アメリカ海軍 大型巡洋艦CB-1 アラスカ
アラスカ (USS Alaska, CB-1) は、アメリカ海軍の大型巡洋艦であり、アラスカ級大型巡洋艦のネームシップである。第二次世界大戦中に就役し、太平洋戦線で活動した。
概要[編集]
アラスカ級大型巡洋艦は、高速の航空母艦任務部隊の護衛、特に大日本帝国海軍の大型巡洋艦に対抗するために設計された、独自の艦種である。その設計思想は、戦艦と重巡洋艦の中間に位置し、「大型巡洋艦 (Large Cruiser)」という新たな分類が与えられた。主砲として当時としては異例の30.5cm砲を搭載し、重巡洋艦を凌駕する火力と、戦艦には及ばないものの巡洋艦としては強固な装甲を有していた。
艦歴[編集]
アラスカは、1940年12月17日にニュージャージー州カムデンのニューヨーク造船所で起工された。1943年8月15日に進水し、1944年6月17日に初代艦長ピーター・K・フィッシュマン大佐の指揮下で就役した。
就役後、アラスカはチェサピーク湾とカリブ海で慣熟訓練を行った。1945年1月、アラスカは太平洋艦隊に配属され、パナマ運河を通過して真珠湾に向かった。その後、ウルシー環礁を拠点とする第5艦隊に合流した。
アラスカの最初の主要な任務は、硫黄島侵攻作戦における空母任務部隊の護衛であった。彼女は空母群を日本軍の航空攻撃から守るため、対空警戒任務に従事した。
その後、沖縄戦にも参加し、引き続き空母護衛と艦砲射撃を行った。1945年3月18日には、九州沖での日本軍航空機との交戦において、初めて主砲を発射し、敵機を撃墜したとされている。沖縄戦の期間中、アラスカはしばしば艦砲射撃支援を行い、上陸部隊を援護した。
終戦後、アラスカは中国と朝鮮半島沿岸で活動し、占領任務と将兵の帰還を支援した。1947年2月17日、アラスカは不活性化され、太平洋予備艦隊に編入された。1960年6月1日に除籍され、1961年にスクラップとして売却された。
諸元[編集]
- 艦種: 大型巡洋艦
- 級: アラスカ級
- 建造所: ニューヨーク造船所
- 起工: 1940年12月17日
- 進水: 1943年8月15日
- 就役: 1944年6月17日
- 排水量:
- 基準: 29,779 トン
- 満載: 34,253 トン
- 全長: 246.43 m (808 ft 6 in)
- 全幅: 27.76 m (91 ft 1 in)
- 吃水: 9.78 m (32 ft 1 in)
- 機関: 8缶、4軸推進、蒸気タービン、150,000 馬力
- 速力: 33 ノット
- 航続距離: 12,000 海里 (15ノット時)
- 乗員: 約2,250名 (士官、兵員含む)
- 兵装:
- 主砲: 9門 x 3連装30.5cm (12インチ)/50口径 Mk.8砲
- 副砲: 12門 x 2連装12.7cm (5インチ)/38口径 Mk.12砲
- 対空兵装: 56門 x 40mm機関砲 (四連装 x 14基)、34門 x 20mm機関砲 (単装 x 34基)
- 装甲:
- 舷側: 229 mm (9インチ)
- 甲板: 102 mm (4インチ)
- 主砲塔: 325 mm (12.8インチ)
- 司令塔: 279 mm (11インチ)
豆知識[編集]
- アラスカ級大型巡洋艦は、「超重巡洋艦」や「ミニ戦艦」とも呼ばれた。
- 本級は当初、ドイツ海軍のP級巡洋戦艦や、日本の「超甲型巡洋艦」構想に対抗するために計画されたと言われている。
- アラスカは、その強力な武装と比較的薄い装甲から、批判的な見方も存在した。
関連項目[編集]
- アメリカ海軍艦艇一覧
- 大型巡洋艦
- グアム - アラスカ級2番艦
- 第二次世界大戦
参考文献[編集]
- Friedman, Norman. U.S. Cruisers: An Illustrated Design History. Naval Institute Press, 1984.
- Gardiner, Robert and Chesneau, Roger. Conway's All the World's Fighting Ships 1922–1946. Conway Maritime Press, 1980.
- Garzke, William H., Jr. and Dulin, Robert O., Jr. Battleships: United States Battleships, 1935–1992. Naval Institute Press, 1995.