ザ・クレーター

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『ザ・クレーター』（THE CRATER）は、手塚治虫による短編漫画オムニバスシリーズ。

概要[編集]

『少年チャンピオン』（現・『週刊少年チャンピオン』、秋田書店）にて1969年から1970年に17作品が掲載されている。少年チャンピオン・コミックスから全2巻の単行本が発売されているが、3作品が未収録であり、掲載順序も連載順とは異なっている。

後に講談社から刊行された『手塚治虫漫画全集』では全3巻となり、17作品全てが収録されている。

内容は、SF漫画、ミステリー漫画、サスペンス漫画、怪奇漫画とさまざまであり、ハッピーエンドの作品もあれば、アンハッピーエンドな作品もある。本作と同時期に連載されていたオムニバス短編漫画シリーズ『空気の底』や、後に『週刊少年チャンピオン』で連載される『ブラック・ジャック』が1話20ページほどであるのに対し、本シリーズは1話29ページから30ページ、最長で32ページとやや長めになっているのも特徴に挙げられる。ページ数が多いため、ストーリー展開にも余裕が生まれ、入り組んだストーリーによる複雑な物語が成立したものと推測される。

オムニバス作品であるが、各作品においてはオクチン＝奥野隆一という名前のキャラクターが主役となっているという共通点はあるものの、各作品でのオクチンは年齢、職業、家庭環境など全て異なっており、同一キャラクターというわけではない。また、キャラクター造形は同じものの、名前が異なっている作品もある。

連載第1回冒頭部にはシリーズが「人間の心をテーマにした物語」であるとのナレーションがあったが、『手塚治虫漫画全集』版に掲載された手塚自身のあとがきでは「連載開始当初は一貫したテーマも決めておらず、『ザ・クレーター』という表題にも別に意味は無いのです」「オクチンという少年を登場させたり、統一感を持たせようと苦心したものです」と書いている。手塚は他にもオムニバスシリーズをいくつか描いているが、「『ザ・クレーター』は他の連作シリーズより出来の差が激しくなく、一応のレベルを保っていると思います」とも述べている。

シリーズ[編集]

ザ・クレーター
No. タイトル 少年チャンピオン
掲載号		 SCC話数 漫画全集話数 その他
収録
1 2 1 2 3
1 二つのドラマ 1969年8月10日号 1 4
2 八角形の館 1969年8月27日号 1 1 [※ 1]
3 溶けた男 1969年9月10日号 2 2
4 風穴 1969年9月17日号 2 [※ 2]
5 墜落機 1969年10月1日号 2 4
6 双頭の蛇 1969年10月15日号 6 [※ 3]
7 三人の侵略者 1969年11月5日号 7 6 [※ 4]
8 鈴が鳴った 1969年11月19日号 3 1
9 雪野郎 1969年12月3日号 4 3
10 オクチンの奇怪な体験 1969年12月17日号 3 1 [※ 5]
11 巴の面 1970年1月7日号 5 5
12 大あたりの季節 1970年1月21日号 6 2
13 ブルンネンの謎 1970年2月4日号 4 3
14 紫のベムたち 1970年2月18日号 5 4
15 オクチンの大いなる怪盗 1970年3月4日号 3 [※ 6][※ 7]
16 生けにえ 1970年3月18日号 6 5
17 クレーターの男 1970年4月1日号 7 6 [※ 8][※ 9]
ジャムボ [※ 10] 5 [※ 11][※ 12]

2021年に復刊ドットコムより『ザ・クレーター ≪オリジナル版≫』（ISBN 978-4835458175）全1巻が刊行され、全17作が掲載順で収録されている。雑誌掲載時にあった次回予告（1ページ）や単行本化にあたって削除されたコマや削除に伴い再編集された内容なども元の雑誌掲載版として収録している。

脚注[編集]

  1. ↑ 『恐怖短編集6「復讐の輪廻編」』（2003年、講談社漫画文庫）収録。
  2. ↑ 少年チャンピオン・コミックス『ミクロイドS』第3巻収録。
  3. ↑ 少年チャンピオン・コミックス『アラバスター』第3巻収録。
  4. ↑ 『手塚治虫SF傑作集「異星人編」』（2001年、ちくま文庫）収録。
  5. ↑ 『中一時代』（旺文社）1974年9月号掲載。
  6. ↑ 少年チャンピオン・コミックス『やけっぱちのマリア』第2巻収録。
  7. ↑ 『手塚治虫SF傑作集「時間旅行者編」』（2002年、ちくま文庫）収録。
  8. ↑ 『ビッグ作家究極の短編集 手塚治虫』（1997年、小学館）収録。
  9. ↑ 『恐怖短編集7「千年の孤独編」』（2003年、講談社漫画文庫）収録。
  10. ↑ 『中一時代』（旺文社）1974年1月号掲載。
  11. ↑ 『SFファイブ』（1978年、大都社）収録。
  12. ↑ 『アバンチュール21』（2011年、講談社手塚治虫文庫全集）収録。

外部リンク[編集]

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