夢洲

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夢洲は、日本の大阪府大阪市此花区に位置する人工島であり、大阪湾北港エリアに属する。面積は約390ヘクタールで、島内には夢洲中および夢洲東という町丁が設置されている。2025年に開催される大阪・関西万博の会場として注目されており、さらに統合型リゾート(IR)の建設も予定されている。将来的には国際観光・交流拠点としての役割が期待されている。

地理[編集]

夢洲大阪市の最西端に位置し、北東に舞洲、南東に咲洲が隣接している。大阪湾に面したこの島は、埋立によって造成された埋立地であり、地形は平坦で広大な空き地が広がっている。南西部では新島地区の建設が進行中であり、完成すれば大阪市の最西端はそちらへ移る見込みである。

歴史[編集]

造成と命名[編集]

1977年(昭和52年)、大阪市は埋立免許を取得し、廃棄物処分地としての整備に着手した。大阪湾の浚渫土や建設残土、一般ゴミなどの処分場不足が深刻化していたことから、夢洲はその解決策として誕生した。1991年には公募により「夢洲」と命名され、土地造成事業が本格化した。名称の由来は、藤原敏行の和歌「住江の岸による波よるさへや夢の通ひ路人めよくらむ」に基づいており、夢と現実が交差する場所という意味が込められている。

開発構想と挫折[編集]

1988年には「テクノポート大阪」構想が発表され、夢洲は6万人が居住する新都心として開発される予定だった。しかし、バブル景気の崩壊により計画は頓挫し、2008年には正式に白紙撤回された。また、2008年夏季オリンピック大阪オリンピック構想では、舞洲に競技施設、夢洲に選手村を整備する計画があったが、2001年のIOC総会で北京に敗れ、実現には至らなかった。

交通インフラ[編集]

産業・施設[編集]

夢洲の東側には物流施設が整備されており、水深15mの高規格コンテナターミナルが2つ存在する。コンテナ荷役はエバーグリーン・マリン東京船舶が担っており、7,000個台のコンテナ船が入港可能な岸壁も建設中である。主な施設には以下がある。

大阪・関西万博[編集]

夢洲2025年4月13日から10月13日まで開催される2025年大阪・関西万博の会場として選定された。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン(Designing Future Society for Our Lives)」であり、約2800万人の来場が見込まれている。会場のシンボルは大屋根リングで、内側に海外パビリオン、外側に日本企業の展示が並ぶ。公式キャラクターはミャクミャク

統合型リゾート(IR)構想[編集]

2014年橋下徹大阪市長が夢洲IR候補地として提案。MGMリゾーツ・インターナショナルオリックスの連合体が事業者に選定され、2030年頃の開業を目指している。IRにはカジノホテル国際会議場などが含まれる予定で、夢洲駅がその玄関口となる。液状化対策などに大阪市が約790億円を負担することが明らかになっており、財政面での議論も続いている。

評価と課題[編集]

夢洲はかつて「負の遺産」とも呼ばれた。広大な空き地と莫大な造成費用(約2800億円)に対する批判があったためである。しかし、廃棄物処理の必要性や将来的な都市開発の可能性を考慮すると、否定的な評価ばかりではない。大阪市の長期収支見込みでは、物流・産業ゾーンとしての活用により10年間は資金不足にならないとされている。