argo
argo(アルゴ)は、日本のデザイナー[1]。花咲まゆと五月なみがお気に入りの様子で、自身の開設するウェブサイト(現存しない)でねちっこく熱心に考察していた。
実在の少女の写真をもとにCGで制作した画像も児童ポルノである、という歴史的な[要出典]判例を残した人物(後述)。本名を記載する資料もあるが、本稿では武士の情け[要出典]によりargoの表記で統一する。
経歴[編集]
1960年頃生まれる。父は画家で、自身も物心が付く前から絵筆を握っていた。高等学校は美術科、大学は写真専攻[2]。卒業後はプロのデザイナーとなる[3]。
2009年現在岐阜市在住[4]。
『聖少女伝説』事件[編集]
2008年8月から2013年4月にかけて、1980年代のロリータ写真集をもとにCG作品集『聖少女伝説』『聖少女伝説2』を製作・販売。計208万円を売り上げた。毎日新聞の報道では、マニアの間では「伝説」と言われている写真集だとするが、具体名は記していない[5]。
報道によると2009年12月13日頃、『聖少女伝説』『聖少女伝説2』をネットで販売し代金2940円を得た[注釈 1][1]。
2013年7月11日、警視庁は児ポ法違反[注釈 2]の容疑でargoを逮捕する[1]。argoは「写真ではないので摘発を逃れられるかもしれないと思った」と供述[5]。当時の報道で52歳。推定される誕生日は1960年7月12日から1961年7月11日の間。
2013年12月19日に行われた初公判の後、弁護団の壇俊光弁護士は「被告人が作って販売したのは、写真ではなく絵画ということを立証していきたい。このようなことが罪に問われると創作活動が萎縮してしまう」とコメント。絵画ならば児ポにはならないというという趣旨の発言である[6]。当時52歳。推定される誕生日は1960年12月20日から1961年12月19日の間。
2014年6月9日、第4回公判。この後しばらくの間、事件の争点・証拠整理をめぐって非公開の話し合いがもたれる[7]。
2015年10月6日、第5回公判(翌7日・8日と3日間行われた)。検察側は前田雅英(首都大学東京教授・刑法)の意見書を提出。前田は本件CGについて「少女から見れば写真と同じようなもの」「元の画像と差異がない」としている。また、argoが利用したとするヌード写真集を示し、「小柄な12歳の女の子」などと記載されている点を指摘した[7]。
証人として証言台に立った警察官は、argoから押収したハードディスクの中に、Photoshopのレイヤーの一つとして争点となっている少女のヌード写真が含まれていたと話した。もちろん、「作業用のファイルのレイヤー」に写真が含まれているからといって、完成品CGに直接反映されていることを意味しない。壇俊光弁護士は、「被告人は直接使っていないと言っている」と主張。証人尋問で「写真がそのまま利用された部分はあるのか」などと警察官に問いただす[7]。
2015年10月7日 - 8日に行われた被告人質問では、argoの経歴や創作姿勢について具体的に語られた。弁護士ドットコムニュースの記者は「場所が法廷であることをのぞけば、自作品について語るアーティストのインタビューのようにも見えた」と感想を述べている[2]。
山口貴士弁護士の質問に対し、argoは「私が人物画を描くのは、理想の人体を描きたいからです。『聖少女伝説』に掲載した絵の制作には、2000年代中頃から取り組み始めましたが、そこでやりたかったことは、理想の人体を描くことです。特定の女性の人体を再現しようというものではありません」「『聖少女伝説』シリーズを作ったときは、自分の頭の中に空想上のスタジオを作り上げ、そこに理想のモデルを登場させ、想像上のカメラにうつる光景を写し[注釈 3]、そのイメージを絵として表現しました」などと答えた[2]。あくまでも写真ではなく人物画である以上児童ポルノではないという弁護側の主張に沿うものである。「参考にした」という写真と、CGに登場する女性は顔が似ているという点については「顔には記号性があります。誰かの顔に近づけないと、顔として成り立たないと考えています。漠然とした顔だと、イメージもぼんやりしてしまう」と説明した[2]。
2015年10月29日に行われた被告人尋問では、検察官がいらんことを訊いている[3]。
花咲まゆ(13)と五月なみ(14)の名を挙げ、argoにとってこの二人がツートップという位置づけであるか確認。argoは花咲について「清潔感があった」と評価。五月については「自然でありながら不自然なところがあるアンバランスさ」と返答。検察官は「高度な表現で理解できない」と具体的な解説を求めた。これに対しargoは「顔は美少女ではなくかわいくもなく、どこにでもいるかのような顔立ち。しかし、体つきはそれこそ加工したのではないかと思うほど、どこにもいないんじゃないかというアンバランスさ」と返答している。検察官の具体名は報道も伝えていないが、自分が聞いてみたかっただけじゃないの?東スポWEBの記者も「被告に少女ヌードの魅力を語らせた理由は不明」と、ごもっともなコメントを残している[3]。
2016年3月15日、東京地裁は起訴の対象となった34点の画像[注釈 4]のうち、3点について有罪として懲役1年執行猶予3年+罰金30万円の判決を言い渡した[8]。argoは「架空の人体を描いたもので、芸術作品」と主張するも、三上考浩裁判長は「少女のヌード写真を使って作成した以上同一性が認められる。写真と比べて悪質性が小さいとは言えない(意訳)」と指摘[9]。当時55歳。推定される誕生日は1960年3月17日から1961年3月16日の間。
控訴審の東京高裁は2017年1月24日、実在の児童とCGで描かれた児童とが同一であると判断できるから児童ポルノとして処罰の対象となるとして罰金30万円の判決を言い渡した。朝山芳史裁判長は、『聖少女伝説』と『聖少女伝説2』を合わせて一罪とした1審判決は誤り[注釈 5]だとしたうえで、1冊には児童ポルノは含まれていない、有罪としたもう1冊についても30年以上前の写真集に基づくもので違法性が高いとは言えない、と判示。弁護側は即日上告[10]。当時56歳。推定される誕生日は1960年1月26日から1961年1月25日の間。
2020年1月27日、最高裁判所第1小法廷(深山卓也裁判長)は破棄自判により『聖少女伝説』の18点について児ポ提供は無罪、ただし『2』の3点について提供目的製造および提供で有罪とした高裁判決はおおむね妥当であるとして罰金30万円の判決を言い渡す。確定[11]。また、児ポ法違反の構成要件にCG製造時にモデルが18歳未満であることを要しないと判示[12]。CGが児童ポルノと確定した初の事例となった[13]。当時59歳。推定される誕生日は1960年1月28日から1961年1月27日の間。
判旨[編集]
1審の期日間整理手続において争点は:
- 本件CGと、もとになった(と検察が主張する)写真は同一か。また、本件CGの女児は実在するか
- 本件CGの女児は18歳未満であるか
- (略)
- (略)
- 児ポ法違反(製造・提供)が成立するためには、製造または提供の時点でモデルが18歳未満であることを要するか
- 児ポ法違反(製造・提供)が成立するためには、児ポ法施行の時点でモデルが18歳未満であることを要するか
①②について、argoから押収した写真集の現物・国会図書館の蔵書により確認できたものについて実在性を肯定[注釈 7]。当時の技術水準からして実在の人物を全く使用せずに写真集を作れるか、また修正する必要性も乏しい。また、年齢について検察側は医師によるタナー法に基づく推定を証拠として提出したが、裁判所はタナー法には一定の限界がある、特に本件では性器周辺の修正により判断を誤りやすいとして、医師がほぼ確実に18歳未満とした4点のみ18歳未満と認定した。写真集の現物にモデルの年齢が記載されているが、このような文字列が正確であるという根拠はない。同一性は、体のパーツの輪郭および位置などを比較して判断[16]。
⑤について。18歳未満の女児を撮影して児童ポルノを製造しても、モデルが18歳になった瞬間それを提供してもセーフというのは不合理。被写体となった女児の権利の擁護に反する。実際、製造または提供の時点でモデルが18歳未満であることを要するか、児ポ法に明文の規定はない[17]。製造・提供の時点でモデルが18歳になっていたとしても、児童の権利侵害が行われた記録として、児童ポルノとしての性質が失われることはない[18]。
脚注[編集]
注釈[編集]
- ↑ 直接の逮捕容疑
- ↑ 不特定多数に対する提供(7条2項), 提供目的の製造(7条3項)
- ↑ 多くのマニアが一度は通る、一里塚のようなもの
- ↑ 『聖少女伝説』の18点、『2』の16点
- ↑ そえぞれを一罪として併合罪とすべし
- ↑ 表現の自由を守る会では、実際に裁判で争点となった問題のほかにも「他の案件と比べて可罰違法性が大きいといえるか」「(もとの写真の)現物は公開されないのでCGとの関連性について確認が出来ない。捜査当局の恣意性が問われる」「なぜ逮捕がこのタイミングなのか」「モデルが実在しなかったり、行為自体が想像であった場合の取り扱い」などの疑問点があるとした[15]
- ↑ 国会図書館にはあるんだな、おい、あるんだな
出典[編集]
- ↑ a b c ねとらぼ 2013.
- ↑ a b c d 弁護士ドットコム 2015j.
- ↑ a b c 東スポWEB 2015.
- ↑ 前田雅英 (2020年2月14日). “CG描画画像の「児童ポルノ」該当性: 最決令和2年1月27日 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件”. Thomson Reuters. 2026年3月10日確認。
- ↑ a b 黒田 2013, p. 11.
- ↑ 安藤健二 (2013年12月20日). “「児童ポルノではありません。私は無罪です」CGで児ポ法違反に問われた男性の初公判”. huffingtonpost.jp. 2023年8月30日確認。
- ↑ a b c 弁護士ドットコム 2015i.
- ↑ 上田 2016, p. 208, 210.
- ↑ “児童ポルノ: CG販売、被告に有罪判決「写真と同一性」”. 毎日新聞: p. 31. (2016年3月16日)
- ↑ “児童ポルノ: 少女の裸CG販売、2審で一部有罪”. 毎日新聞: p. 28. (2017年1月25日)
- ↑ 上田 2022, p. 47.
- ↑ 北沢拓也 (2020年1月30日). “「実在女児、CGも児童ポルノ」確定へ”. 朝日新聞: p. 33
- ↑ “児童ポルノ: 裸の写真元にCG、児童ポルノ認定”. 毎日新聞: p. 24. (2020年1月30日)
- ↑ 上田 2016, p. 208-209.
- ↑ “CGの児童ポルノが初摘発された件について”. 表現の自由を守る会 (2013年7月13日). 2026年3月12日確認。
- ↑ 上田 2016, p. 212-213.
- ↑ 上田 2022, p. 46-47.
- ↑ 上田 2022, p. 49.
参考文献[編集]
- “児童ポルノCG販売で初摘発 発禁写真集をCG加工した「聖少女伝説」販売で”. ねとらぼ. アイティメディア株式会社 (2013年7月11日). 2026年3月7日確認。
- 上田正基「コンピュータグラフィックス(CG)で作成した画像に係る記録媒体が「児童ポルノ」に該当するとされた事例」、『立命館法學』第367号、立命館大学法学会、2016年、 208-228頁、 。
- 上田正基「性的姿態の描写についての児童ポルノ提供目的製造罪の成立と描写されている人物がその製造時点において18歳未満であることの要否」、『神奈川法学』第54巻第3号、神奈川大学法学会、2022年3月15日、 43-69頁、 。
- 黒田阿紗子 (2013年7月11日). “児童ポルノ: 発禁写真のCGで摘発―警視庁”. 毎日新聞: p. 11
- “CGで描いても児童ポルノ?被告が力説した「少女ヌードの魅力」”. 東スポWEB (2015年10月31日). 2026年3月13日確認。
- “少女の裸体の「CG画像」は児童ポルノなのか? 注目の裁判が1年4カ月ぶりに再開”. 弁護士ドットコムニュース (2015年10月6日). 2025年11月17日確認。
- “「理想の人体を描きたい」CG児童ポルノ裁判の被告人が語った「聖少女」を描くワケ”. 弁護士ドットコムニュース (2015年10月8日). 2025年10月5日確認。