国鉄ED60形電気機関車
国鉄ED60形電気機関車(こくてつED60がたでんききかんしゃ)は日本国有鉄道が新造した直流電気機関車。全8両が製造された。
概要[編集]
いわゆる「新性能電気機関車」の中で最初に登場した形式で、地方ローカル線などで活躍していた大正時代に輸入された中型機関車や戦時中に買収した私鉄が保有していた機関車を置き換えるべく、ED70形で得られた経験を元に開発された。
これまでの旧型機関車から変更・改良された点として
- 旧型機が200kW - 300kW前後の出力の主電動機を採用していたのに対し、端子電圧750 V時1時間定格出力400 kW前後の大出力主電動機の採用
- 粘着性能の大幅な向上
- 駆動方式をシンプルで大型電動機を採用しやすいが、電動機や線路に与える衝撃の大きい吊り掛け式から衝撃が小さいクイル式に変更。
- しかしクイル式はクイル式で問題が多く、後の機関車では吊り掛け式が主流となった。ED60形も後年にクイル式からリンク式に駆動方式を改造している。
- 車体構造の改良による軽量化
などが挙げられる。
構造[編集]
全溶接構造で平滑な外観の鋼製車体を備える。妻面には重連運転に備えて貫通扉を設置しているが、乗務員の出入りは側面に設置された乗務員扉から行う。このため旧型機に設置されていたデッキはない。
全長は13000mmと短く、小型でハイパワーなことから手塚治虫の漫画『鉄腕アトム』にあやかって「アトム機関車」と呼ばれた。
機器類はED61形と共通だが、電力回生ブレーキを省略している点が異なる。
運用[編集]
1号機から3号機は中央本線での慣らし運転後は大糸線に送られ、黒部ダム建設資材を運搬する貨物列車に主に使用された。黒部ダム関連の列車の運転終了後、1号機は大糸線に残留。2・3号機は慣らし運転中に配置されていた甲府機関区へ転出。その後八王子機関区を経て阪和線に活躍の場を移した。阪和線での運用は1972年(昭和47年)に終了し、以降は廃車までを大糸線で過ごした。
4・5号機は仙山線(作並機関区)に配置されたが、1両の出力が1,560kWと強大で変電所容量に対してオーバーであったことから、試験運用のみで阪和線へと転出した。
6号機から8号機は阪和線に配置された。私鉄買収線区故に駅の待避線の有効長に厳しい制限がかかっていたことから、車体長が短く、高出力で高速性能も申し分ないED60形は熱烈に歓迎された。一時期全8両中7両が阪和線に集結していたこともある。
1986年(昭和61年)までに全機廃車となった。
保存[編集]
1号機が長野工場→長野総合車両センターで保管されていたが、2024年(令和6年)に整備を行い、青梅鉄道公園へと移送され、同園で保存・展示されている。
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