K2戦車

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K2戦車(K2せんしゃ、ハングル: K2 흑표; ハンチャ: K2 黒豹; RR: K2 Heukpyo; MR: K2 Hŭkpyo英語: K2 Black Panther)は、大韓民国K1戦車の後継として開発した第3.5世代(または第4世代)に分類される主力戦車である。愛称は「黒豹」(フクピョ、Black Panther)。

開発経緯[編集]

大韓民国国軍は、老朽化したM48系戦車の更新と、北朝鮮軍の主力戦車に対抗するため、1980年代K1戦車を開発・配備した。しかし、1990年代に入ると、北朝鮮天馬号先軍号といった新型戦車の開発・配備を進め、また周辺国の中国日本99式10式といった高性能戦車を開発していたことから、大韓民国はこれらに対抗しうる次世代戦車の開発の必要性を認識する。

K2戦車の開発計画は、1995年に「XK2」の名称で開始された。国防科学研究所 (ADD)が主導し、現代ロテムが開発・製造を担当した。開発においては、ドイツレオパルト2アメリカ合衆国M1エイブラムスなどの先進的な戦車の技術が参考にされたとされる。

特徴[編集]

K2戦車は、高い攻撃力、防御力、機動力を兼ね備えることを目標に設計された。

攻撃力[編集]

主砲には、ドイツのラインメタル社が開発したRh120 120mm滑腔砲の改良型である国産のCN08 120mm滑腔砲を搭載している。この砲は55口径長を有し、従来の44口径長砲よりも高い砲口初速と貫徹力を実現している。また、砲弾の自動装填装置を装備しており、乗員は3名となっている。これにより、発射速度の向上と乗員の負担軽減が図られている。使用可能な砲弾には、徹甲弾 (APFSDS)成形炸薬弾 (HEAT)、および国産のKSTAM-IIと呼ばれる対戦車ミサイルが含まれる。KSTAM-IIは、目標の上方から攻撃するトップアタック能力を有し、複合装甲などで強化された戦車の上部装甲を貫通することを目的としている。

防御力[編集]

防御力向上のため、複合装甲を採用している。また、ERA (Explosive Reactive Armor)モジュラー装甲の装着も可能である。さらに、APS (Active Protection System)の一種であるKAPS (Korean Active Protection System)を装備している。KAPSは、飛来する対戦車ミサイルやロケット弾を探知し、迎撃弾を発射して無力化するシステムである。

機動力[編集]

エンジンには、初期量産型ではドイツMTU社製「MT 883 Ka-501」ディーゼルエンジンと、レンク社製「HSWL 295」自動変速機を組み合わせたパワーパックを搭載している。後期量産型以降は、韓国国産の斗山インフラコア製「DV27K」ディーゼルエンジンと、S&T Dynamics社製「EST15K」自動変速機を組み合わせたパワーパックへの換装が進められている。最高速度は路上で時速70km、不整地で時速50kmとされている。また、油気圧サスペンションを搭載しており、車体の姿勢制御や、砲の俯角・仰角の拡大に貢献している。

その他[編集]

などが搭載されている。また、潜水渡河能力も有しており、最大深度4.1mの河川を潜水して渡ることが可能である。

運用と配備[編集]

K2戦車は、2014年から大韓民国陸軍への配備が開始された。老朽化したM48パットン戦車を順次置き換えるとともに、K1戦車と連携して運用される。

海外への輸出も積極的に行われており、ポーランドには多数のK2戦車が輸出されることが決定している。ノルウェーの次期主力戦車選定においても、レオパルト2A7とともに最終候補に残った。

派生型[編集]

  • XK2:開発段階の試作車両。
  • K2 PIP (Product Improvement Program):改良型。国産パワーパックの搭載など、様々な改良が計画されている。
  • K2PL:ポーランド向け仕様。ポーランドの要求に合わせて、防御力強化などが図られている。
  • K2NO:ノルウェー向け提案仕様。

豆知識[編集]

  • K2戦車の愛称である「黒豹」は、その高い機動力と攻撃力を象徴しているとされます。
  • 開発当初は、戦車の主砲から発射される対戦車ミサイル「KSTAM」が大きな注目を集めました。これは、当時世界でも珍しい戦車砲発射型トップアタックミサイルでした。
  • K2戦車の開発費は、約2兆6000億ウォン(約2600億円)とされています。

関連項目[編集]

参考書籍[編集]

  • 『世界の戦車パーフェクトBOOK』学研プラス、2020年。
  • 『PANZER』各号、アルゴノート社。