地動説
地動説(ちどうせつ、英:Heliocentrism)とは、太陽が宇宙の中心にあり、惑星がその周りを回っているという説のこと。なお、現在は宇宙の中で太陽や地球は宇宙の中心といった特別なところにはないと考えられているので、厳密には現在では地動説は否定されていることになる。
歴史[編集]
古くは紀元前5世紀に古代ギリシャのフィロラオスによって提唱された。紀元前3世紀アリスタルコスもこれを支持した。観測から太陽が地球より大きいことを知り、小さい地球が大きな太陽の周りを回っているのが自然だと考えたのだ。ところが、1世紀に誕生したキリスト教は天動説を支持した。キリスト教が広まるにつれて、いつしか地動説は忘れ去られていった。
16世紀、コペルニクスは再び地動説を主張したが、当時の技術で年周視差が観測できなかったこと、宗教の教えに反することから、なかなか受けいられなかった。しかし、17世紀に発見されたケプラーの法則などを通して、次第に地動説は受け入られていった。
1920年代になり、銀河系の外側にも多くの銀河があり、それぞれに無数の恒星があることがわかってきた。すると、太陽も宇宙の中心にあるとするのは不自然と考えられるようになった。こうして、もともとの地動説は否定されていき、地球は数ある銀河の中の数ある恒星系の一つ、太陽系の一つの惑星にすぎないという、現在の宇宙観ができあがった。
座標系[編集]
地球も太陽も宇宙の中心ではないと考えられている現在でも、宇宙開発や宇宙シミュレーションゲームでは地球や太陽を中心に描く図が登場する。 このように宇宙の絶対的な中心でなくとも、そこを基準にとれば天動説も地動説もあながち間違いではない。 この文脈で、天動説と地動説は基準とする座標や速度が異なるだけであり、適切な座標変換(ガリレイ変換)などを施せば両者は等価である。 ただし、地動説では惑星の軌道が太陽を中心とし(だ)円軌道であるのに対して、天動説では座標の基準が地球であるために惑星の軌道が複雑になる。 地球上にいて地球とほぼ同じ動きをしている人類にとっては天動説はある意味自然であると言えよう。