アルバニア鉄道

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Hekurudha Shqiptare
Hekurudha Shqiptare
Hekurudha Shqiptare.svg.png
種類 株式会社
略称 HSH
本社所在地 アルバニア国旗.png アルバニア
ドゥラス
業種 運輸業
事業内容 旅客輸送/貨物輸送
代表者 ゲンツ・アリオティ
従業員数 1100人
外部リンク https://hekurudha.al

アルバニア鉄道(アルバニア語:Hekurudha Shqiptare、略称:HSH)とはアルバニア鉄道事業を行う鉄道事業者である。HSHネットワークは全て標準軌で全長は447kmに及ぶ。HSHの本社は港湾都市ドゥラスにある。

2016年末にアルバニアでは経済的な理由で鉄道運行が完全に停止された。

歴史[編集]

アルバニアの最初の鉄道路線はドゥラスとペキンの間に鉄道が建設された。1947年11月7日に 開通した標準軌線は第二次世界大戦前の狭軌線を基に建設された。その2年後にはかつてイタリア王国が計画したティラナとドゥラスを結ぶ全長38kmの路線が開通した。その後路線網は徐々に拡大され、特にポグラデツへのルートは多数の橋とトンネルができ、技術者には話題となった。

国際路線への接続はモンテネグロ(ポドゴリツァ=シュコドラ線)のみとなっており、初の国際列車の運行は1986年シュコドラポドゴリツァ(当時はユーゴスラビア)の間で行われた。しかしコソボの問題によってユーゴスラビアとアルバニアの間で政治的緊張が高まり、手続きが遅れていた。2025年現在この路線は唯一の国際路線であり、現在でも貨物列車のみが運行されている。ユーゴスラビア鉄道によると1990年代前半はこの路線で174,300tの貨物が輸送された。

1990年代には破壊者や鉄くず泥棒がモンテネグロ方面への路線で客車を破壊してレールを盗んだ。HSHはこの路線を全面的にかつ部分的に運休せざるを得なかった。輸送量は大幅に減少し、さらに旅客輸送はますます道路に移行していった。一部の支線では旅客輸送が休止・廃止された。

2003年にはモンテネグロへの接続が再開されたものの、貨物輸送のみの運行である。

イタリアの鉄道工兵連隊は開発援助の一環としてこの路線の建設に参加した。

路線網[編集]

2021年よりドゥラス=ティラナ線の路線の改修工事が開始された。全面改修をするためレールは全て撤去されためこの路線では全面運休となった。ティラナ駅も移転する。

ミロト=ラシェン線は1997年以降部分的に廃止された。撤去されたレールはシュコドラ北部の路線の再建に再利用された。1980年代にはラシェンからブレルを経てクロスまでの路線を延長する工事が進行中だった。

2000年代以降リブラジュド-ポグラデツ間、バルシュ、ヴロラなど周辺路線が廃止されていった。ポドゴリツァ-シュコドラ間も1990年代以降長期間不通だった。2018年に新会社アルブレイルは復旧したフィエルからヴロラ間で旅客列車の運行を開始した。

現在[編集]

冷戦後、鉄道のその重要性をかなり失った。ほとんどの旅行者はバス自動車を利用するが、安全ではないものの、道路網の拡張により遥かに速く移動できるようになった。共産主義政権の崩壊とともに多くの工場が閉鎖したため貨物輸送も激減した。

意図的な破壊と資金不足によりHSHは荒廃した状態に陥った。車両の質は劣悪である、車両はオーストリアドイツイタリアの客車が使われており、機関車はチェコ製のものが使われている。その他の形式は全て廃車された。構造が非常に悪いため、速度は非常にゆっくりで速度は50km/hにも達さない。最高速度は速くても60km/hである。

2007年まではティラナ-ドゥラス間で1日10往復とバルカン半島では普通の輸送形態で列車が運行されており、エルバサンを除いて他のルートにも1日2往復ずつ列車が運行されていた。これらの本数は2007年以降減便された。

アルバニアに列車種別はひとつだけある。つまり普通しかないということ。鉄道運賃は非常にお手頃な価格で、速度は遅いが鉄道は一定の競争力を持っている。一方、旅客輸送での利益が少ないためか、近代化への投資は不可能である。

モンテネグロへの路線の再開によって、貨物輸送量は一定数増加した。2002年にHSHの輸送実績は旅客1億2400万km、貨物2100万kmに達した。

2012年にリブラジュド-ポグラデツ間が廃止された。

2013年にヴォラとティラナ間の輸送は、駅が市の外側に移転されることになったため休止された。ティラナの新しい駅は国際・国内路線のバスターミナルとしても機能しそこから路面電車で市内へ乗客を運ぶものである。工期は約36か月と見込まれていた。しかし2016年時点で工事は開始されていなかった。2015年5月にカシャールに新しい駅が開業し、ヴォラ-カシャール間の輸送が再開された。2016年には経済的な問題でドゥラス-ティラナ間は1日2往復に減便された。2015年にはフィエル=ヴロラ線の運行が停止されたが、2016年に再開された。

2015年10月、運輸省 (アルバニア)は、フィエルからバルシュおよびヴロラまでの路線の改修および運営の委託を、Alb-StarMatrix Konstruksionという2つの企業に与えたと発表した。しかし、契約書はまだ作成されておらず、作成する必要があった。運行再開は46か月後を予定している。 バルシュ周辺の油田からヴロラの石油港近くの工業団地への石油輸送のために2000万ドル投資される話がある。

2016年3月ディーゼル機関車の燃料を購入する資金がなくなったので、数日間運行を完全に停止した。その後、輸送はさらに減少した。HSHの社長であるゲンツ・アリオティは、2016年4月のインタビューで、HSHの今の状況について語った。特にキュリュム・インターナショナルの破産により大規模な貨物輸送の受注が失われ、状況は著しく悪化していた。ティラナ駅の閉鎖により、2013年と比較して乗客数は約50%減少した。にも関わらず、アルバニア政府は鉄道に対し最小限の投資しか行っておらず、そのためか過去20年間では主に「過去の豊かさに甘んじてきた」状態だった。HSHは生計を何とか立てるために大量の金属スクラップを売却した。政府は長期的な戦略が欠けており、これまで計画されてきたことは一度も実行されていない。2016年6月、何ヶ月も給料を受け取っていなかったHSHの労働者がストライキを起こした。あんな会社がまともに見えてくる

2016年10月9日より、経済的な理由でアルバニアでは鉄道運行が停止された。2017年には一部路線で運行が再開された。2019年に民間企業がフィエルとヴロラ間で貨物輸送を運行した。2019年11月の地震以降、ヴォラ-マムラス間のイシャム川の橋が損傷したことによって不通となった。2019年にはまたもや燃料不足のために運行停止をした。新型コロナウイルスパンデミックに伴い、旅客輸送は数週間輸送を停止した。旅客列車は2020年、7月10日から8月31日までしか運行されなかった。ドゥラスからティラナ間の路線の改修のためレールが撤去されたため、ここでは列車が運行できなくなった。2022年にはドゥラス-エルバサン間で運行が再開された。

2018年には1日200人、年間約7万5000人が輸送された。

車両[編集]

HSHはチェコ製のT669形ディーゼル機関車を約25両保有している。客車は以前ドイツ鉄道オーストリア連邦鉄道トレニタリアで運用されていた旧型客車で構成される。

将来[編集]

2016年の計画ではドゥラス港での接続を改善することだった。

外国の支援よってティラナ-ドゥラス間の改修工事が行われ全面改修が繰り返し発表された。ティラナの新しい路線のシステムの一環としてティラナ空港までの接続が検討された。2003年末、この空港接続と、ティラナ-ドゥラス間の最高速度を90km/hに引き上げの路線の近代化で米国企業のジェネラル・エレクトリック社とで合意した。この目的のためには踏切や安全装置などを設置する必要がある。このプロジェクトは2005年の選挙前に議会によって承認された。

2016年に欧州復興開発銀行がアルバニアのティラナ=ドゥラス線の改修と空港接続のための路線の建設の資金3690万ユーロの投資を行うと発表した。この路線は引き上げられて最高速度100km/hで運行できるようになる。

また外国の路線の追加接続について頻繁に議論されているのはドゥラスからスコピエソフィアヴァルナを結ぶ汎ヨーロッパ回廊8号線の拡張である。これはTEN-T回廊の枠組み内でこれは未開通の回廊路線で、ポグラデツより北のリン (アルバニア)からオフリド湖の北岸を通って北マケドニアキチェヴォまで至る新線を開通させる予定である。この新線区間はアルバニア国内では3km、北マケドニア国内では60kmを超える。この路線の国境検問所はオフリド湖のそばで高さ725kmと、アルバニア政府と北マケドニア政府が合意した。この路線のプロジェクトは2009年から開始される予定だった。2012年12月にこの路線計画に入札がかけられた。アルバニア側は2016年に資金以外は全て準備できていると発表した。北マケドニアはこのプロジェクトの資金調達方法は不明確である。そもそも近年政権が変わって北マケドニアはこの路線の計画を放棄した。

他にもTEN-Tの一部であるリブラジュド-ポグラデツ間の復旧、ポグラデツからギリシャフロリナまでの路線、ミロトからコソボのプリズレンまでの路線などの計画も存在している。

外部リンク[編集]

関連項目[編集]