伊勢 (戦艦)
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伊勢(いせ)は、大日本帝国海軍の戦艦。伊勢型戦艦の1番艦である。艦名は伊勢国に由来する。
概要[編集]
伊勢は扶桑型戦艦に続く、日本海軍が建造した超弩級戦艦である。八八艦隊計画の一環として建造が計画され、川崎造船所で建造された。
第一次世界大戦末期に竣工し、その後のワシントン海軍軍縮条約やロンドン海軍軍縮条約の影響を受けながらも、太平洋戦争開戦まで主力艦の一翼を担った。
艦歴[編集]
- 1915年5月10日:川崎造船所にて起工。
- 1916年11月12日:進水。
- 1917年12月15日:竣工。横須賀鎮守府に配属。
- 1921年:加賀、土佐などとともに、ワシントン海軍軍縮条約に基づく主力艦保有制限の対象となるが、最終的に保有が認められる。
- 1930年代:近代化改装を実施。主砲の換装、対空兵装の強化、機関の換装、艦橋構造の改正などが行われる。
- 1937年:日中戦争勃発に伴い、中国沿岸警備活動に従事。
- 1941年12月8日:太平洋戦争開戦。真珠湾攻撃には参加せず、本州方面の警備に従事。
- 1942年:ミッドウェー海戦に参加。しかし、航空機による攻撃は行われず、目立った戦果はなかった。この海戦での航空機の有用性を鑑み、戦訓から航空戦艦への改装が検討される。
- 1943年:後部主砲塔を撤去し、航空甲板と航空機格納庫を新設する航空戦艦への大改装が行われる。この改装により、水上偵察機を運用する能力を獲得した。
- 1944年10月:レイテ沖海戦におとり部隊として参加。小沢治三郎中将率いる機動部隊の一員として、米機動部隊を引きつける役割を担った。多数の空襲を受けるも沈没は免れた。
- 1945年7月28日:呉軍港空襲により、アメリカ海軍の空母艦載機による猛攻を受け、多数の爆弾とロケット弾が命中し大破着底。
- 1946年から1947年にかけて:呉港にて解体された。
豆知識[編集]
- 伊勢は就役から解体まで、一度も戦艦としての砲撃戦を行う機会がなかった。
- 航空戦艦への改装は、当初は航空母艦への全面的な改装も検討されたが、工期の長さや資材不足から断念された。
- レイテ沖海戦では、搭載機である彗星や瑞雲は出撃機会がほとんどなく、航空戦艦としての能力を十分に発揮することはなかった。
関連項目[編集]
参考文献[編集]
- 歴史群像太平洋戦史シリーズVol.56『伊勢型戦艦 航空戦艦への道』学習研究社、2006年。
- 呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)編『戦艦「大和」建造とそれから』呉市海事歴史科学館、2021年。