭子のレーシック手術のため” 今月中に復活へ”. (2009年8月11日) 2022年2月7日閲覧。
- ↑ “叶姉妹の「芸歴26年テロップ」出てフジテレビが平謝りの裏”. news-postseven.com (2011年11月22日). 2022年2月7日確認。
- ↑ “中村うさぎ“叶恭子”めぐる抗議にオブジェクション!”. zakzak.co.jp (2005年10月18日). 2015年11月19日確認。
- ↑ 叶美香 (2016年7月13日). “ジョジョの空条承太郎・東方仗助・DIOのような!?”. 叶姉妹オフィシャルブログ「ABUNAI SISTERS」. 2021年7月13日確認。
- ↑ にいみなお (2017年8月11日). “冬コミにも意欲! 叶姉妹参戦のコミケで何が起きたのか? 時系列レポート”. kai-you.net. 2017年8月12日確認。
- ↑ “叶姉妹、コミケ出展「宣伝説」に激怒 「大変失礼」「事実無根の名誉毀損にも」”. j-cast.com (2017年8月14日). 2022年2月7日確認。
- ↑ “叶姉妹、“コミケファースト”貫く サークル参加終了で1000人超が行列”. oricon.co.jp (2017年12月29日). 2022年2月7日確認。
参考文献[編集]
- 吉田司「叶姉妹 恭子・美香 (現代の肖像)」、『AERA』第13巻第43号、朝日新聞出版、2000年、 54ff、 。
関連文献[編集]
- 佐藤茂、シーザー 『シーザーの憂鬱: ゴージャス姉妹叶恭子の捨てた猫』 モッツ出版、2000年。ISBN 4944214030。
外部リンク[編集]
- 叶姉妹オフィシャルブログ『ABUNAI SISTERS』 - Powered by Ameba(2009年1月9日 - )
- 叶姉妹オフィシャルブログ - Powered by LINE(2015年11月11日 - )
- SUPER BEAUTY 叶姉妹公認サイト
- 叶姉妹(@kano_sisters007) - Instagram(2016年11月1日 - )