スペクトル幅

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スペクトル幅もしくは線幅スペクトル線幅とはスペクトル中のスペクトル線が覆う周波数ないしは波長、またはの幅である。これは電磁スペクトルで発生するが、他の種類の放射線でも発生する。

概要[編集]

スペクトル線は、原子分子、または離散的な線スペクトルを持つその他の量子系における、2つのエネルギー分布間の量子遷移に起因する。状態から状態への遷移時に放出される電磁放射は単色ではなく、中心周波数を中心とする特定のスペクトル分布を持つ。この分布は、スペクトル線の線プロファイルと呼ばれる。スペクトル密度が半分に減少した周波数間の周波数間隔 は、全半値幅と呼ばれる。ここで、中心周波数は、が最大値をとる線の中心を表す。これは、対象とする線のスペクトル強度が最大値の半分以上となる間隔の幅である。広がり機構が作用していないスペクトル線の強度分布は、ローレンツ分布の形を取る。

観測された放射線が複数の独立した発生片から生じた場合は次のような区分がなされる。

  • 各発光体が既に示している均一な幅。
  • 中心周波数がわずかに異なる多くの放射体を同時に観測することで生じる不均一な幅。放射体をより厳密に選ぶことで、不均一な線幅を低減させることができる。

スペクトル幅の原因には、全ての不安定な系の基本的な量子力学的エネルギーの不確実性の他、放射体の衝突やそれらの無秩序な運動によるドップラー効果などの外部擾乱が含まれる。

量子物理学では、スペクトル幅はエネルギー不確定性や減衰幅で表されることが多い。

自然幅[編集]

量子力学によると、明確に定義されたエネルギーを持つ系は時間とともに変化しない。逆に、自発的に崩壊したり放射線を放出する系は、固有のエネルギー不確定性を持ち、その放射線はそれに対応する自然幅を持つ。この形状は共鳴曲線またはローレンツ曲線に対応し、数学ではコーシー分布としても知られる。例えば、素粒子原子核、励起原子分子などは一般的に当てはまる。

このエネルギーの不確実性は次のように表される。

そして

と変形できる。これはハイゼンベルクの不確定性原理と似ているため、エネルギーと時間の不確定性原理とも呼ばれる。

素粒子物理学では、この関係は極めて短い寿命を実験的に決定するのに用いられる。例えばZボソンの減衰幅から寿命が算出される。これは、これまで発見されたもので最も小さな値である。

光学では、自然幅はコヒーレンス長に直接関係する。

自然幅はローレンツ振動子を用いても経過することができる。

拡大[編集]

スペクトル幅はドップラー幅圧力幅などの特定の作用により、幅の広がりが生じる。→詳しくは線幅拡大を参照。

関連項目[編集]