自由キャリア吸収
自由キャリア吸収とは、物質が光子を吸収し、キャリア(電子または正孔)がすでに励起されている状態から、同じバンド(異なるバンドの場合もある)内の別の非占有状態へと励起されるときに起こる現象である。このバンド内吸収は、励起されたキャリアが既に励起バンド内にあり、自由に移動できるため、バンド間吸収とは異なる。バンド間吸収では、キャリアは固定された非伝導バンドから伝導バンドへと励起される。
最も単純な近似であるドルーデモデルでは、自由キャリアの吸収は波長の2乗に比例する。
量子力学的手法[編集]
固体中の電子と正孔の光学遷移は、物質の物理的特性を理解するための有用な手がかりとなることはよく知られている。しかし、キャリアの振舞は、周期的な格子ポテンシャルだけでなく他のキャリアの影響を受ける。さらに各電子の熱揺らぎも考量する必要がある。そのため、統計的なアプローチが必要である。適切な精度で光学遷移を予測するには、伝導帯の電子と価電子帯の正孔について、準熱分布の仮定と呼ばれる近似を選ぶ。この場合、熱分布関数を導入することで、密度行列の対格成分は無視することができる。
これは電子エネルギーの分布に関するフェルミ=ディラック分布である。したがって、全ての可能な状態(lとk)について総和を取ると、キャリア総数が得られる。
光学分極[編集]
上記の分布関数を用いると、密度行列の時間変化を無視できるため、解析が大幅に簡素化される。
光の偏光は、
この関係とフーリエ変換を調整すると、光学分極率は、
吸収係数[編集]
遷移振幅はエネルギーの吸収に対応し、吸収されたエネルギーは光伝導率に比例する。よって、電子構造の解明に重要な量である吸収係数を得るために光学分極率を使用する。
自由キャリアのエネルギーは運動量の二乗に比例する()。バンドギャップエネルギーと電子-正孔分布関数を用いることで、いくつかの数学的計算を経て吸収係数を導出できる。
この結果、金属及び半導体の光学測定データと電子測定を理解する上で重要である。物質が誘導放出を促進する場合、吸収係数は負となる。これはレーザー(特に半導体レーザー)の動作の基礎である。