社会工学研究所
株式会社社会工学研究所(しゃかいこうがくけんきゅうしょ)は、1969年に設立されたシンクタンク。略称は社工研[1]。2003年に解散したが、2007年に特定非営利活動法人社会工学研究所が設立された。
概要[編集]
1969年5月10日[1]、地域開発などに関連する生活環境産業を対象に、その研究、開発事業に協力するために設立された。資本金は2,000万円、株主は鹿島建設、大成建設、三井不動産、三菱地所、国土計画、西武科学、日本電気など12社。研究スタッフは渡辺茂、坂本二郎、黒川紀章など約60人。自前で研究して企業に売り込む自主研究と株主企業に委託を受けて研究する委託研究を行い、1969年時点では新宿副都心と藤沢西部ニュータウンにションピングセンターなどをつくるための自主研究、千葉県印旛郡にニュータウンをつくる計画の委託研究に取り組んでいた。また内部機構の海洋工学研究会がメーカーなどの依頼で海中ロボットを製造中である[2]。1972年に株式会社社会開発総合研究所(一時は財団法人の認可を受けた)が分離独立した[3]。
1986年時点の社長は牛尾治朗(ウシオ電機会長)、所長は黒川紀章。牛尾によると、社会工学研究所は堤義明が設立した会社であり、国土計画や三菱地所など大手建設・不動産会社がデベロッパー中心のシンクタンクをつくろうとして設立した。役員には西武に近い森田重郎などが入っていた。しかし、1年ぐらいで堤が向いていないとして手を引き、牛尾が引き受けたという[1]。牛尾の人脈で約200人の学者が集まり、登記上は「不動産の売買」などの目的も記載しているものの、各省庁の委託を受けて各種の調査・研究をする組織へと性格を変えた[1]。牛尾によると、仕事の半分以上は政府の仕事であるという[4]。資本金は4億6,000万円(1984年時点)、年商は約3億円[1]。主要研究員には香山健一、佐藤誠三郎、公文俊平がいる[4]。3人は大平正芳・中曽根康弘両内閣の有力ブレーンであり、佐藤と公文はシンクタンク「政策構想フォーラム」のメンバーでもある。1979年8月に刊行された自民党の“政策バイブル”とされる「自由民主党研修叢書」(全12冊、自由民主党編、自由民主党広報委員会出版局発行)は、香山健一、佐藤誠三郎、公文俊平、高坂正堯の4人と社工研メンバーの共同作業であるとされる[1]。
2003年12月24日をもって解散した[5]。2007年7月7日に特定非営利活動法人社会工学研究所が設立された[6]。代表理事は酒井均[6](元株式会社社会工学研究所代表取締役所長[5])。まちづくりをメインテーマとした活動を行っている[7][8][9]。
役員[編集]
1970年時点の役員は、代表:山崎和男、常務:黒川紀章、取締役:野川健次郎、牛尾治朗、中島正信、監査:杉本正根[10]。
1976年時点の役員は、社長:牛尾治朗、所長:黒川紀章、副社長:中村武嘉、取締:盛田昭夫、細萱尚孝、北野幾造、大森修、楠田実、監査:野川健次郎、松田章[11]。
1992年時点の役員は、代表取締役社長:牛尾治朗、代表取締役所長:黒川紀章、代表取締役常務:立林英昭、取締役:飯田亮、木暮剛平、細萱尚孝、大森修、増田勇、臺一郎、酒井均、春日曠、香田光昭[12]。
所在地[編集]
株式会社社会工学研究所の設立当初は東京都千代田区永田町のTBRビル内に事務所を置いていた[1]。のちに港区北青山の青山ビル[13]、港区元赤坂の赤坂パレスビル[14]、港区元赤坂のグランドメゾン元赤坂に移転した[15]。
特定非営利活動法人社会工学研究所は東京都目黒区緑が丘に事務所を置いていたが[16][17]、2018年10月1日から山口県岩国市横山の岩国事務所を拠点に活動している[18]。
出典[編集]
- ↑ a b c d e f g 上西朗夫『ブレーン政治』講談社現代新書、1985年、106-109頁
- ↑ 「ビジネス・ニューズ/国内」『マネジメント』第28巻8号、1969年7月
- ↑ 『視聴覚教育業界銘鑑 1976年版』工業市場研究所出版部、1975年、66頁
- ↑ a b 毎日新聞政治部『自民党-転換期の権力』角川文庫、1986年、22-23頁
- ↑ a b ようこそ株式会社社会工学研究所へ 社会工学研究所
- ↑ a b 組織概要 社会工学研究所
- ↑ 設立趣旨 社会工学研究所
- ↑ 事業内容 社会工学研究所
- ↑ 活動実績 社会工学研究所
- ↑ 『産経会社年鑑 第9版』産業経済新聞社年鑑局、1970年、600頁
- ↑ 『会社総鑑 1976年版』日本経済新聞社、1976年、2283頁
- ↑ ユー・シー・プランニング編『総覧都市開発機関 1992』ユー・シー・プランニング、1991年、222-223頁
- ↑ 『出版年鑑 1974年』出版ニュース社、1974年、1289頁
- ↑ 『人口のJ・Uターン現象における要因構造分析 (NRS-74-2)』社会工学研究所、1976年
- ↑ 『シンクタンク年報 1983-84』総合研究開発機構、1984年、620頁
- ↑ 社会工学研究所 東京都生活文化局
- ↑ 特定非営利活動法人社会工学研究所の情報 国税庁法人番号公表サイト
- ↑ 社会工学研究所 社会工学研究所
関連項目[編集]
- 合田周平(海洋工学研究会運営委員会代表)