扶桑 (戦艦)
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扶桑（ふそう）は、大日本帝国海軍の戦艦。扶桑型戦艦の1番艦である。艦名は日本の異称である扶桑に由来する。
概要[編集]
扶桑は、八八艦隊計画の一環として建造された日本海軍初の超弩級戦艦である。設計は金剛型戦艦の経験を活かし、主砲配置に革新的な試みがなされた。しかし、その配置は後に様々な問題を引き起こすこととなる。
艦歴[編集]
就役後、扶桑は主に訓練や演習に従事した。第一次世界大戦には参戦することなく、戦間期には近代化改装が複数回行われた。
近代化改装[編集]
扶桑は就役後、数度の近代化改装が行われた。
- 1923年（大正12年）～1924年（大正13年）：第一次近代化改装。主として機関の換装、煙突の結合、艦橋構造の整備が行われた。
- 1930年（昭和5年）～1933年（昭和8年）：第二次近代化改装。船体延長、主砲塔の仰角増大、対空兵装の強化、水中防御の改善など大規模な改装が行われた。この改装により、独特のパゴダマストがさらに巨大化した。
太平洋戦争[編集]
太平洋戦争開戦時、扶桑は老朽化が進んでいたが、その巨体と主砲の威力は依然として侮れないものであった。主に本国での訓練、警備任務に従事し、実戦参加の機会は少なかった。
- 1944年（昭和19年）10月：レイテ沖海戦に西村艦隊の一員として参加。スリガオ海峡夜戦において、アメリカ海軍の駆逐艦と魚雷艇による攻撃を受け、集中砲火を浴びた。
- 1944年（昭和19年）10月25日：スリガオ海峡にてアメリカ海軍駆逐艦の雷撃を受け、さらに炎上、弾薬庫に引火し大爆発を起こして沈没した。艦長の阪埜順久少将以下、乗員はほとんどが戦死した。
艦体と兵装[編集]
扶桑の設計は、それまでの日本戦艦の集大成ともいえるものであった。
主砲[編集]
主砲は35.6cm（14インチ）45口径連装砲を6基12門搭載。このうち3番、4番砲塔は中央部に集中配置され、射撃指揮上の問題や誘爆の危険性が指摘された。
集中防御方式[編集]
当時の戦艦としては珍しく、主要部を集中して防御する「集中防御方式」を採用。これは後の戦艦設計にも影響を与えた。
機関[編集]
竣工時はパーソンズ式蒸気タービンと石炭・重油混焼缶を搭載していたが、近代化改装により全て重油専焼缶に換装された。これにより、速力と航続距離が向上した。
豆知識[編集]
- 扶桑は、その独特な艦橋構造から「パゴダマスト」と形容された。これは、艦橋が多数の構造物で構成され、まるで日本の仏塔のように見えるためである。
- レイテ沖海戦での扶桑の最期は、日本海軍の戦艦部隊の壊滅を象徴する出来事の一つとなった。
- 扶桑の艦名は、日本の異称である「扶桑」に由来する。古くは中国の伝説上の木を指し、後に日本の美称として用いられるようになった。
関連項目[編集]
参考文献[編集]
- 歴史群像太平洋戦史シリーズVol.56『扶桑型戦艦』（学習研究社、2006年）
- 光人社NF文庫『日本戦艦物語』（光人社、2004年）