護衛艦 あしがら
あしがら(ローマ字:JS Ashigara, DDG-178)は、海上自衛隊の護衛艦。あたご型護衛艦の2番艦。艦名は箱根山の別名である足柄山に由来し、この名を受け継ぐ日本の艦艇としては、旧日本海軍の妙高型重巡洋艦「足柄」に続き2代目にあたる。
概要[編集]
「あしがら」は、こんごう型護衛艦の後継として建造されたイージスシステム搭載護衛艦であるあたご型護衛艦の2番艦として、2008年3月13日に就役した。建造は三菱重工業長崎造船所で行われた。進化したイージスシステム「ベースライン7.1」を搭載し、ミサイル防衛能力を有することが特徴である。
艦歴[編集]
「あしがら」は、中期防衛力整備計画(平成13年度中期防衛力整備計画)に基づく平成16年度計画7,700トン型護衛艦として計画され、2005年4月6日に三菱重工業長崎造船所で起工された。
2006年8月16日に進水し、「あしがら」と命名された。進水式には当時の防衛庁長官久間章生らが出席した。
2008年3月13日に就役し、護衛艦隊隷下の第2護衛隊群第6護衛隊に編入され、佐世保に配備された。
就役後は、各種訓練に参加し、高い練度を維持している。特に、弾道ミサイル対処能力の向上に重点を置いており、日米共同訓練「利剣」などに参加し、SM-3ミサイルによる迎撃訓練を行っている。
2011年3月11日に発生した東日本大震災では、災害派遣活動に参加し、被災地への物資輸送や医療支援などに従事した。
2013年には、環太平洋合同演習(リムパック)に参加するため、ハワイ沖へ派遣され、多国籍海軍との共同訓練を行った。
2016年には、南シナ海における航行の自由作戦の一環として、米海軍との共同訓練を実施した。
2019年には、中東地域への自衛隊派遣の一環として、情報収集活動に従事した。
搭載能力[編集]
「あしがら」は、高度なC4ISR能力(指揮、統制、通信、コンピュータ、情報、監視、偵察)を有するイージスシステムを中核とした戦闘システムを搭載している。主武装としてMk.41 VLS(垂直発射システム)を備え、SM-2MR対空ミサイル、SM-3弾道ミサイル迎撃ミサイル、07式垂直発射魚雷投射ロケットなどを運用できる。また、艦首にはMk.45 5インチ砲、近接防御用として高性能20mm機関砲(CIWS)を2基、対艦ミサイルとして90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)を搭載している。
対潜能力としては、艦載ヘリコプターSH-60K哨戒ヘリコプターを1機搭載・運用できるほか、HOS-303 3連装短魚雷発射管も備えている。
同型艦[編集]
豆知識[編集]
- 「あしがら」は、イージスシステムを搭載する海上自衛隊の艦艇としては、あたご型で初めてステルス性を考慮した設計が取り入れられています。
- 艦橋の構造は、従来のこんごう型と比較して、レーダー反射断面積(RCS)の低減が図られています。
- 艦の建造費は、約1,400億円とされています。
- 就役時の艦長は、初代の女性艦長として注目を集めました。
関連項目[編集]
参考文献[編集]
- 『世界の艦船 増刊 第77集 海上自衛隊全艦艇史』海人社、2013年。
- 『海上自衛隊パーフェクトガイド2020-2021』学習研究社、2020年。
- 『丸』潮書房光人新社、各号。