ひつじ探偵団
| ひつじ探偵団 | |
|---|---|
| 監督 | カイル・バルダ |
| 脚本 | クレイグ・メイジン |
| 原作 | レオニー・スヴァン |
| 製作 |
リンゼイ・ドラン ティム・ビーヴァン エリック・フェルナー |
| 製作総指揮 |
サラ=ジェーン・ライト アメリア・グレンジャー アディチャ・スード タイソン・ヘッセ フィル・ロード クリストファー・ミラー ティム・ウェルスプリング |
| 出演者 | ヒュー・ジャックマン |
| 音楽 | クリストフ・ベック |
| 撮影 | ジョージ・スティール |
| 編集 |
ポール・マクリス マーティン・ウォルシュ アル・レヴィン |
| 製作会社 | ワーキング・タイトル・フィルムズ |
| 配給 |
|
『ひつじ探偵団』(ひつじたんていだん、英語: The Sheep Detectives、ドイツ語: Glennkill: Ein Schafskrimi)は、2026年制作のアメリカのミステリー・コメディ映画。
ヒツジたちが自分たちの飼い主を殺した犯人を見つけ出すべく奮闘する姿を描く。レオニー・スヴァン原作の同名小説の映画化。
『ミニオンズ』のカイル・バルダ監督、ヒュー・ジャックマン主演[1][2][3]。2026年5月8日、日米同時公開[4][5][2]。
原作小説[編集]
ドイツのレオニー・スヴァン作で、2005年に『Glennkill: Ein Schafskrimi』のタイトルで刊行された。スヴァンのデビュー作となった。ドイツの週刊誌『シュピーゲル』のベストセラーランキングには1年以上にわたって上位にランクインし続け、2006年にはドイツ語圏ミステリ作家のデビュー長編を対象とするフリードリヒ・グラウザー賞(ドイツ推理作家協会賞)の新人賞をスヴァンは受賞することになった。
英語版のタイトルは『Three Bags Full』で、これはマザーグースの「バー・バー・ブラック・シープ」の歌詞の一節に依る。日本語翻訳版は2007年に早川書房より小津薫翻訳、野見山響子装画で『ひつじ探偵団』(ISBN 978-4152087898)の邦題で刊行されている。
映画公開に合わせて、2026年5月に早川書房より新版(ISBN 978-4152105325)が刊行されている[6]。装画はそのままで、新版には♪akiraによる解説が追加されている[6]。
小説版の舞台はアイルランドとなっている[6]。タイトルの「グレンキル」は舞台となる架空の村の名前。
2010年には続編小説『Garou: Ein Schaf-Thriller』がドイツで刊行されている。続編の舞台はフランスで、「Garou」はフランス語で狼男を意味する「ルー・ガルー(フランス語: loup-garou)」から採られている。一部登場人物・登場羊が引き続き登場し、フランスと舞台とする。
羊を探偵役に据えたことについて、レオニー・スヴァンは以下の様に羊には捜査官として優れた特性をいくつも持っていることをインタビューで挙げている[7]。
- 羊は極めて目立たない存在であり、容疑者から数歩の距離まで草を食みながら近づくことができる。
- 人間の誰も羊を疑わない。
- 人間の鼻では嗅ぎ取れない多くの匂いを羊は嗅ぎ分けることができる。
- 羊はチームワークにも優れている。
- 好奇心が強く、あらゆる謎を揺るぎない決意と(ほとんど)偏見なく真相を解明しようとする強い意志を持つ。
あらすじ[編集]
ある朝、イギリスののどかな田舎町・デンブルック(架空の町)で羊飼いのジョージが死体となって発見される。
警察は「不運な事故」として早々に片付けようとしたが、ジョージが飼っている羊たちは殺人事件であることを見抜くと、リリーを中心に結束して捜査を開始する。
羊たちは、自分たちを怖がらせる肉屋のハムを、続いて「神」を口にするヒルコート牧師を疑う。
キャスト[編集]
※括弧内は日本語吹替[8]
- 人間
-
- ジョージ・ハーディー
- 演:ヒュー・ジャックマン(山路和弘)
- 羊飼いの男性。
- ベジタリアンであり、羊肉も食べない。飼っている羊たちも肉食用ではなく羊毛が目的。毎晩、羊たちにミステリー小説を読み聞かせていた。
- ある朝、牧草地でスコップが刺さって死んでいるのが発見される。以降は、羊たちの回想シーンなどで登場するのみ。
- 映画版では妻・ケイトとは死別。原作小説では妻は生存で肉屋のハムと不倫関係でどろどろとなっている。
- 原作小説では、羊を使って麻薬の運び屋をやっており、ベスに頼んでの半ば自死というのが真相であった。また、原作小説ではジョージ・グレン(George Glenn)の名前。
- ティム・デリー巡査
- 演:ニコラス・ブラウン(布施川一寛)
- デンブルックの唯一の警察官。祖父、父もデンブルックで警察官をしていたが、ティムは警察の仕事としては木に登って降りれなくなった猫を降ろすといったようなことした経験が無く、住人たちからも(優秀な警官だった祖父や父とは違って)ぼんくら警官とみなされている。
- もちろん、殺人事件などは経験したこともなく、ジョージの死も「不運な事故」として片づけようとする。
- 原作小説には登場しない。
- エリオット・マシューズ
- 演:ニコラス・ガリツィン(石川界人)
- ジョージの死亡事件を追う記者。
- 原作小説には登場しない。
- レベッカ・ハムステッド
- 演:モリー・ゴードン(あんどうさくら)
- ジョージの娘。
- 当初、赤いドレスを着ていたので、羊たちからは「赤い女(rote Frau)」と呼ばれていた。
- リディア・ハーボトル
- 演:エマ・トンプソン(幸田直子)
- 弁護士。ジョージの遺言を携えている。ジョージが莫大な遺産を遺していることを聞いた羊たちは、それが犯行動機と考えた。
- 原作小説には登場しない。
- ベス・ペノック
- 演:ホン・チャウ(水瀬郁)
- 簡易宿泊施設(B&B)の女将。映画版では男やもめのジョージに片思いしている。
- ケイレブ
- 演:トシン・コール
- 羊飼い。ジョージの飼っていた羊たちの管理を引き継ごうとする。
- 原作小説ではガブリエル(Gabriel)の名前。
- ハム・ギリヤード
- 演:コンリース・ヒル
- 肉屋。ジョージの友人でもあった。
- ヒルコート牧師
- 演:コブナ・ホルドブルック=スミス
- 羊[9]
- 本作の羊たちは、人間の言葉を発することはできないが、人間の言葉を完全に理解できている。
- ジョージが読み聞かせるミステリー小説の内容も完全に理解し、読み聞かせを中断すると文句を言う。さらには語られる物語内の展開や事件の内容について推理して語り合っている。もちろん、ジョージの知る由もないことである。
- また、「死んだ羊は雲になる(ただし「死」の概念はない)」「嫌なことは3つ数えると忘れられる」といった独特の信仰(?)も持っている。
- リリー
- 声:ジュリア・ルイス=ドレイファス(井上喜久子)
- シェトランド・シープの雌。羊たちの捜査のリーダー役。
- 原作小説ではミス・メープル(Miss Maple)で、ジョージの朝食のメープルシロップを盗み食いしたことからの命名。アガサ・クリスティのミス・マープルのパロディとなっている。アメリカ合衆国などではクリスティの「ミス・マープル」の著作権は2026年1月1日に切れてパブリックドメインになったのだが、イギリスではアガサ・クリスティ財団が「ミス・マープル」の権利を保有し続けているため、著作権にまつわるトラブル回避のため名前を変更されたのではないかと推測されている[10]。
- セバスチャン
- 声:ブライアン・クランストン(千葉繁)
- 黒いアイスランド・シープ。
- 羊たちの中では厄介者扱いされている。秘密の過去がある。
- 原作小説ではオセロ(Othello)で、サーカス団にいた過去がある。
- リッチフィールド卿
- 声:パトリック・スチュワート(麦人)
- ボーレラー・ブラックフェース種。
- 老齢の羊。羊の群れのリーダーでもあるが、興奮すると物忘れが激しくなる。
- モップル
- 声:クリス・オダウド(チョー)
- メリノ種。
- 抜群の記憶力を持ち、群れで一番の大喰らい。リッチフィールド卿の老人(老羊)呆けが伝染することを恐れている。
- クラウド
- 声:レジーナ・ホール(瀬名ゆりえ)
- チェビオット羊。
- 自分が一番魅力のある羊だと思っている。光り輝く物が大好き。
- ゾラ
- 声:ベラ・ラムジー(松岡美里)
- デンマーク・ランドレース羊。
- 好奇心旺盛は子羊。雲(上述のように死んだ羊と考えられている)と深淵は苦手。
- ウールアイ
- 声:リス・ダービー(越後屋コースケ)
- リンカーン・ロングウール。
- 毛が長く前髪で目が隠れているため、視野がよくない。
- ロニー、レジー
- 声:ブレット・ゴールドスタイン(津田篤宏〈ダイアン〉[11])
- ノーフォーク・ホーンの双子の羊。
- 1人2役の吹き替え経験は津田篤宏にとって初めてとなる。
- ???
- 声(橘杏咲)
- この冬に産まれたばかりの乳飲み子羊で、ジョージの名付けが済んでいない。通常、羊の出産は春なのであるが、時期外れに生まれたこともあり、臆病になっていると共に、他の羊たちからは偏見の目を向けられている。
- オリバー、ピクルス、デイジー
- 声(上林未菜美、柴尾瑞希、坂井亜由美)
- 春に生まれた冒険好き&いたずら好きの子羊3匹。
製作のあれこれ[編集]
- 背景に映り込んでいる数頭の羊を除き、羊は全てCGとなっている。あまりのリアルさに生成AIの使用を疑う向きもあるが、全てクリエイターの手によるものである。
- リアルさを追求するため、羊たちが二本足で歩いたり、サムアップするようなことはない。話すときに完璧なリップシンクロで口を動かしているくらいである。
- 羊と共に人間の演技を撮影する際には、パペッター(人形使い)が操作する精巧な羊のパペットが使われ、代役の俳優が背後に立って羊の台詞を読み上げている。これまで同様のスタイルの撮影ではテニスボールが相手だったり、緑色の十字マークを相手に撮影していたヒュー・ジャックマンは本作では自然な演技ができたことをインタビューで述べている。
- ヒュー・ジャックマンは、映画出演を決める際には必ず脚本を最後まで読むのだが、本作については脚本を25ページ読んだだけで、出演を承諾したことをYouTubeの映像で語っている。また、この時点では他に誰が出演するのかは、ジャックマンは知らなかった。
- ヒュー・ジャックマンとエマ・トンプソンとはプライベートでも親交があり、共演したいことを語り合っていた。本作で初共演となったわけではあるが、共演を知って改めて脚本を読み返したジャックマンは一緒にいるシーンが一つもないことに気付き、がっかりしたとラジオ番組のインタビューで語っている。リハーサルで顔を合わせることはあったが、実際の撮影セットでは顔を合わせることなく撮影が完了している。
- 映画の舞台となる「デンブルック」は架空の地名であり、実際の撮影はイギリスのバッキンガムシャー、オックスフォードシャー、サリーといった自然豊かな地域で行われた。
- しかしながら、「イギリス」という国を特定できるような単語や要素は排されており、どこの国の人でも入り込みやすいコージー・ミステリーに仕上げている。例えば、警察官や郵便配達員の制服、パトカーなどのデザインはイギリスに実在するものではなく、様々な国の意匠を取り入れたデザインである。原語版の出演者はイギリス英語のアクセントで話している。
- 主役は「羊」であるため、多くのシーンではカメラ目線が人間の目の高さではなく、人間の膝下あたり、すなわち「羊の視点」の構図となっている。通常の映画のセットでは壁や家具、天井などの作り込みが重視されるのだが、本作では、カメラに最も多く映り込む「床」、「カーペットの質感」、「足元のテクスチャー」を緻密に作り込んでいる。
評価[編集]
- Rotten Tomatoesでの支持率は94%から96%という驚異的な高評価を記録している。この値はヒュー・ジャックマンが過去に主演した『LOGAN/ローガン』、『バッド・エデュケーション』を抜いており、本作を「ヒュー・ジャックマン史上最高評価の作品」になったと報道するメディアも出てきている。
脚注[編集]
- ↑ “Hugh Jackman Unveils Sheep-Filled Footage for Detective Film 'Three Bags Full'”. The Hollywood Reporter (April 2, 2025). 3 April 2025時点のオリジナルよりアーカイブ。21 October 2025確認。
- ↑ a b “もふもふな“ひつじ”が事件を追う「ひつじ探偵団」公開、主演はヒュー・ジャックマン”. 映画ナタリー (ナターシャ). (2026年3月10日) 2026年4月16日閲覧。
- ↑ “被害者はヒュー・ジャックマン 捜査するのは“ひつじ”たち?話題の「ひつじ探偵団」日本版予告が完成!”. 映画.com. (2026年3月24日) 2026年4月16日閲覧。
- ↑ Grobar, Matt (June 7, 2024). “Hugh Jackman, Emma Thompson, Nicholas Braun, Nicholas Galitzine & More To Star In Amazon MGM Comedy 'Three Bags Full: A Sheep Detective Movie'”. Deadline Hollywood. 11 June 2024時点のオリジナルよりアーカイブ。June 7, 2024確認。
- ↑ D'Alessandro, Anthony (May 2, 2025). “Hugh Jackman's 'Three Bags Full: A Sheep Detective Movie' Moves Baa To Pre-Thanksgiving 2026”. Deadline Hollywood. 5 May 2025時点のオリジナルよりアーカイブ。May 2, 2025確認。
- ↑ a b c “映画『ひつじ探偵団』原作小説の新版が本日発売。もふもふ可愛いひつじたちが、殺されたご主人の無念を晴らすべく、殺人事件の捜査に挑む。ヒュー・ジャックマン主演の映画は5月8日公開予定”. 電ファミニコゲーマー (2026年5月1日). 2026年5月6日確認。
- ↑ “Exklusiv interview mit leonie Swann” (ドイツ語). büchermenschen (2026年4月21日). 2026年5月6日確認。
- ↑ “ヒュー・ジャックマンの吹替に山路和弘『ひつじ探偵団』ひつじ役に井上喜久子、千葉繁、チョーなど豪華声優集結”. シネマトゥデイ (2026年4月17日). 2026年4月19日確認。
- ↑ “『ひつじ探偵団』日本語吹替版声優に山路和弘さん、井上喜久子さん、千葉繁さん、チョーさん、麦人さん、石川界人さんらが決定!”. animate Times (2026年4月17日). 2026年5月6日確認。
- ↑ “Public Domain Status Of Miss Marple Sparks Debate On Cross Border Copyright” (英語) (2026年2月17日). 2026年5月6日確認。
- ↑ “ダイアン・津田篤宏「ひつじ探偵団」で吹替キャストとして初の一人二役に “ス~”ではなく“メェ~”と叫ぶ⁉ 山路和弘、井上喜久子が吹き替える本編映像も”. 映画.com (2026年4月23日). 2026年4月23日確認。