台風の当たり年
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台風の当たり年(たいふうのあたりどし)は[1]、台風の襲来・上陸が平年よりも多く、台風災害が大きかった年を指す言葉である。ただし「当たり年」という言葉は本来、「縁起の良い年」「幸運に恵まれた年」などという意味であるため、災害をもたらす台風について用いるのは不適切だという指摘もあり[2]、使用の際は注意が必要である[3]。
過去の主な「台風の当たり年」[編集]
- 1959年
- 何といっても9月に紀伊半島に上陸した台風15号(伊勢湾台風)による被害が甚大。紀伊半島(和歌山県)の潮岬西方に上陸して本州を縦断した同台風により、伊勢湾で記録的な高潮が発生、名古屋を含む愛知県と三重県を中心に5,000人以上が死亡し、明治以降最悪の台風災害となった。
- この伊勢湾台風のインパクトがあまりにも大きすぎるためか、あまり知られていないが、この年は8月の台風7号や9月の台風14号(宮古島台風)なども大きな被害をもたらしている。
- 1990年 [4]
- 日本への台風上陸数は6個と、平年の3個の倍となり、1951年の統計開始以降では当時史上最多となった[5]。
- 特に、9月に紀伊半島(和歌山県)に上陸した台風19号による被害が甚大であった。1961年の台風18号(第二室戸台風)以来の勢力ともいわれたこの台風はいわゆる雨台風であり、豪雨による水害が甚大で、西日本では総降水量が1,000mmを超えるほどであった[6]。
- さらに、12月を目前に控えた11月30日には季節外れの台風28号が紀伊半島(和歌山県)に上陸し、史上最も遅い時期の上陸となった。
- この年は台風19号・28号の他にも、台風20号・21号も同じ紀伊半島(和歌山県)に上陸している。
- 1991年
- 9月の台風19号が甚大な被害をもたらした。この台風は、1954年に北海道に大きな爪痕を残した台風15号(洞爺丸台風)と似た経路を辿り、中止気圧940hPaという戦後5番目に強い勢力で長崎県に上陸したのち猛スピードで日本海を北上、衰えずに強い勢力を維持したまま北海道に再上陸した。洞爺丸台風と同様に典型的な風台風でもあり、全国各地に記録的な暴風をもたらした。青森県では収穫前のリンゴの落果の被害が大きく、俗称で「リンゴ台風」と呼ばれた。
- 1993年
- 日本への上陸数は6個と、1990年と並んで当時史上最多となった[5]。
- 9月に台風13号が中心気圧930hPaという伊勢湾台風に匹敵する戦後3番目の勢力で鹿児島県に上陸し、大きな被害を出した。
- この年の鹿児島県は、平成5年8月豪雨(鹿児島豪雨)をはじめとする風水害に相次いで襲われていたため、この台風が追い打ちをかける形となった。
- 2004年
- 台風発生数は29個とほぼ平年並みであったにもかかわらず、日本への台風上陸数はなんと10個で、平年の3個の3倍を超え、上陸率は3分の1を上回り、それまでの最多記録であった1990年・1993年の6個を大幅に更新して史上最多記録を打ち立てた[5]。日本への台風接近数も19個と1960年・1966年と並ぶ歴代最多タイを記録し、南西諸島(沖縄)への台風接近数も15個と過去最多となった。
- 本土に上陸した台風は、4号・6号・10号・11号・15号・16号・18号・21号・22号・23号で、これらはいずれも甚大な被害をもたらしたが、特に被害が深刻だったのは、風台風であった台風18号と雨台風であった台風23号であり、中でも台風23号による被害(犠牲者数)は、平成に入ってから最悪のものであった。
- またこの年は、新潟・福島豪雨や福井豪雨、浅間山噴火、台風23号上陸から3日後の新潟県中越地震など、台風以外の自然災害も多かったため、今年の漢字が「災害」の「災」になった。
詳細は「2004年の台風」を参照
- 2013年
- 台風発生数は31個と、1994年以来19年ぶりに30個を超えた。
- 9月に愛知県に上陸した台風18号では、同年8月から運用開始となった特別警報が初めて発表されるに至った。
- 10月に関東地方に接近した台風26号では、伊豆諸島の伊豆大島で豪雨による土石流が発生し、甚大な被害が出た(伊豆大島土砂災害)。
- 11月に発生した台風30号は「スーパー台風」となってフィリピンを直撃し、記録的な高潮を発生させて、6,000人を越す犠牲者を出すなど壊滅的な被害をもたらした。
- このため、日本のみならずフィリピンにとっても「台風の当たり年」となった。
- 2016年
- この年の台風はとにかく「異例ずくめ」であった[7]。
- 台風1号の発生が7月と記録的に遅くなり(過去2番目の遅さ)、台風空白期間の長さも史上最長を記録したが、それ以降は遅れを取り戻すかのように相次いで台風が発生したため[7]、結果的に年間の発生数は平年並の26個になった[8]。
- 日本への上陸数は6個と、1990年・1993年と並び、2004年に次ぐ統計開始以来2位タイの多さであった[5]。
- この年は台風銀座と呼ばれて毎年のように台風に襲われる西日本(沖縄・九州・四国・紀伊半島)よりも、普段はあまり台風が来ない東日本や北日本に接近・上陸した台風が多く、特に北海道への接近数は5個と、統計開始以降最多となった[8]。
- 北海道に2個、再上陸も含めて3個の台風が上陸し(台風7号・11号は直接上陸し台風9号は再上陸)、さらに迷走した台風10号は東北地方の太平洋側(三陸地方の岩手県)に上陸したが、いずれも史上初の出来事となった[8]。また、これで8月の台風上陸数は4個となり、ひと月の上陸数としては、1954年9月・1962年8月と並んで最多タイとなった[8]。
- 日本には上陸していないが、発生が非常に遅かった7月の台風1号は、1号でありながら初めて猛烈な勢力にまで発達するなど、台風としての記録を多数残したほか、9月の台風14号は、中心気圧890hPaという、2013年にフィリピンを襲った台風30号に匹敵する記録的な勢力にまで発達した。
- 2018年
- 台風発生数は29個、日本上陸数は5個と、いずれも平年を上回った。
- 台風7号は西日本豪雨の遠因となったほか、台風21号は25年ぶりに非常に強い勢力で徳島県に上陸し、大阪湾で高潮を発生させて関西空港を大規模に浸水させるなど、近畿地方を中心に甚大な被害をもたらした。
- この年は2月の北陸豪雪や4月の島根県西部地震、6月の大阪北部地震や7月の西日本豪雨・猛暑、9月の北海道胆振東部地震など、台風以外の自然災害も多発したことから、2004年と同様に今年の漢字が「災害」の「災」となった。
- 2019年
- 発生数は29個、上陸数は5個と、いずれも前年(2018年)と同じであった。
- 特に台風15号(房総半島台風)と19号(東日本台風)による被害が甚大であった(いずれも関東など東日本に上陸)。
- 関東地方に上陸した台風としては史上最強クラスの勢力だった9月の台風15号は、大型ではなくコンパクトなサイズのいわゆる豆台風であったが、同時に風台風でもあったため、千葉県を中心に記録的な暴風をもたらし、房総半島のあちこちに甚大な風害をもたらした。
- 10月の台風19号は、15号の10倍にもなる大型の台風で、気象庁は1958年の台風22号(狩野川台風)に匹敵するレベルとして警戒を呼びかけた。こちらは典型的な雨台風で、東日本の各地で記録的な大雨となり、千曲川(長野県)や阿武隈川(福島県)などの多くの河川が氾濫して甚大な水害をもたらした。
- なお、これは余談であるが、この年の台風1号は元日に発生しており、これは史上最も早い記録である。
脚注[編集]
- ↑ 『当り年』 - コトバンク
- ↑ 「台風の当たり年」という言い方は? - NHK
- ↑ 【ここで間違う】第30回 台風の当たり年 - 毎日新聞
- ↑ 台風の当たり年 年6回上陸 11月末上陸 いずれも観測史上の新記録
- ↑ a b c d 上陸数 - 気象庁
- ↑ 災害をもたらした気象事例 前線・台風第19号 平成2年9月11日~9月20日 - 気象庁
- ↑ a b 2016年の台風は異例ずくめ!? - ウェザーニュース
- ↑ a b c d 2016年の台風について(PDF)