ひつじ探偵団 (小説)
『ひつじ探偵団』(ドイツ語: Glennkill: Ein Schafskrimi、英語: Three Bags Full)は、ドイツの作家レオニー・スヴァンの推理小説。
2026年には本作を題材とした映画『ひつじ探偵団』が公開された。
概要[編集]
2005年に刊行されたスヴァンのデビュー作である。本作はドイツの週刊誌『デア・シュピーゲル』のベストセラーランキングには1年以上にわたって上位にランクインし続け、2006年にはドイツ語圏ミステリ作家のデビュー長編を対象とするフリードリヒ・グラウザー賞(ドイツ推理作家協会賞)でスヴァンは新人賞を受賞している。
英語翻訳版は『Three Bags Full: A Sheep Detective Story』のタイトルで刊行された。これはマザーグースの「バー・バー・ブラック・シープ」の歌詞の一節に依る。
日本語翻訳版は2007年に早川書房より小津薫翻訳、野見山響子装画で『ひつじ探偵団』(ISBN 978-4152087898)の邦題で刊行された。映画公開に合わせて、2026年5月に早川書房より新装版(ISBN 978-4152105325)が刊行されている。装画はそのままで、新版には♪akiraによる解説が追加されている。
あらすじ[編集]
アイルランドの長閑なグレンキル村。
ある朝、牧草地にほど近い干し草小屋の傍らで羊飼いのジョージの死体が発見される。遺体の胸には鋤が深々と突き刺されていた。
羊たちは集まって、「オオカミの仕業だ」などと話し合っていたが、「ジョージは良い羊飼いではなかった」と結論付け、理想の完璧な羊飼い像が定まったところで解散しようとした。しかし、牝羊のミス・メイプルがジョージ殺人犯を見つけ出すことを主張。他の羊たちも協力して捜査を始める。しかし、羊のこと。おいしそうな草を見つけては食べ始めるなど、捜査はなかなか進展しない。
登場羊[編集]
- モード
- 嗅覚に優れている牡羊。
- サー・リッチフィールド
- 群れのリーダーを務める老いた牡羊。視力はまだまだ鋭いが、聴覚と記憶力は衰えてきている。
- ミス・メイプル
- 群れ一番賢い。どころか、グレンキルで最も賢い牝羊。世界一賢いとの評価もある。しかし、「グレンキル一賢い羊コンテスト」には参加したことがない。それも賢明さとされる。
- 責任感も強く、粘り強い。名前はジョージの朝食のメイプルシロップを盗み食いしたことから。
- クラウド
- 群れで最もむくむくしている牝羊。
- 鯨のモップル(くじらのモップル)
- 記憶力に優れたメリノ種の牡羊。
- 角があり、太っている。また、大食いでいつも腹を空かせている。
- オテロ
- 黒いヘブリディーズ種の牡羊。角が4本ある。猟犬に勝てるくらいに強い。
- ジョージが外部から買い求めた羊で、かつてはダブリンの動物園で暮らしていたことから、他の群れの羊よりは人間社会についての知識もある。
- ゾラ
- 頭部が黒い牝羊。群れの牝羊のなかで唯一の角持ち。
- メルモス
- リッチフィールドの双子の兄弟で、その昔、群れを飛び出して行方不明となっている。この逸話は「群れを離れてはいけない」という教訓となって語り継がれている。
- 冬子羊
- 冬に生まれた子羊。通常、羊は春に生まれる。
- フォスコ
- ジョージの群れの羊ではない。「グレンキル一賢い羊コンテスト」で何度も優勝する賢い羊。
登場人物[編集]
- ジョージ・グレン
- 老いた羊飼い。人間嫌いで、羊を連れてヨーロッパを旅するのが夢であった。
- 羊たちに学術書、実用書、ロマンス小説から推理小説まで様々な本の読み聞かせを行っていた。ノルウェー産のウールセーターを着ており、その臭いを羊たちは嫌っていた。
- ある朝、胸に鋤が刺さった状態で発見される(もちろん死んでる)。遺体には苦しんだ形跡、表情は無かった。村人の何人かは、ジョージに羊飼い以外の収入源があったと推測しており、遺言状の開示とジョージの車に興味津々となっている。
- テス
- ジョージが飼っていた牧羊犬。ジョージの死後、姿が見えなくなる。
- ケイト
- ジョージの妻。美人ではあるが、結婚後には太った。ジョージから牧草地への立ち入りを禁止されていた。
- トム・オマリー
- 観光業者。ジョージ殺人事件がスキャンダルとなって観光客が減少することを心配する。
- アブラハム・レックハム
- 通称「ハム」と呼ばれる肉屋。店に監視カメラを備えている。
- ガブリエル・オルーク
- 羊飼い。羊からみてガブリエルは羊そっくりの匂いがしていた。ガブリエルの飼っている羊たちには毛がほとんどない。
- ジョシュ・バクスター
- パブ「マッド・ボア」の主人。ジョージの遺体があった現場を見に来る。
- ウイリアム神父
- グレンキル村の司祭。ジョージやハムを嫌っている。
- 羊たちからは「ゴット」という名前であると勘違いされている。
- ベス・ジェイムスン
- 女性伝道師。司祭館で働いている。
- 定期的にジョージの下を訪れては、善行を行うよう説教をしていた。
- レベッカ・フロック
- ジョージの娘。グレンキル外で育っており、村人は娘の存在を知らなかった。
- ウエスリー・マッカーシー
- 7年前に殺された男。鋤が使用された。
- ホームズ
- ジョージ殺人事件の担当刑事。多分に名前負けしているポンコツ刑事。