イオン化列

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イオン化列とは、イオン化傾向が大きい順に金属の並べた列である。イオン化序列とも。

概要[編集]

水溶液中では水素も反応に関与するので金属とともに列に含まれる。 主要な金属と水素は以下のようなイオン化列を成す。

Li>Rb>K>Ba>Sr>Ca>Na>Mg>Al>Mn>Zn>Cr>Fe>Cd>Co>Ni>Sn>Pb>H>Sb>Bi>Cu>Hg>Ag>Pd>Pt>Au

応用[編集]

イオン化傾向が大きいほど酸化物水酸化物などの化合物で存在しやすく、小さいほど単体で存在しやすい。 例えば、金や銀は錆びにくいが、銅は緑青になり、鉄は赤さびになる。 亜鉛と鉄からなるトタンは傷ついても亜鉛が溶け出す一方、錫と鉄からなるブリキは鉄が先に溶け出すのもイオン化列から理解できる。

人類の歴史においても、イオン化列は深く関与している。イオン化傾向が小さい金属は精錬しやすいので、早期に加工技術が発達してきた。 金は古代から装飾品にされ、"金"属の名前や各金属に金偏があるなど貴金属の代表である。 続いて銅と錫からなる青銅の時代になり、現代でも銅の安価さや電気と熱の伝導性、軽さから様々な目的で使用される。 ヒットタイトの滅亡によって製鉄技術が伝搬していくと鉄器の時代となり、鉄は地球に大量に存在することも相まって現代にいたるまで主要な金属となった。株式市場などにおいても鉄は非鉄金属と別とされる別格の金属である。 さらに、時代が下ると電気化学の発達によって電気分解によるイオン化傾向のより大きい元素の精製が始まった。特に工業的なボーキサイトからのアルミニウム精錬は大量の電力を必要とし、電気の技術が発展するまで待たねばならなかった。その後はアルミニウムは鉄よりも軽量な金属として、また合金の材料として様々な場所で使われている。 さらにイオン化傾向の大きいナトリウムなどにおいては、空気中でみるみる酸化する上に、水に入れると文字通りに爆発的な反応を示して水酸化物などを発生する。そのため、金属状態で保存するために石油系の液体中で保存する必要があるほどで、金属材料として用いられない。