ベラルーシ語

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ベラルーシ語(ベラルーシご、беларуская мова)は、主にベラルーシで使われる言語。インド・ヨーロッパ語族スラヴ語派の東スラヴ語群に属し、ロシア語やウクライナ語と近縁関係にある[1]。ベラルーシでは、ロシア語とともに公用語の地位を持つ[2]。

概要[編集]

ベラルーシのほか、隣国のポーランドやウクライナ、旧ソ連諸国の居住者、アメリカ合衆国やカナダなどの移民社会でも用いられる[1]。

ロシア語やウクライナ語とは同じ東スラヴ語群に属するものの、発音や文法などに違いがあり、独立した言語として扱われる[1]。

文字[編集]

現在は、主に32文字からなるキリル文字のアルファベットで表記する[1]。

А а、Б б、В в、Г г、Д д、Е е、Ё ё、Ж ж、З з、І і、Й й、К к、Л л、М м、Н н、О о、П п、Р р、С с、Т т、У у、Ў ў、Ф ф、Х х、Ц ц、Ч ч、Ш ш、Ы ы、Ь ь、Э э、Ю ю、Я я

ロシア語のアルファベットにある「И и」の代わりに「І і」を用いるほか、ロシア語にはない「Ў ў」を使う[3]。

歴史的にはラテン文字による表記も用いられ、ベラルーシ語の伝統的なラテン文字表記は「ラツィンカ」と呼ばれる。また、タタール人の共同体ではアラビア文字による表記も行われた[1][4]。

文法[編集]

屈折語であり、名詞は格や数によって形を変える。名詞には男性・女性・中性という文法上の性があり、形容詞なども名詞の性・数・格に応じて変化する。

動詞には時制や体の区別があり、人称や数などに応じた活用を行う。英語の「a」「the」に当たる冠詞はない[5]。

歴史[編集]

中世のリトアニア大公国では、古ベラルーシ語と呼ばれる文語が行政などに用いられた。その後、書き言葉としてはポーランド語の影響が強まった。現代の文学語の発展は、19世紀後半から本格化した[1]。

1918年、言語学者ブラニスラウ・タラシケヴィチが『学校のためのベラルーシ語文法』を刊行し、正書法と文法の規範化に大きな役割を果たした。ソビエト連邦時代の1933年には正書法改革が実施され、現在の公式規範につながる体系が整えられた[6]。

1995年にロシア語にも国家語の地位が与えられ、現在の憲法でも両言語の地位が規定されている[6][2]。

二つの標準語規範[編集]

現代のベラルーシ語には、行政や学校教育などで使われる公式規範のほか、タラシケヴィチの文法書に由来する「タラシケヴィツァ」と呼ばれる規範がある。両者の違いは綴りだけでなく、語彙や文法の一部にも及ぶ[6]。

使用状況[編集]

ベラルーシ語は公用語であるが、国内ではロシア語も広く使われている。2019年の国勢調査についての報告では、家庭内で使う言語をベラルーシ語とした人は約240万人、ロシア語とした人は約670万人だった[7]。これは家庭での使用言語についての数値であり、ベラルーシ語を理解したり話したりできる人全体の数を示すものではない。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ↑ a b c d e f Belarusian - フランス国立東洋言語文化学院(INALCO)。
  2. ↑ a b ベラルーシ共和国憲法第17条 - ベラルーシ大統領公式サイト(ロシア語)。
  3. ↑ Belarusian romanization table - アメリカ議会図書館。
  4. ↑ Belarus: Toponymic Factfile - 英国地名常設委員会(PCGN)。
  5. ↑ Languages of the World: Belarusian language - ロシア科学アカデミー言語学研究所。
  6. ↑ a b c 清沢紫織「現代ベラルーシ語の標準語規範の分裂と対立」『スラヴ研究』第68号、2021年、1–43頁。
  7. ↑ 孫拓未「ベラルーシ語におけるHAVE動詞мець:譲渡不可能所有を中心に」『研究論集』第25号、2026年、103–128頁。

外部リンク[編集]